華家
-HANAYA-
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No.505
永遠のブルー,塚跡WEB再録 2022.04.10
#塚跡 #片想い #ウェブ再録 #シリーズ物 #永遠のブルー
全国大会出場が決まってからというもの、氷帝学園テニス部はいつも以上に活気づいていた。正レギュラーは…
永遠のブルー,塚跡WEB再録
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全国大会出場が決まってからというもの、氷帝学園テニス部はいつも以上に活気づいていた。正レギュラーはもちろん、準レギュラーや予備軍すべてが、基礎体力づくりや技の磨きに励んでいる。
「宍戸! 鳳! コートに入れ!」
それはもちろん、帝王である跡部を筆頭にだ。
「跡部のヤツ、絶好調やなぁ」
「ダブルス対シングルスかよ。それでも跡部が勝つんだろ。意味分かんねーよな」
「跡部ならありだC~」
レギュラーであるダブルスペアを一人で相手している誇り高きキングを、筋トレを一通り終えたメンバーたちが見守る。自身の鍛錬と同時に、仲間の力をも底上げさせる彼は、誰よりも努力を重ねる男だ。
「でも、たまに手がブレたり足が止まったりしてますが。あれ、なんなんですかね」
「日吉、そんなとこまで見てんのかいな」
「下剋上のチャンスは逃せないんで」
「おー頑張れよ」
日吉の言うことは事実だった。普段誰よりも集中してハードな鍛錬も意に介さないといったふうな跡部景吾が、いったい何に気を取られているというのか。
「らしくない」と正・準レギュラーメンバーをして言わせるほどに、あんな様子は珍しいものだった。
――――くそっ……邪魔すんじゃねえ、手塚!
そんな跡部の頭の中をちらちらと行き来するのは、手塚国光だ。つい昨日、リハビリから復帰したばかりのあの男。二時間以上も跡部と打ち合って、今日も練習に精を出しているだろう男だ。
跡部は顎を伝う汗を拭う。
昨日だけでは飽き足らず、日をまたいでまでも居座ってくれている男が、憎たらしくてしょうがない。浮かんでしまった仮定の感情はいまだに頭の中にふよふよと浮かんでいる。練習中には考えたくないのに、ずっと漂っているのだ。
『お前でなければ駄目だった』
リフレインするなと何度も言い聞かせているのに、昨日のことが思い起こされる。まったく腹立たしい。
全国大会は、なにも手塚一人が相手というわけではない。それなのに、手塚のことしか考えられない自分が腹立たしくてしょうがなかった。
「宍戸さん、すみません俺、うまくフォローできなくて……」
「返せるか、あんな球! クソッ、激ダサだぜ」
氷帝のメンバーと相対しているのだと頭では分かっていても、体が違う相手を想定して動いてしまう。手塚のつもりで打ってしまい、返ってこないボールに落胆を覚える。
これでは駄目だと、額を押さえた。
――――考えるな。考えるな、跡部景吾。それは余計な感情だ。俺のテニスには必要ねえ!
手塚のことが好きだなんて、そんなことがあるわけない。仮にあったとしても、テニスに持ち込むべきではない。カッと目を見開き、いつも通り宍戸・鳳ペアの弱点を攻めるためにラケットを振り抜く。
――――そうだ、関係ねえぜ。俺はテメェのことなんざ、何とも思っちゃいねえ。
今は手塚のことを考えている場合ではない。あんな不可解な感情をいつまでも引きずっているなんて自分らしくないと、返ってきたボールを打つ。
大会のことを考えなければ。今まで以上に厳しい戦いになることは目に見えている。チームのメンバー以上に自分がもっと高みにいかなければならないのだ。キングたりうる者の宿命として。
氷帝に勝利を。考えるのは、それだけでいいはずだった。
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