No.62

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Shooting Star-005-

NOVEL,その他ジャンル 2011.03.20

#STARDRIVER #スタドラ #シンドウ・スガタ #ツナシ・タクト #スガタク #ウェブ再録

 メールと電話という手段を得てからは、校内での接触が少なくなったように思う。 おはようと、お昼食べよ…

NOVEL,その他ジャンル

Shooting Star-005-

 メールと電話という手段を得てからは、校内での接触が少なくなったように思う。
 おはようと、お昼食べようと、部活行こうと、バイバイじゃあまた明日。
 友人同士の当たり前の日常が、そこにある。
 だけど休み時間になると、携帯電話が気になってしまう。
 同じ教室で授業を受けているのだから、メールの送受信なんてしていないと分かっているのに、気持ちがそわそわして仕方がなかった。
 おはよう。授業中に居眠りするなよ。さっきまで道場で稽古してたよ。お前は? ああ、おやすみ。
 メールの受信ボックスが、スガタで埋まっていく。フォルダに分けて保護設定しようかと思うが、全部の保護をしたくて追いつかない。
「スガタ、スガタ。あのさ、この間言ってたCD持って来たんだけど」
「借りてっていいのか? 早めに返すよ」
「あっ、ねえタクトくん、次私にも貸してよ」
「うんいいよ」
 いつものように三人で、演劇部の部室に向かう。変わりない、日常だ。
 相変わらず綺羅星十字団も戦いを仕掛けてくるし、学生の本分であるここではテストなんかもあるし、まさに青春だ、とタクトは思う。
 恋人と言い切れはしないけれど、大事な人も傍にいてくれる。
 これ以上を望んだら、きっとバチが当たってしまうだろう。
「ねえワコは南方神起の全部持ってるんだっけ?」
「あっ、うん、貸そうか?」
「セカンドアルバム聴いたことないんだ。今度貸してよ」
 うんいいよーなどと快く笑うワコと、ワコは購入特典とか全部持ってるほどだからねと笑うスガタ。いいじゃない、と頬を膨らませる可愛らしい少女と、三人で部室へと入った、途端。
「あっ、タクトくんタクトくん! あのね聞いて!」
 最近入部した、二組のヨウ・ミズノが綺麗な青い瞳をきらきらと輝かせて走り寄ってきた。
「ミ、ミズノちゃん今日も元気そ……」
「今度の劇でね、私とタクトくんのちゅーがあるんだよー!」
「―え?」
 言われた言葉の意味がすぐには理解できずに、タクトの目が瞬かれる。
「ちょっ……ちゅーって、キスシーンてこと!?」
 最初に声を上げたのはワコだった。
「うんっ、そーなのワコちゃん! ほら脚本ー」
 ミズノが差し出してきた脚本とやらをひったくり、ワコは中身を確認していく。ピタリと手が止まったその箇所に、書かれてあるのだろうか。
 タクトと、ミズノのキスシーン。
 息を止めたままのワコを眺め、タクトはようやく事態を把握した。
 ―本当にあるんだ。
「ね、ねえ部長、これっ……本当にするの?」
「そーだよ。配役も決まってる」
 しれっと何でもないように言い放つ、エンドウ・サリナ。ふふーと嬉しそうに笑うミズノ。興味津々で目を輝かせるジャガーとタイガー。
 タクトは、ちらりとスガタを見やる。
 見なければよかったと、あとになって悔やんだ。
 ―スガタには、何でもないことなんだ。
 それこそ何でもないように、ワコが放り出した脚本をぱらぱらとめくっている。その指先には迷いも何もなく、視線も揺らいでない。
 演技とはいえ恋人のキスシーンを聞いても、スガタは何とも思わない。
 ズキンズキンと心臓が痛んだ。
 泣き出したいのを必死で抑えて、無理に笑ってみせた。
「ミズノちゃんは、いいの? 僕なんかと」
「私はヘーキッ! だってタクトくん好きだもん」
「へ? そ、そう? ありがとう」
 どさくさ紛れの告白に、はははと笑うタクト。それを面白くなさそうに眺めるワコの眉間に、しわが寄った。
「ねえ部長、このシーンて変えられないの?」
「無ー理。そこがヤマなんだもん、そこ抜かしたら全部書き直しだよ」
 練習もしなきゃならないんだから、あまり時間はないと続けるサリナに、ワコは俯く。
「自分が相手役じゃないからって、ひがまなーい」
「……はぁっ? ちょ、違う違うそういう意味じゃなくて!」
 どう誤解したのか、ため息混じりに呟いたサリナにワコは慌てる。顔が真っ赤なのは、きっと条件反射というものだろう。
「モテモテですね、タクトくん」
 ジャガーが笑いながら話しかけてくるけれど、どう返していいか分からずに、タクトははははと笑うしかできなかった。
 普通の男子高校生であれば、こんなシチュエーションは心躍るだろう。可愛らしい少女たちが、自分に好意を寄せてくれているかもしれないなんて。
 だけどタクトには、好きな人がいる。叶いそうもない恋は、現実逃避もできないほどに苦しくて、気分が沈んだ。
 明日の休み、一緒に街へ行こう?と打ったメールは、送信されないままタクトの携帯電話に残っていた。



#STARDRIVER-輝きのタクト- #スタドラ #シンドウ・スガタ #ツナシ・タクト #スガタク #ウェブ再録