華家
-HANAYA-
好きなものを好きな時に
No.52
その他ウェブ再録 2010.12.29
#STARDRIVER #スタドラ #シンドウ・スガタ #ツナシ・タクト #スガタク
「スガタは、本当にワコのこと大事なんだな」 ワコを送り届けて、タクトはスガタとふたり、歩く。「今日は…
その他ウェブ再録
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「スガタは、本当にワコのこと大事なんだな」
ワコを送り届けて、タクトはスガタとふたり、歩く。
「今日はそればかりだな、タクト。まるで言い聞かせているみたいだ」
そうかな、と思い出して、そういえばそうだったかもと困ったようにタクトは笑う。
「ワコと僕が許嫁同士だってことを、気にしているのか? 恋愛は自由だと、僕は思っているんだけどね」
スガタは自嘲気味に笑う。
親が決めた許嫁という関係に、どれほどの意味があるのだろう。相手がワコでなければ、監視の目を振り切ってでも、とっくにこの島から逃げ出していただろうとは、思うけれど。
「お前は、ワコが好きなのか?」
「好きだと思うよ」
「そうか」
予測していた答えだ。スガタはタクトの素直さを羨ましく思う。
「ごめんスガタ」
立ち止まり、タクトは満点の星を見上げた。そうされたスガタは意味をはかりかねて、三歩先でタクトを振り返る。
恋愛は自由だと、行ってきたはず。ワコとはまだ何も誓いを交わしていない限り、制約など亡いはずなのに。
「僕に謝らなきゃいけないようなことをしたのか? …あのミズノとかいう女のことか。確かに、ワコ以外の女といるところを見るのは気にくわない」
「僕がちゃんとワコを守れていたら、お前がザメクとアプリボワゼする必要はなかった」
死ぬかもしれないと分かっていてもなお、スガタはワコを守る為に王の柱を発動させた。
「なんだ、そんなことか」
スガタはゼロ時間の中で目覚め、結果的には現実世界で再会もできたけれど、歴代のザメクのドライバーと同じ運命をたどることだって、充分あったのだ。
「お前が自分の弱さを嘆くなら結構だ。僕は僕の意志で戦う」
スガタは静かに、目を細める。
ザメクのスタードライバーになった者の末路は知っている。だからこそ、その一度きりの発動はワコを守る時だと決めていたのだ。
「お前が弱いのは知っている。だけどそれを僕に押しつけるな、タクト」
目が覚めた今、生きていることに感謝はしている。死にたくなどはなかったが、この命はワコにくれてやるものだと思っていた。
だけど今、こうして生きている。
ツナシ・タクトとこうして言葉を交わしている。
「お前も、あの力を使うなと言うんじゃないだろうな」
「…言わないけど、思ってる。ワコの、あんな涙を見るのはもうごめんだよ」
自分では止められない。シンドウ・スガタでなければ、駄目なのだ。
「使うななんて言わないよスガタ。僕がお前の力を借りなくてもいいくらい、強くなれば、それでいいだろ?」
不敵に笑うタクトに一瞬、スガタは目を瞠る。
「僕はワコが好きだし、スガタにも生きててほしい」
そのためならきっと、どんなピンチだって切り抜けてみせる。
それは強い意志で、スガタを突き刺してきた。
「……タクト、お前は今、ワコが好きだと言ったな。その言葉をどこまで理解している?」
どこまでって、とタクトはスガタの言葉をなぞる。
好きだという言葉に、いろんな種類があることくらいは知っている。
どういう意味だろう?とタクト自身が首を傾げた。
友達として、大好きだ。
仲間として、大好きだ。
それは、スガタに対しても言える。
守ってやりたいと、望むならこの島から出させてやりたいと思っている。
それも、スガタに対して言える。
「……すぐに答えられん程度の想いか。話にならないな」
「僕は二人とも大事なだけだ! だからっ……だから、三人でいられたらなって……思っただけで」
「だから僕を受け入れたのか?」
ザァと風が吹く。
スガタが何のことを言っているか明確に理解していて、それでもタクトはすぐに答えることができなかった。
「だから、僕に抱かれたのか?」
「スガタ、僕は」
タクトはすぐに答えることができない。
