No.73

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Shooting Star-016-

NOVEL,その他ジャンル 2011.03.20

#STARDRIVER #スタドラ #シンドウ・スガタ #ツナシ・タクト #スガタク #ウェブ再録

 ふたりでワコにパフェを奢って、もう少しくらい器用に生きなさいよと怒られて、苦笑して、三人で手をつな…

NOVEL,その他ジャンル

Shooting Star-016-


 ふたりでワコにパフェを奢って、もう少しくらい器用に生きなさいよと怒られて、苦笑して、三人で手をつないで帰った。
 ワコを送り届けてからは、ふたりっきりだ。だけどまさか手をつないで帰るわけにもいかず、行き場をなくした手はポケットにつっこまれる。
「ねえ、聞きたいことがいっぱいあるんだけど」
「うん?」
「いつからだったのとか、悩んだのかとか、僕のどこをとか、そういうの」
「それは僕も聞きたいな」
 ふ、と静かに口の端を上げるスガタに、タクトはへへと笑う。
「ウチ、くるだろ」
 疑問符のつかない決定事項に、一も二もなく頷いた。
 そうしてシンドウ家にたどりついてみれば、メイド服に着替えたジャガーとタイガーが出迎えてくれる。
「珍しいですね、平日に泊まりにくるなんて」
「ハハ、ちょっと課題たまってて」
 嘘をつくのが上手くなったタクトの隣で、夕食は食べてきたからと紅茶だけ所望するスガタ。ジャガーもタイガーももう手慣れたもので、客室の用意しておきますねとお辞儀をしてきた。
「……使わないと思うけど…」
 呟いたタクトの言葉に、スガタは頭を抱えた。意味を把握して言っているのだろうかと、少しばかり恨めしい気持ちで。
「それで、たまった課題はどうするんだ?」
「スガタの意地悪。楽しい?」
「少し」
 分かってるくせにと覗き込むタクトに、挑発を含めてスガタは目を細める。それが面白くないらしく、頬を膨らませてそっぽを向いたタクトの手をとって絡めた。
「タクトの反応が可愛いから、見ていたいんだ。そう膨れるな」
「かわっ…………恥ずかしいこと言うなよ、もうっ」
 顔を真っ赤に染めて、タクトは突っかかった。
 引かれる手に従って、スガタの隣を歩く。これからはずっと、こうしていてもいいんだと思うと、泣きたくなるほど幸福だった。
「スガタんとこって、紅茶いつも美味しいんだよね……やっぱ高いの?」
「さあ……食事とかも全部任せてるから」
 持ってきてもらった紅茶を含んで、やっぱり香り高いそれを不思議そうに眺める。だけどスガタはそれが普通であるせいか、興味はなさそうだ。
 制服をハンガーにかけて整えるスガタの背中をじっと見つめて、タクトは改めてシンドウ・スガタという人間を想った。
「不思議なもんだよね」
「なにが?」
「恋人ごっこしてる時は、こんなの気にする余裕なかった」
 いろんなことを話したような気はする。だけどそのどれもが、上辺の差し支えないものだった。
「ねえスガタはなにが好き?」
「タクト」
 これからいろんなことを聞いてみようと、手始めに訊ねた言葉に即返ってきた答えに、タクトはボッと顔を赤らめる。
「そ、そういう意味じゃなくて……た、食べ物とか!」
「…………タクトかな」
 少し考え込んだフリをしながらも、スガタの答えは変わらない。
 ―嬉しいけど! 嬉しいけどそれって!
「タクト、僕はもう、遠慮も容赦もしないと言ったはずだぞ」
 クッションに座り込んだタクトを、追いつめるように覗き込む。鼻先が触れるほど近づいた顔に、タクトは染まる頬を隠しもせずにコクリと唾を飲み込んだ。
