華家
-HANAYA-
好きなものを好きな時に
No.34
NOVEL,マクロスF,ミハアル 2009.02.03
#両片想い #シリーズ物 #ミハアル
-Alto&Michael- 今日こそ、言おうと思う。 昨日も、言おうと思った。 確かその前も、言お…
NOVEL,マクロスF,ミハアル
favorite いいね ありがとうございます! 2009.02.03 No.34
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-Alto&Michael-
今日こそ、言おうと思う。
昨日も、言おうと思った。
確かその前も、言おうとしていた。
でも、いつも言えないんだ。
言った後のことを考えると、すげえ怖いんだよな。なにせ俺もあいつも男だし、何言ってんだよ気持ち悪いって突っぱねられんのが関の山だ。そして変なものでも見るような目で見られて、避けられて終わるんだ。
何度も頭に描いたじゃないか、そんなこと。
だから、もうやめてやるって思うのにな。
それでも逢うたびに胸が鳴って、しょうがないよなって、諦めることを忘れちまうんだ。
あの日キスをしてから、どれだけ経ったんだろう。あの後も当然だけどあいつは何も変わらずに、やっぱりドキドキしてたのは自分だけなんだって思った。
まだ感触を思い出せる。ただの【レクチャー】だって分かってんのに、俺の方は熱くなっちまって、夢中になってた。
気持ち良かったな……。もうできないんだろうな。
なあ、気づけよお前。こうしてお前の隣をなんでもないフリして歩くって、結構しんどいんだぜ。
他愛ない会話をわざわざ探して、これからの関係に差し障りないように選んで、たまに横顔を盗み見ながら、必死で好きだって気持ち抑えてんだ。
気づけよ、この鈍感。
「なあ姫、渋谷エリアに新しいケーキ屋ができたんだってさ」
「……また女からの情報か? 相変わらずお盛んだな」
「あれ、そういうこと言うんだ? せっかくオゴッてやろうと思ったのになあ」
少しだけ速まった歩調に、慌てて合わせる。
「マジで? 前言撤回する」
「予定ないだろ? これから行こうぜ。可愛い店員さんいるかな、楽しみだ」
「お前はそれしかないんだな。ああでも、俺も楽しみだ、どんなのあるかな」
そしてまた、互いの歩調がゆっくり同じになるんだ。
気づけって、だから、もう。
楽しみなのはお前とケーキ屋行けることであって、それ以上の楽しみなんかないのに!
もういやだ、こんなじれったい気持ち。
やっぱり言ってしまおうか、お前が好きだと。レクチャーじゃないキスがしたいんだと。本当は笑い合って抱き合って、いちばん初めにおはようって言いたいんだ。
ああくそ、泣きたくなってきた。
情けないな、こんな風になっちまうなんてさ。俺がこんな想いを抱えてるって知ったら、周りのヤツらは笑うだろうか。
いつだって傍にいるせいで諦められなくて、いつでも傍にいるのに言い出せなくて、気づけば長いこと片想いしてる、なんて。
自分でも馬鹿みたいだなって思うよ。せめてもうちょっと楽な相手を好きになればいいものを。
ああ、でも。
あの背中を見るたびに、髪に触れるたびに、声を聞くたびに、どうしようもなく好きなんだなって実感する。この間なんか夢にまで出てきて、目が覚めたとき思わず力なく笑ってしまった。
もう、どれだけ好きになってしまっているんだ。
「どうしたんだ?」
知らないうちに立ち止まってしまっていて、何かあったのかと覗き込んでくる。
ああ、きっと最初に好きになったのはその目なんだろうな。
「別になんでもない。悪いな、行こうぜ」
「悩み事でもあるのか」
深刻そうな顔をしていた、と言われて自嘲気味に笑った。そうだ、深刻な悩みだよ。きっとこの銀河が平和になっても、ずっと続いてく悩みなんだ。
「俺には話せない悩みか? 相談くらいだったら、いつでも乗るぞ」
「ああ、うん、ちょっとお前のことが好き過ぎて」
「あー、俺もあるぜ悩むとき。お前のことが好き過ぎて」
ため息混じりに呟いた。
ため息と一緒に返ってきた。
そうしてからやっと気づいた。
三秒の沈黙と、それから同時に振り向くお互いの顔。
「あ、そ、そうなのか?」
「え、あ、うん、まあ」
なんてことだ。……なんてことだ!
言っちまった、ぽろっと口から出ちまった。
こんな風に言うつもりじゃなかったのに。
あんな風に返される予定はなかったのに。
「あのさ、今の、本気で信じるぞ」
「俺のセリフだ、ばかやろう」
「なんだよもう、そうならそうとちゃんと早く言えってんだ」
「お前こそ、少しはそういう素振り見せろよな」
こっちは見せてたつもりだ。好きでもないのにあんなキス、できてたまるか。
そうだ、あの時言ってくれれば良かったんだよ。そうすればもっと早く、お前と手が繋げたのに。
「じゃあ、改めて言うけど」
「あ、うん」
正面で向き合った。周りの喧騒なんか、耳に入ってこない。あいつの声だけ、聞いていたいんだ。
「好き、だ」
「俺も、好き」
これでやっと両想いだ。念願叶った、神様ありがとう。
手が触れた。指が絡んだ。お互いに握り合って、新しくできたというケーキ屋へと足を向けていく。
でも、でもどうしよう。恋が叶ったらこんなに悩まずにすむと思っていたのに。
「ああ、どうしようアルト。すげえ好きだー」
「知るかよ、俺だってすげえ好きでどうしようって思ってんのに!」
好き過ぎて、また悩む。
ああもうちくしょう、大好きだ。
結局また今日も、【好き】の渦から抜け出せず。
#両片想い #シリーズ物 #ミハアル