どうしてだろう。あんなに素直に、シンドウ・スガタという男を受け入れてしまったのは。
そうしているのが自然で、むしろどうして今まで別々のものだったのだろうとさえ感じたように思う。
肌に触れているのが気持ちよくて、あまりにも自然だったから。だから、特別なこととして認識できなかったのだ。
「でも……スガタだってワコのこと大事だろ…?」
「ああ。ワコだけが大切だ、この先ずっとな」
揺るぎない意志だ。そこまで強い意志を貫き通せるから、王のシルシを受け継いで、ザメクを発動させながらも生きていられるのか。
「僕はワコのためなら命を懸けられる。だがタクト、お前の為に命は懸けられん」
その命は、一人の少女のためのもの。同時に二人へは、捧げてやれない。
スガタはワコを大切だと言いながら、タクトを自分のものにした。
「言い訳めいた言葉だな、スガタ。僕は別に、気にしてない……友達だろ、僕たち」
まるで浮気の常套文句のようだ。だけどタクト自身、それ自体をあまり気にとめていない。
「僕もお前もワコが大切で、僕はスガタが大事だ。変わらないよ…」
初めて体を重ねた相手が同姓だなんて、それはやっぱり誰にも言えないけれど、スガタを責めたり嫌いになったり、そんなことは考えたりもしていなかった。
スガタがいなくなることだけが恐ろしい。三人でいられなくなることが、いちばん怖い。
「僕の命はワコのものだ。お前には何もやれん」
「命なんていらない、スガタはそのままでそこにいてくれたらいいんだよ!」
「それでもお前を愛していると言ったら、どうする、タクト」
歩きだして、スガタを追い越すかどうか、といった瞬間、すぐ真横で聞こえた声に足が止まる。
「…………愛!?」
思わずスガタを振り向いて、聞き直した。
「愛してるって、それ、……LOVEってこと?」
「そうだな。自覚をしたのは今日だが」
逸る心臓、たぎる心、嫉妬にそらす視線、そらしたくない目線。
「僕を好きだから、抱いたのか?」
「どちらが先かわからないけどな。好きだから抱いたのか、抱いたから好きになったのか。だけど今日……お前を見ていて思った」
スガタの腕が伸びてくる。頬を包む手のひらは、いつもより少し暑い気がした。
「出逢った時から興味を持っていたのは、お前が…お前だったからなんだ」
体ひとつで本土からこの島に来て、なにを企んでいるのか、最初はそれだけを気にしていた。何かあるはずだと。
まさか銀河美少年だとは思わなかったが、あの時の胸騒ぎは、スガタが受け継いだシルシが共鳴していたのだろうか。
「タクト、どうして拒まない。僕はこのまま、お前をどうにでもできるんだぞ」
両頬を包まれたまま、至近距離で言葉を紡ぐスガタを、タクトはただ見つめているだけだった。
沈黙が訪れる。
それなのに視線の交錯は途切れずに、いつしか引かれあっていった。
――――スガタ……。
瞼が落ちる。
口唇が触れる。
髪が、互いの頬に触れる。
「なあ、スガタ」
――――僕はワコを守るためにここに来て、お前に出逢うために生まれてきたのか…な。
離れた口唇が最初に紡いだのは、罵倒でもなくまた愛の言葉でもなかった。
「ワコには、言えないな」
どうしよう、と困ったような困ってないような口調で、タクトは頬をかく。
「ワコを泣かせるなよ、タクト」
ふ、と笑ってスガタは歩き出す。その言葉には若干抗議をしたくて、タクトは後を追った。
「ワコを泣かせるなって、スガタに言われたくないよね」
いちばん泣かせているのはスガタのくせに。
それは口に出さないで、視線だけで訴えてやる。
「さて、どうするタクト」
「え?」
道が分かれるところでスガタは、ぴたりと立ち止まる。タクトは不思議そうに、振り向いた。
「向こうは学園の寮。こちら側は僕の家だ」
どちらへ行くもお前の自由、という余地を残しながらも、スガタの視線はそうは言ってない。
「来いよ、タクト」
「無断外泊って、なんかペナルティなかったけ」
すくめた肩はイエスのシルシ。
二人はそれから、一言も交わさずにシンドウ家へと進路を取った。
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