「し、してくれる…の?」
「違う」
「えっ……」
 ぐいと腕を引かれて、タクトは不安を感じる。やっと恋人同士になれたのに、してくれないのかと。
「スガタ、あの」
「間違うなよタクト。いま僕は、お前にしてやるんじゃない、僕が僕の意思でしたいんだ」
 引き上げられた体はベッドに横たえられて、タクトはスガタを見上げる形になった。
「……そっか、そうなるのか…」
「今さら止まらないぞ」
「あっ、べ、別に嫌なんじゃなくてむしろ嬉しいしあの」
 スガタの胸をそっと押しやって、重なった視線を想わせぶりに逸らしてみる。
「少し、恥ずかしいっていうか……」
 気まずい、と付け加えるタクトに、スガタは小さく笑う。くせのついた髪を撫でて、かき分けた額にキスをした。
「そういう顔をするな。いじめたくなる」
「えっ、そんなこと…んっ」
 そんなこと言われても困る、と続けようとした口唇は、スガタに持っていかれる。
 恋人ごっこを始めた日から数えたら、何度キスをしただろうか。優しいキスも乱暴なキスも、意地悪なキスもあった。
「んん……はふ」
 その全部が思い出されて、タクトの心臓はどんどん鼓動を速くしていく。スガタに聞かれてしまわないだろうかと身じろいだら、彼の胸に当てた手のひらからは同じほどの速度を持つ鼓動に気がついた。
 ―スガタもおんなじ……。
 それが分かったら、恥ずかしさよりもドキドキよりも、嬉しさと愛しさが膨らんで、どうしようもなくてスガタをぎゅうっと抱きしめる。
「スガタ……」
 キスの合間に小さく名を呼んだら、スガタもタクトを抱き返してくれた。恋人ごっこの時にはこんなこと思わなかった。
 ―スガタが大好き。
 もちろん大好きだったけれど、それよりもっと大きな気持ち。
 スガタの指が、手のひらが触れていくすべての箇所が心地よい。
「タクト…」
 吐息のように呼ばれる名前が気持ちいい。
 スガタの指先が喉を撫でる。くすぐったいと身をよじったら、それに気を良くしたのかさらに責めてくる。鎖骨を滑って肩を撫で、素肌の腕に吸いついて痕を残していく。
「ス、スガタ……そんなとこ痕残すなよ…」
「ああ…明日体育あったっけ?」
 忘れていたと目を細めて笑うスガタに、絶対わざとだとタクトは口を突き出してむくれた。本気で怒る気になれないのは、やっぱりスガタの残す痕が嬉しいからだろう。
 腕に、胸に散らされていくキスマークは、本当の恋。
「あ……っ」
 胸を撫でる指先が、ついに突起を滑っていく。今か今かと待ちわびて、じらされて息をついたところへ突然だ。意地悪な、スガタの指先。
 心の準備ができていなくて、息を飲んで口を押さえた。
「声抑えるなってこの間も言ったよな?」
「そ……だけどっ…」
 恥ずかしいものは恥ずかしいんだよとタクトはスガタを見上げる。そんな仕種さえ男心をくすぐるなんてこと、きっと気づかずに。
「どうしても抑えたいなら、僕がしてやる」
「え……っ」
 楽しそうな笑い顔を見せたすぐあとに、スガタの口唇が降ってくる。
「んっ、んん…!」
 口唇をふさいだまま、スガタの指先はタクトの体を隅々まで撫でる。首筋、肩、腕、胸、硬くなった乳首、腹、全部。
「んぅ、う、っは……」
 揺れる肩に、スガタの口唇が離れていく。ようやっと大きな呼吸ができて、タクトはそれでも寂しく思ってスガタを呼んだ。
「スガタ……っあ」
 忍び込んだ手のひらに包まれて、びくりと腰が沈む。
「逃げるなよ、タクト」
「別にっ…逃げてな……あぁっ」
 一度口唇を開いたらもう我慢ができなくて、タクトの声はスガタの部屋に響く。それを満足そうに耳に入れて、スガタはタクトを責め続けた。
