華家
-HANAYA-
好きなものを好きな時に
No.646
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン 2025.01.24
#お題 #両想い #未来設定
一緒に暮らし始めて、とにかく困ったのは金銭感覚の違いだった。 庶民と財閥の御曹司ではそうなるのも仕…
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン
お題:リライト様 /スーパーで買い物
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一緒に暮らし始めて、とにかく困ったのは金銭感覚の違いだった。
庶民と財閥の御曹司ではそうなるのも仕方がないが、どこでどう折り合いをつけていけばいいのか、最初は本当に手探り状態で、言い合いも何度だってしてきた。
食費にいくらかけられるかというのは、家庭を持つ上で重要かつ重大なファクターだ。特に、体を資本とするスポーツ選手ならば尚更そこは妥協ができない。
しかし、高い食材であればいいのかといえばそうでもなく、新鮮さと調理のしやすさも大切だと、恋人に何度も説いた。
きちんと話せば理解してくれると分かってから、口下手なりに言葉を選んだつもりだ。
どうして駄目なのか、どちらがより良いのか、どうやって使うか。
元々頭もいいし順応性の高い恋人は、一度理解すると吸収するのは早く、最近では「ポイントカードを使う」というのも覚えたらしい。
「手塚、鶏にするか? それとも魚の方がいいか」
カゴを乗せたカートをカラコロと押しながら、跡部が振り向いてくる。そういえば今日は鍋にするのだったか。メインの肉は何にするか、決めていなかったな。
「そうだな……今日は時間もあるし、つみれを作ってみるか? ネギや生姜を入れて」
「つみれ? 家で作れるもんなのか?」
「簡単だぞ。鰯のつみれにしよう。開きが安い」
コーナーで足を止めて鰯を指すと、跡部は瞬時に新鮮なものを選び抜いてカゴに入れる。
「生姜はまだ冷蔵庫にあったな。あ、ネギがねえ。一昨日使いきっちまった」
跡部が、冷蔵庫の中身まで把握しているというのは正直ありがたいな。俺はそっちの方はあんまり得意じゃないんだ。
ネギと、白菜と、にんじんと、椎茸をカゴに入れる。「手塚ぁ、シメにうどん食べようぜ」
「うどんか。いいな」
いそいそと、うどんのコーナーへ足を向ける跡部。だいぶ染まってきたなと口の端が上がってしまう。そもそも、跡部が低価格のスーパーで食材を買い込むこと自体が、以前からしてみたら考えられないことだが。
必要な食材をカゴに入れて、セルフのレジへと向かう。
時間が時間だからか、少し列ができていたが、さほど待ちはしないだろう。
「あ、忘れてた」
「なんだ?」
「すぐ戻る。並んでろ」
買い忘れがあったようで、跡部が俺に財布を預けて列を抜けていく。
他人に財布を預ける跡部というのがいまだに慣れないが、信頼の証しだと思うとそれは嬉しい。
順番が回ってきてレジにカゴを下ろしたあたりで、跡部が戻ってきた。その手に、小さいくせに値段が高いアイスクリームを二つ手にして。
「おい、跡部」
「たまにはいいだろ。ほら、抹茶のがあったんだぜ」
何もその高いアイスでなくとも、と言い掛けたが、わざわざ俺の好きそうなものまで持ってこられては、どうしようもない。
「しょうがないな。今回だけだぞ」
「ああ、楽しみだぜ」
跡部はそう言って、エコバッグを広げている。そういう姿が可愛いと思ってしまうあたり、俺は生涯コイツに勝てることなどないのだろうとため息を吐いた。
#お題 #両想い #未来設定