華家
-HANAYA-
好きなものを好きな時に
No.660
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン 2025.02.07
#お題 #片想い
手塚はよく腕を組んでいる。 そうやって、部員たちの動向を見守っているようなのだ。部長として当然だな…
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン
お題:リライト様 /腕を組む
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手塚はよく腕を組んでいる。
そうやって、部員たちの動向を見守っているようなのだ。部長として当然だなと鼻を鳴らした。
今日は青学と氷帝の合同練習だ。ひょんなことがきっかけで実現してしまったが、そのきっかけがなんだったのか、もう思い出せない。
「氷帝は基礎的な筋力トレーニングが多いのか? スクワットの種類を日によって変えているようだが」
手塚は組んでいた腕を外し、練習メニューを覗き込んで指を指してくる。
「ああ、そうだな。特に足と……腰周りの強化に。体幹鍛えてねえと重い打球は受け止められねえし。パワープレイヤーがいる相手校だと、もう最初に打ち負けちまう」
「マシンも充実していて、羨ましいことだ」
他校の練習メニューを実際に見て一緒にやってみる、というのは悪くない趣向だ。部員たちも新鮮なのか、楽しそうにやってやがる。
「青学は随分と走り込みが多いな。呼吸法に力を入れてるのか」
「持久戦に持ち込まれた時に、呼吸の仕方で変わってくるだろう」
「なるほどね」
手塚の言い分に、俺も頷く。持久戦は俺が得意としている戦法で、終盤に息が荒れているかどうかは大事な判断材料にもなる。
「他校のメニューは、やはりためになるな」
ふむ、と感心したようにまた腕を組む。手塚にはその格好が楽なのだろうか。真似をして組んでみた。
そうしてみて気づくが、あまり違和感がない。どうやら俺も、手塚ほどとはいかなくとも、腕を組む格好は多いらしい。
手塚と同じ格好をしているというのが、どうしてか気恥ずかしくて、早々に腕を外す。
どうして、手塚が隣にいるとこんなにも落ち着かない気分になるのだろう。テニスをしたいからか? いや、そういうそわそわとは違う気がする。
「手持ち無沙汰なようだな、跡部」
「アーン? アイツらが慣れねえメニューで変な怪我しねえように見てんのも、部長の役目だろうが」
「そういうのは監督やコーチの役割だと思うが……真面目なのは結構だ」
テメーに言われたかねえ。そっちだって、他のヤツら見守ってるばっかりじゃねえか。
けどまあ、手持ち無沙汰ってのは事実だな。手塚の言うように、監督たちに任せて俺も何かメニューやって――。
「跡部、良ければラリーしないか。向こうのコートが空いている」
目を瞠った。まさか手塚の方から誘ってくるとは思わなかったぜ。
今の今まで組んでいた手に、ラケットが握られている。俺が断るなんて、微塵も思っていないようだ。
確かに断るつもりはねえし、コイツのこんな強引さは心地いいんだよな。
「いいぜ、相手してやろうじゃねーの!」
「ああ、油断せずに行こう」
いつもの台詞を聞いて、俺は笑いながら空いたコートに向かった。
#お題 #片想い