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No.650
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン 2025.01.28
「二人って、付き合ってるの?」 何かと一緒にいるよねと続けるのは、不二だ。合宿所の食堂で、いきなり何…
No.650
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン 2025.01.28
「二人って、付き合ってるの?」 何かと一緒にいるよねと続けるのは、不二だ。合宿所の食堂で、いきなり何…
「二人って、付き合ってるの?」
何かと一緒にいるよねと続けるのは、不二だ。合宿所の食堂で、いきなり何を言い出すかと思えば。
訊ねられた手塚と跡部は、互いに顔を見合わせた。そうして同時に、不二に向き直る。
「まあ世間じゃそういうことになるのかもしれねえな」
「そうだな、恋人といっていい間柄だとは思う」
頷き、答えてやる。
「え」とそこかしこから驚嘆の声が聞こえてきた。あれだけ騒がしかったのに、聞き耳を立てていた連中が多いのだろう。
「へえ、あっさり認めるんだね。英二、やっぱりボクの勝ちだよ」
「なんだと」
満足げに振り向く先に、菊丸の姿。勝ちとはどういうことだと、跡部が眉間に皺を寄せる
「え~、俺絶対否定すると思ったのににゃ~。もー、手塚め~。ほい不二、約束の」
「おい菊丸」
まさか賭けをしていたのではないだろうなと、手塚も眉を顰めた。
だが、菊丸が不二に手渡したのは「本日のデザート」である焼きプリン。
賭けてはいたのだろうが、なんとも平和的なものだ。しかもここはビュッフェ形式で、デザートコーナーに目を向ければまだまだ本日のデザートは大量にあった。賭けの代償にしてはかなり、弱い。
「何がしてぇんだテメェらは……」
「最近はそういうのが流行っているのか? この程度なら構わないが、絶対に金銭を絡めるんじゃないぞ」
困ったヤツらだぜと、跡部は紅茶を口に含む。手塚も、味噌汁の椀を持ち上げた。
「ねえ、君たちって食の好みも合ってないけど、大丈夫なの? そもそもどっちから告白したのかな」
「あ、それ気になる~。俺はね~跡べーからかなって思ってんだけど」
「いや、手塚からってのも有りだと思うよ、英二。割と強引だしね」
不二も菊丸も、食事のトレーを手塚たちと同じテーブルに置いてしまう。相席を断るつもりはないが、話題は妙な方向に行ってしまってありがたくない。
男子中学生ともなれば、誰と誰が付き合った、別れた、なんて話は興味津々なのだろう。それは分かるが、自分たちをやり玉に挙げられるとは思っていなかった。
「俺は別に手塚に好きだなんて言った覚えはねえ」
跡部は腕を組んで椅子の背にもたれ、ふんと鼻を鳴らす。それには、「ええーっ」と菊丸が不満そうな声を上げた。また予想が外れたのが悔しいようだ。隣で、不二が満足げに笑っている。だがしかし、
「それは俺もだな。跡部に好きだとは一度も言っていない」
それを崩したのは、手塚の言葉だった。うっかり驚きで開眼してしまった不二が、手塚を見て、跡部を見る。どういうことなのかと、次に菊丸と顔を見合わせた。
「えっと……? つまりお互い、告白はしてないってこと?」
「そうなるな」
「なんでそれで成り立つの」
信じられないというような菊丸の声に、手塚はなんのためらいもなく肯定を返す。跡部もさして気にしたふうもなく、それは事実なのだと不二を驚かせた。
「そんなもん、言わなくても分かるだろ。手塚が俺様にベタ惚れだってのは」
「跡部の方が分かりやすいと思うが。どう見ても俺のことが好き過ぎだろう」
「フッ……まあそれには違いねえがな」
視線をひとつ、交わす。それでお互いが満足した。
言葉が必要ないという関係も世界にはたくさんあるだろうが、まさかここでそんなロマンスを繰り広げられるとは思っていなかった。
不二たちは、自分たちから首を突っ込んだにもかかわらず、がっくりと脱力して、もう何も訊く気にならなかった。
「なんだ、もういいのか?」
「モウイイデス……」
「からかうつもりじゃなかったんだけどね……なんだか返り討ちに遭った気分だよ」
二人して、ため息を吐く。根性ねえなと笑う跡部と、煽るなとたしなめる手塚と。
「それにしたって手塚、たまには言葉で愛を囁いたっていいんだぜ」
「そっくりそのまま返してやる。お前が望むのならば努力はするが、あまり期待はしないでほしい」
「ん、じゃあ練習するかよ。今夜、二人でな」
「そうだな、慣れないことをするのだから、練習というのは有効だろう」
そんなことを言い合う間中ずっと、二人は見つめ合ったままだった。これでは確かに言葉など必要ないだろうと、周りは全員顔を背けてやる。
今夜いったいどんな状況でどんな練習をするのだと、心の中で叫びながらも。
#お題 #両想い