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No.644
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン 2025.01.22
広いバスタブにもかかわらず、跡部はくっついて入りたがる。ついさっきまで、ベッドの中で散々くっついて…
No.644
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン 2025.01.22
広いバスタブにもかかわらず、跡部はくっついて入りたがる。ついさっきまで、ベッドの中で散々くっついて…
広いバスタブにもかかわらず、跡部はくっついて入りたがる。ついさっきまで、ベッドの中で散々くっついていたのにだ。
もちろんそれが嫌なわけではない。むしろ跡部に甘えられているようで、気分がいい。
どうにも跡部は、俺を構うというか、甘やかすのが好きらしく、いろいろと面倒を見られてしまっているんだ。
食事のことだったり、テニス関係のことだったり、スケジュールの組み方だったり。それは様々、本当に多岐にわたる。
俺はコイツがいないと生きていけないのではないかと、たまに真剣に考える。いろいろな意味でだ。
幸か不幸か、俺たちは割と早い段階で、パートナーとして最高の相手を見つけてしまった。
テニスに惹かれ、人となりに惹かれ、恋人同士になれて、肌の味も感触も知った。
それなりに長い付き合いになったが、決して飽きることのないこの関係に、俺は感謝している。
だから、跡部が望むのなら好きにさせてやりたい。
一緒に風呂に入りたいという跡部を可愛くも思うし、我が儘にもならないお願い事を、断る気にはならない。
ボディタオルで体を洗ってやるのも、最近は慣れてきた。柔らかな泡で包み、優しく撫でる。
おかしな気分にもなりそうだが、そういう時は大抵気づかれて、何ゲーム目かに突入してしまうのだが。
足の指を洗う時は跡部がひどくくすぐったそうにするのが可愛くて、つい執拗に撫でてしまう。
髪を洗う時はことさら優しく。
俺は自分で思うよりも跡部の髪が好きらしく、傷まないようにと常に思っている。
特に汗をかくことが多いから、手入れは入念にやってほしい。この美しい金糸がシーツに踊る様は、本当にぞくぞくするんだ。そんなことを知っているのは俺だけで充分だが。
シャンプーを流すとき、目を閉じてろと言うと、跡部は素直に上向いて目を閉じる。
それはキスを待っている時の仕種とまるで同じで、俺はついキスをしてしまったことが、何度もある。跡部は、流すんじゃないのかと怒るが、可愛いんだからしょうがないだろう。
それはトリートメントの際も同じだった。
そうして跡部の身を清めてバスタブへと促し、次は自分の体を洗う。
満足げに湯に浸かる跡部を眺めながら、というのは案外に楽しくて、俺もこんな時間は好きだ。
跡部を洗ったものと同じボディソープ、シャンプー、トリートメント。当然跡部と俺は同じ香りに包まれることになって、独占欲も満たされる。
もっとも、自分の中に独占したいなどという感情があったのを知ったのは、跡部と付き合うようになってからだったが。
跡部景吾を実際に独占できるとは思っていないし、跡部の方も、俺を物理的に独占したいなどとは思っていないだろう。
だけどふとした時に、この男は俺のものなのだと感じることがある。独占欲と、優越感が混じった思いがあることを告げた時、気を悪くするかと思ったが、少しもそんなことはなかった。
それで誰かを傷つけるようなことがなければ構わないと、ひどく寛容な心で受け入れられた。不思議に思ったら、俺も同じだからと返されてまた驚いたのを覚えている。
独り占めしたい時は素直に俺だけに言えと、愉快なことも言われた。
「てーづかぁ、早く来いよ。お前を独り占めさせろ」
バスタブの方から、跡部が呼ぶ声がする。
跡部はこうやって、俺だけに独り占めしたいと言ってくる。同じ気持ちだったのだと安堵もして、「少し待て」と答えてやる。
泡を流して、手のひらで申し訳程度に髪の水分を絞る。
跡部に手招かれ、俺も湯船に体を沈めた。温かな湯が、身も心も癒やしてくれる。
そして何より、くっつきたがる恋人の存在が、身も心も満たしていくのだ。
「ん。やっぱ好(い)い男だな」
髪を上げた額に、跡部の唇が押し当てられる。跡部はとても楽しそうで、俺も悪い気はしない。お返しを跡部の頬に贈って、湯船の中で彼の体を抱きしめた。
「今日は薔薇浮かべなくていいのか」
「ああ、このままでいい。お前あれあんまり好きじゃねえだろ」
「まあそうだが、楽しそうなお前を見ているのは好きだ。跡部の好きなようにしたらいい」
肩を撫でれば、跡部が寄りかかってきてキスをねだられる。ちゅっと形のいい唇にキスをして、さらに強く抱きしめた。
「甘やかすなよ」
「俺がいつも言う台詞だな」
「ハハ。でも、今日はこのままでいい。こうやってお前だけ感じていたい」
「可愛いことを言うんじゃない」
すり……と鼻先をすり寄せられて、困る。散々堪能したはずの跡部を、また抱きたくなるだろう。さすがに跡部の体が保たない。無茶はさせられないと、ため息ひとつで情欲の火を消した。
「俺は構わねーが、そうやって気を遣ってくれるのもいいな。あー……愛されてるって感じがするぜ……」
嬉しそうにそう言葉にされて、やっぱり手を出すわけにもいかなくなった。
ひとまず、この大好きな髪にキスをするだけにしておこう。
#お題 #両想い #未来設定