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No.623
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン 2025.01.01
暑い日差しと、審判のコールと、観客の声。 インパクト音と、視界を支配する黄色いボール。 そして、勝…
No.623
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン 2025.01.01
暑い日差しと、審判のコールと、観客の声。 インパクト音と、視界を支配する黄色いボール。 そして、勝…
暑い日差しと、審判のコールと、観客の声。
インパクト音と、視界を支配する黄色いボール。
そして、勝つためにこちらを射貫いてくる鋭い視線と、貪欲な執念。
がむしゃらにただボールを打つ。返される。迎撃する。
同じほどの熱量で向かってくるそれを、全身で感じていた。
試合後に、汗で濡れた手を合わせた。称賛と敬意を、と掲げられた手と、背けられた顔。深く息を吸い込むその音を聞いて、全身が総毛立つ感覚を味わった。
跡部景吾を意識し始めたのは、間違いなくあの試合がきっかけだろう。
氷帝学園の部長としてしか認識していなかった男を、こんなふうに思うようになるなんて、考えもしなかった。
だけど気づいてしまえば、好意を抱かないことの方が不自然なようで、案外とすんなり受け入れることができた。
俺は恋という意味で、跡部景吾が好きだ。
積み重ねた努力の上になりたつ絶対的な自信と強引な統率力は、見る者すべてを惹きつける。
テニスにかけるあの情熱で、きっと焼かれてしまったに違いない。
目で追う。耳で追う。
魂すべてで、彼のプレイを見つめ続けた。
テニスという同じ世界で生きている。それだけで充分だったんだ。どうしてこの恋が叶ってしまったのか、未だに分からない。
だが、数センチ先にある彼の寝顔は本物だ。綺麗な人形のようだが、間違いなく跡部景吾本人の、寝顔。
触れ合って夜を越える関係になって、少し経つ。つまりは恋人と呼べる間柄に、最近ようやく慣れてきた。
だけどこっちはまだ無理だ。
唇も、肌も、啼く声さえ無責任に煽ってくる。
俺は大分無茶な抱き方をするのに、跡部はいつも、いつでも赦してしまう。たまには怒ってほしいなんて理不尽なことも思って、このまま揺り起こしてしまおうかと腕を上げる。
「ん、んん……」
わずかに揺れた跡部の肩とくぐもった声にハッとして、腕を引っ込める。
疲れていそうだし、寝かせていてやりたいと先ほどと真逆の気持ちがわき上がってきた。
どうしてお前は俺を甘やかすんだと問い質したい気持ちと、せめて今はゆっくり眠ってほしいと思う気持ちがせめぎあって、結局何をどうをもできないまま時間だけが過ぎていく。
今日はもうこのままゆっくり過ごすのも悪くないなと、細く長く息を吐いた。跡部が起きてしまわないように細心の注意を払って、彼の金の髪を撫でた。
「おやすみ、跡部」
甘やかすなよと跡部の小さな声が聞こえてきたのは、気のせいということにしておこう。
#お題 #両想い