「あっ、あ、……スガタ、やだ…ぁ」
「なんで? こんなに……感じてるのに」
「やっ……、き…」
「き?」
 タクトを撫で、擦り、はじく。タクトはスガタの指先を意識で追って、ふるふると首を振った。
「気持ち…、よすぎてっ……やだ…!」
 スガタの頬がさっと染まる。意地悪をするつもりで訊ねたのに、逆に跳ね返されてしまう。いたたまれなくて逸らした視線を、タクトは訝しんだ。
「スガタ…? ごめん僕、何か変なこと言っ……」
「タクト、愛してる」
 こつんっ、と額を合わせてそう告げてきたスガタの声を、頭の中で繰り返す。
 その言葉を理解して、タクトはゆでダコになった。
「ス、スガタはズルイ!」
「どうして」
「こんな時にそんなこと言われたらっ……嬉しくてドキドキして…どうしようもなくなるじゃんか…っ」
 真っ赤になった顔ごと視線を逸らして、八つ当たりに近い悪態をつく。そんな可愛らしい仕種に、スガタはふっと笑った。
「じゃあお前も言えばいい。それでおあいこだろ」
 ちゅ、と頬に口づけて囁く。策略のつもりはなかったが、あとから思えばそう見えてしまうかもしれない。頬を膨らませたタクトに笑って、指を滑り込ませる。
「冗談だ、無理に言うことない。お前が本当にそう思ったときに……言ってくれ」
「スガ……タぁ…っ」
 スガタの指に翻弄されて、タクトはのけぞる。触れる素肌が、嬉しくて幸福なのに、なんでそんなこと言うんだと、責めてみせる。
「僕はっ……僕だってスガタのこと好きなのに…!」
 無理になんて言えないのは分かってる。演技じゃないのだから、自分の本当の気持ちを言うべきなのだ。
「タクト」
 スガタの首に腕を巻き付けて抱き寄せる。近づいた鼻先に口唇が触れて、スガタの心臓が鳴った。
「スガタ、大好き……あいしてる…」
 そのあとすぐに、重なってくる口唇。
 タクトのつたないキスにスガタは目を閉じて、そっと髪を撫でた。
「……本当に、タクトの言う通りだな」
「うん?」
「嬉しくてドキドキして、どうしようもなくなる」
 苦笑を漏らすスガタに、今さらながら自分の発言を思い返して、タクトは頬を染める。愛してるなんて言える人は、この先ずっと現れないだろう。シンドウ・スガタ以外には。
「わ」
「覚悟するといい、タクト。僕はお前を手放したりしないからな」
「んっ……の、のぞむところ、だよっ……」
 ギ、とベッドが啼く。つながったところが疼いて、タクトは、あ、と声を立てた。隙を見計らって入り込んだスガタは、泣き出したタクトの目尻にキスをする。
「スガタ……っ」
「イきたかったら…っ、イッて……いいぞ、タクト」
 耳元で聞こえる、お互いの吐息。呼ばれる名前に体が震え、足が絡んだ。
「……一緒じゃ、ダメ…?」
 思いも寄らないタクトのおねだりに、スガタは目を見開いて、そして愛しそうに細めた。
「駄目……じゃない」
 手を重ね、指を絡める。強く握れば、握り返してくる。そっと触れ合った口唇を合図に、ふたりで呼吸を同じにした。
「はっ……あ、ぅ」
「タクト……もっと、足……」
「んっ…スガタ…!」
 素肌が触れる。汗が混じる。足が絡む。腰が合わさる。
 言葉では伝えきれない想いをぶつけ合うように、ふたりはつながった。裸のままで抱き合って、広いベッドに落ちていく。



 朝目が覚めたら、大好きな人からのキスが降ってきた。
 キスのあとのおはように、ふたりともが笑う。
 喜びに満ちた朝の光に、もう一度愛していると囁いた。


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