No.87

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Please marry me!-013-

ミハアルウェブ再録 2011.03.20

#ミハアル #両想い #ウェブ再録

 アルトはふと目を覚ました。そう広くはないベッドの上で目覚めるのにも、もう慣れてきた。 そして、隣に…

ミハアルウェブ再録

Please marry me!-013-

 アルトはふと目を覚ました。そう広くはないベッドの上で目覚めるのにも、もう慣れてきた。
 そして、隣に当然のようにこの男がいることにも。
 彼―ミハエル・ブランとこうしてともに朝を迎えるようになって、二年が経つ。
 たかが寝顔を見られたこんな時にまで心臓が鳴ることくらい、そろそろなくなってもいいのではないかと思うほど、過ごした時は濃密だった。
 シーツに流れるハニーブラウンに、そっと手を伸ばしてみる。ミハエルが起きる気配はなくて、気を許してくれていることがありありと分かる。
 困ってしまうくらい嬉しさがこみ上げて、愛しさが満杯になって、思わずぎゅうっと抱きしめた。
「わ」
 案の定目を覚ましてしまったミハエルから、声が上がる。
「アルト? もうおはようの時間か?」
「んー、そうでもないけど」
 起こされて不機嫌な様子はなく、ミハエルは目覚めの口づけをくれた。素肌のままでお互い触れ合って、おはようの挨拶。
「夢、見たんだよ」
「夢って、どんな?」
「式挙げた時の」
 苦笑混じりのアルトの答えに、ああ、とミハエルは笑った。きっと昨夜、婚約記念日を祝ったせいだろうと。
 いろんなことがあったねと、ベッドで交わしたストロベリィトークの中に、確かに結婚式のことも含まれていたはず。
 神父もいない結婚式、美星学園の講堂を飾り付けて、ままごとの延長みたいに誓いあった。
 真っ白なウェディングドレスとグレーのテールコート、お色直しの打ち掛けと袴、パーティには深紅のドレスと軍服タイプで遊んで、似合うねと笑いあったことは、今でも覚えている。
 そういえばあの時トスしたブーケは、ボビー・マルゴが受け取ったのだっけと思い出して笑って、こてんとベッドに頭を預けた。
 天井に手のひらをかざせば、いつもと同じように薬指の指輪が目に入る。
 幸せだなあと口許を緩めたら、その手にそっと絡められる手があった。
「ひとりで幸せそうな顔しないでよ」
「……ばぁか、幸せくれたのお前だろ」
 揺れる指を絡めて、ベッドに落ちる。鼻先をすりあわせたら髪の毛が触れ合って、混ざるかと思うほど近くにお互いの瞳があった。
 朝にしては深いキスが、二人を包む。撫で合う素肌から体温を感じ取って、変わらない日常を愛おしむ。
 今日はふたりでアルバムでも見てみようかと、そうしてやっとベッドを降りるのだ。
「ミシェル」
「んー?」
 リビングに向かいかけた恋人の腕を引っ張って、アルトは笑う。振り向いたミハエルにつつくようなキスをして、
「今日も愛してるぞ」
 甘えて頬をすり寄せる。愛の言葉を囁く、それだけで胸がいっぱいになった。
 そんなアルトに応え、
「俺も、愛してるよアルト」
 ミハエルも肩を抱いて頬にキスをした。
 入り込む陽差しは、朝の祝福―。


#ミハアル #両想い #ウェブ再録