華家
-HANAYA-
好きなものを好きな時に
No.87
ミハアルウェブ再録 2011.03.20
#ミハアル #両想い #ウェブ再録
アルトはふと目を覚ました。そう広くはないベッドの上で目覚めるのにも、もう慣れてきた。 そして、隣に…
ミハアルウェブ再録
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アルトはふと目を覚ました。そう広くはないベッドの上で目覚めるのにも、もう慣れてきた。
そして、隣に当然のようにこの男がいることにも。
彼―ミハエル・ブランとこうしてともに朝を迎えるようになって、二年が経つ。
たかが寝顔を見られたこんな時にまで心臓が鳴ることくらい、そろそろなくなってもいいのではないかと思うほど、過ごした時は濃密だった。
シーツに流れるハニーブラウンに、そっと手を伸ばしてみる。ミハエルが起きる気配はなくて、気を許してくれていることがありありと分かる。
困ってしまうくらい嬉しさがこみ上げて、愛しさが満杯になって、思わずぎゅうっと抱きしめた。
「わ」
案の定目を覚ましてしまったミハエルから、声が上がる。
「アルト? もうおはようの時間か?」
「んー、そうでもないけど」
起こされて不機嫌な様子はなく、ミハエルは目覚めの口づけをくれた。素肌のままでお互い触れ合って、おはようの挨拶。
「夢、見たんだよ」
「夢って、どんな?」
「式挙げた時の」
苦笑混じりのアルトの答えに、ああ、とミハエルは笑った。きっと昨夜、婚約記念日を祝ったせいだろうと。
いろんなことがあったねと、ベッドで交わしたストロベリィトークの中に、確かに結婚式のことも含まれていたはず。
神父もいない結婚式、美星学園の講堂を飾り付けて、ままごとの延長みたいに誓いあった。
真っ白なウェディングドレスとグレーのテールコート、お色直しの打ち掛けと袴、パーティには深紅のドレスと軍服タイプで遊んで、似合うねと笑いあったことは、今でも覚えている。
そういえばあの時トスしたブーケは、ボビー・マルゴが受け取ったのだっけと思い出して笑って、こてんとベッドに頭を預けた。
天井に手のひらをかざせば、いつもと同じように薬指の指輪が目に入る。
幸せだなあと口許を緩めたら、その手にそっと絡められる手があった。
「ひとりで幸せそうな顔しないでよ」
「……ばぁか、幸せくれたのお前だろ」
揺れる指を絡めて、ベッドに落ちる。鼻先をすりあわせたら髪の毛が触れ合って、混ざるかと思うほど近くにお互いの瞳があった。
朝にしては深いキスが、二人を包む。撫で合う素肌から体温を感じ取って、変わらない日常を愛おしむ。
今日はふたりでアルバムでも見てみようかと、そうしてやっとベッドを降りるのだ。
「ミシェル」
「んー?」
リビングに向かいかけた恋人の腕を引っ張って、アルトは笑う。振り向いたミハエルにつつくようなキスをして、
「今日も愛してるぞ」
甘えて頬をすり寄せる。愛の言葉を囁く、それだけで胸がいっぱいになった。
そんなアルトに応え、
「俺も、愛してるよアルト」
ミハエルも肩を抱いて頬にキスをした。
入り込む陽差しは、朝の祝福―。
#ミハアル #両想い #ウェブ再録