キスを贈る
目を覚ますと、すぐに他人の肌の色が視界に飛び込んでくる。同時に、自身に巻きつく腕の存在に気がついて、なんとも言えず幸福な気分になった。 跡部が手塚より先に目を覚ますのは、実は珍しいことで、今日は久しぶりに恋人の寝顔を眺めることができる。...
贈る側のはずなのに(10/7)
キスが欲しい。 プレゼントは何がいいかって訊けば、こいつは毎年同じことを言いやがる。他にねえのか。 キスなんて、いつもと変わらねえじゃねーか。 ソファに腰掛けながら不満を混じらせてそう言うと、「変わらなくてもキスがいい」なんて返してくる...
保護中: Good night-Good morning
「永遠のブルー」関連SS。パスワードは二人の誕生日を順番に入力
ただの好意かそれとも恋か
2022/05/03 全国大会GS Ω2022にて発行
【装丁】文庫サイズ/92P/全年齢/500円(イベント価格)
【自家通販】BOOTH(https://hanaya0419.booth.pm/items/3834166)匿名性なし
【あらすじ】全国大会後、跡部は物足りない日々を過ごしていた。気まぐれに手塚をテニスに誘えば、意外にも快諾が返ってきて驚く。それでも日が暮れるまで打ち合い、抑圧のないゲームを楽しんだ。気晴らしになったと言う跡部に、誘ってくれてありがたいと手塚は恋を告げてくる。跡部はそれを受け入れる気は当然なくて断るが、手塚は諦める気はないようで――? 旧テニの世界線です。
さくら、ひらひら
陽の当たる桜並木を、恋人と二人で歩く。
手をつな繋ぐことはできないけれど、心の方はしっかりとつながっていると思いたい。
「もう散っちまうな。もう少し早く時間が取れりゃ良かったんだが」
「先日の雨で、ずいぶんと散ってしまったからな。...
永遠のブルー
4月の塚跡WEBオンリー新刊です。
【装丁】文庫サイズ/264P/R18/1500円
【自家通販】BOOTH予定
【あらすじ】
手塚の怪我について負い目を感じている跡部だが、「お前とテニスがしたい」と言われ自分の中の厄介な想いに気づく。こんな勝手な感情は告げられるわけがないと必死で心を押し殺しながら、好敵手として接していた。けれどそれは、手塚の一言で崩れてしまう――。
共犯者たちのランデブー
※本誌ネタバレあります※
手塚は、廊下の壁にもたれて人を待っていた。少し早く着いてしまったなと携帯端末が表示する時刻を眺める。
気が急いてしまうのは、自覚している感情のことを思うと仕方がないような気がした。
「よう手塚。待たせたな」
「...
勝負はこれから
黄色の信号に従って、跡部は停止線で車を止めた。
「今日はやけに信号に捕まっちまうな。ついてねえ」
ステアリングを指先でトントン叩きながら舌を打つ。早くマンションに帰って、人目を気にせず触れ合いたいのに。焦る気持ちを浅ましいとは思うけ...
ここで重なり合うもの
混ざり合っていた音が、不意に解かれた。止まってしまった演奏に、跡部は顔を上げる。視線をやれば、そこにはバツが悪そうな顔をした男がいた。
「すまない、音を飛ばした」
素直にそう謝罪を入れてくる相手に口の端を上げて、跡部も手を止める。肩の力を抜...
五分間
出口へと向かう途中、やけに騒がしいなと眉が寄る。
飛行機の発着アナウンスをはじめ、搭乗客や見送りの人々で、空港はわりといつでもざわついているものだ。しかし今日は、度を超しているように思えた。
「なんだか騒がしいですね、跡部社長」
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