カクテルキッス3ーたった一度のI love youー

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「は、あ……っ、あぅ、ん」
「茅ヶ崎、音、すごい……」
「や、めて、くださ、っあ……」
わざと立てられる淫猥な音と、欲情した千景の吐息。気持ちが良いけれど恥ずかしくて、至はじんわりと涙をにじませた。
「ひゃ、う……あぁっ……」
「いい……?」
千景の指が、至を前から後ろから責め立てる。さらには耳を吐息で犯されて、至の体は快楽に飲まれていった。
「う……あ、あ、やめ、やだ、いやっ」
それに気がついたのか、千景は軽いキスでなだめてくれる。
「いやだなんて言うな……めいっぱい優しくしてるのに」
「ん、あっ、やだ、速い、まだ駄目、あ」
千景の手は確かに優しいけれど、いつもよりずっと性急に至をしごき上げる。
すぐ近くで聞こえる、千景の荒れた吐息が、至を余計に高ぶらせた。
「せん、ぱ……駄目、イきたく、ない、まだ」
「駄目、キツそうだから……イッてろ茅ヶ崎」
千景との時間を、まだ終わらせたくない。そう思って至はふるふると首を振るのに、千景の手は動きを速めてしまう。耳元でそんなふうに煽られて、体の内部が焼けるように熱くなった。
「ああっ、あ、やだ、いく、出、そう、あ、あっいく、いいッ……い、あ……――」
内部に千景の指を宿したまま、至は快感に身を反らせ、白濁とした体液を放つ。ぎゅう、と千景の指を締めつけてしまったことを自覚して、その羞恥は余計に至の快感中枢を刺激した。
「ああ、あ……あァ……」
荒い息を整える内にも、侵入した指は内部を広げるように突き進み、至の足を揺らす。
ちゅぐ、ぬっ、ちゅ、と濡れて淫猥に響く音で、欲は増して千景を求めた。
「ちかげ、さん、中……して、ちゃんと、めちゃくちゃに、して」
「ちゃんとめちゃくちゃにって、どいうことだ」
千景はそう言って笑うが、情欲にまみれた瞳は至の羞恥をとろかしていく。至は自ら足を広げ、千景を誘った。
「い、れて、中……もっと、気持ちいいの、欲しい」
指先で濡れたそこを撫でれば、千景が吐息と一緒に馬鹿と呟いて、熱い高ぶりを押し当ててきた。
「あ……っ」
欲しかった熱が入り込んでくる。至はぐんとのけぞるけれど、千景はそれを追ってきてくれる。唇が合わさって、上でも下でも?がった。
「んっ、ん、んぅ」
ぎ、ぎ、とベッドが啼いてきしむ。肌がぶつかって、シーツが千々に乱れてしわが生まれる。
「はあっ……あ、や、ぅ、あっ、いや」
奥まで届いたかと思ったら、すぐに引き抜かれていく寂しさに、至は千景の肩に爪を立てた。それに応えたつもりか、最初からそうするつもりだったのか、千景は強く突き戻す。
押し込んで、引き抜いて、引き寄せて、押しやって、至に息をつかせてくれない。
「やだ、いや、先輩、駄目っ、こんな……あ」
「悪い、加減の仕方が、分からない」
荒い息の合間に、千景が囁く。顎から汗が伝って落ち、至の頬を滑っていった。千景の欲望のレベルを知って、至の欲がさらに上がる。
欲しい。もっと、もっと欲しい。
「あ……あっ、アッ、いい、も、ちかげ、さ……いい、から、もっと」
もっと求めてほしい。同じだけの想いをもらうなんてことは、難しいと思っていたけれど、こうして?がっていれば、大して困難なことに思えなくなる。
「千景さん、好き、すき……」
千景は言えない代わりのキスをくれる。欲しいだけの快楽をくれる。
指に触れれば絡め返してくれて、言い様のない幸福に包まれていった。
「ああっ、や、やだ、そこ、しないで、だめ」
「ん、……ふ、ここ、好きだろ、知ってる、から」
「駄目って、あ、い、いい……っ」
肌がぶつかって音を立てる。千景の熱が体の中をえぐって、いちばん感じるところを探り当て、追い立てるように突いてくる。
至は迫りくる快楽に体を震わせ、涙でまつげを濡らし、それでも千景を離すまいと、背中を抱きしめた。
「い、きもち、いい、こんな、の、したこと、なっ……あ」
こんなことは、千景としかしたことがない。この先も千景としかする気がない。
気持ちが?がったというだけで、こんなにも、体の全部が変わってしまったかのようになるなんて。
「茅ヶ崎、ここ、相当、すごいことになってる、ぞ」
「そ、なの、知りません、よっ……」
「はは、ねえ、そんなに俺のペニス、気持ちいい、か?」
千景の先端が、奥に当たる。息ができないほどに気持ちが良くて、至は必死でこくこくと頷いた。それを見てか、千景がこくりと唾を飲んだような気がした。
「あっ、待って、や……」
「お前、自分が何をやってるか、分かって、ない、だろ、煽るな……っ」
千景の動きが、一段と激しくなってくる。快感に耐えるのに精一杯だったのに、そんなふうに追い立てられては、呼吸の仕方も忘れてしまう。
「あ、あうっ、や、いやだ、待って千景さんっ、いい、いいっ……」
「ちがさき、中で、出させてっ……」
「ん、中、いい、奥で……!」
は、は、と互いの呼吸が合わさる。あの時みたいに、世界でたった二人しかいないみたいに。
「あっ、あぁっ、いく、い、あ、ぁ……ッ」
「ちがさき……っ」
頭の中が真っ白になって、目の前がクラクラと揺れる。一瞬あとに、射精感とひどい疲弊感。
「あ……、はあっ、は……あ、ん」
「はあっ、はあ、っは、はぁ]
中に放たれた千景のものを感じ取って、体がびくびくとわななく。
力を失って、とさりと覆い被さってくる千景の背を無意識に撫で、千景にも髪を撫でられ、二人でゆっくりと呼吸を整えた。
なだめるようなキスと、体を撫で合う互いの手のひら。その手に込められた、お疲れ様と愛してる。夢ではないのだと、至近距離で?のない瞳を覗き込んだ。

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