華家
-HANAYA-
好きなものを好きな時に
No.10
NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ 2005.03.30
#ラブラブ #両想い #R18 #ラビユウ
激しい雨が窓を叩く。もともと雨は好きじゃなかったが、それでも任務中に降らなかったことをよしとしよう…
NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ
favorite いいね ありがとうございます! 2005.03.30 No.10
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激しい雨が窓を叩く。もともと雨は好きじゃなかったが、それでも任務中に降らなかったことをよしとしよう。
ガラスという障害物に当たって弾ける脆い軌道を視界から消し去りたくて、神田はシャッとカーテンを引いた。糸が切れたように、ばふんとベッドに寝転がる。だがココは、彼自身にあてがわれた部屋ではな
い。どだい、部屋の内装になど気にも留めない神田の部屋に、カーテンなんて気の利いたものがあるはずもなかったのだ。
「……馬鹿うさぎ…」
先ほど任務を終えて帰還した自分と入れ違いに昨日、逢いたかった人はイノセンス回収の任務に出かけてしまった。それはもちろん彼のせいなどでなく、また指令を出す室長、コムイ・リーのせいでもない。
そんなことはわかりきっているが、恨み言を吐かずにはおられなかった。
「…何日経つと思ってやがる……」
逢えなく、なってから。
自分たちはエクソシストで、それぞれ任務を執行することが当たり前で、すれ違ってしまうことも、まあザラで。
そんな中、恋をした自分たちが愚かなのでしょうか。おお母なる神よ。
「ラビ……」
神田はベッドに伏したまま、少ししわになったシーツをきゅうと握った。またメイキングせずに任務に就いたのだろう。
恋人のにおいが残るそれに縋って、その日幾度目かのため息をついた。
不意に。
耳を支配するコール音。脱ぎ捨てたままの団服から、ぴゅんと飛び出す無線ゴーレム。個人の部屋に備え付けられた無線に応答しなかったから、コムイが察して移動用無線に入電したのだろう、と思った。
面倒だと思いながらも起き上がり、パタパタとまとわりつくように飛び回るゴーレムに応答する。
『ユウ』
この教団内…いや、世界中どこを探しても、自分を名前で呼ぶ人間はもう一人しかいない。神田は思わずゴーレムを振り向く。
「────ラビ?」
『ユウ、オマエ今どこにいんのさ? 帰還したって聞いたから部屋の方かけたのに。出ねーからさー』
ゴーレム越しにとは言え、久方ぶりに耳に入れる、声。身体の奥のほうで熱を持ち始める想いに、歯止めはかけられなかった。
「…オマエの部屋だ。部屋の片付けくらいしてけよ。いつも言ってんだろ…」
綻んでしまう頬を、彼以外、誰に見せたことがあるだろう?
『ちょっと急ぎだったんさー。もうちょっと余裕あったら、ユウに逢えたのに』
ごめんさ?とノイズ混じりの低い声。何を謝る必要があるのだろう。イノセンスの回収には、一刻一秒を争う時だってあるのだから。
だけどその言葉は【逢いたかった】という気持ちを切に表し、神田の身体に溶け込んだ。
「長くなりそうなのか? この雨、しばらく続くぞ」
声を受け楽しそうに飛ぶゴーレムが、騒がしいあの男を思い起こさせる。神田は未だ激しい音を立てて世界を揺する雨の影に目をやった。
『んー、ちょっと長くなるかもさ。……通算56日目、かな』
ため息の混じった声に、神田は何がと聞き返してしまう。少し考えればわかる答えだったのにもかかわらず。
『ユウに最後に逢ってから』
「…────そんなもんか?」
ラビは【記憶】し【記録】することを得意とする。彼が言うのであれば、まずそれに間違いはないのだが、もっと長い間逢っていないように思うのは、逢いたいと望んでいるからだろうか。
『長い。ユウに触りたいさ~……あ、いいコト思いついた。ユウ。ちょっと目ぇ閉じてみ?』
そう思っているのは向こうも同じようで、無意識に安堵した。
「は?」
『キス、しよ』
楽しそうな嬉しそうな声が、耳をすり抜ける。一瞬、自分のその耳を疑った。
「何言ってんだ…アタマ平気か?」
キスということは互いの口唇を合わせることであって、お互いが目の前にいないと成し得ない行為である。
『本気本気。なんなら実況中継』
「ふざけんな」
ため息交じりに返した声に、ふざけてない、と強く諌めるような音。この男にしては珍しい声音だった。
『ホントなら今すぐ飛んで帰ってユウにキスしたいところさ。ユウってキスする前、ホントに色っぽい顔する。見たい』
「ばっ、馬鹿言うな…っ」
『ホントだぜ? ギリギリまで目蓋伏せて、その奥の瞳に恥ずかしそうにオレのこと映してさ、ねだるように口唇を上げるンさ』
飛び回るゴーレムの羽が頬をこすり、ラビの声が耳のすぐ傍を通る。
「んっ…」
思わず上げてしまった声を高性能な無線ゴーレムが漏らすはずはなく、それはやはり向こう側にいるラビにまで届いてしまう。
『ほら…そーやって甘い声出してさ……オレが口唇舐めてやると少しだけ開いて…舌入れると苦しそうに逃げ回って』
「ラビ、よせ…っ」
ラビの意図を汲むかのように、ゴーレムは神田の耳元ばかりをさえずるように飛び回る。耳元で聞こえるラビの声に、神田は肩を震わせた。
『オレはユウの舌追っかけて、やっと捕らえて抱きしめてやると安心したみたいに舌、絡め返してくれる』
「やめろって、言っ…てんだろ!」
逢えない時間がそうさせるのか、思い起こされるキスの感覚。渇いた口唇が次第に濡れていき、角度を変えるたびに深くなっていく口づけは、想像するだけでも情をかき立てる。
『ユウは右の奥歯のあたり、弱いんさ。立て続けにそこ、攻めてやるとさ、膝ガクガク言わせてオレにしがみついて来る。ユウ、すげェ可愛い。サイコ』
「ふ…ざけんな…!」
まるでラビの口唇が実際に触れているような感覚が、神田を容赦なく襲う。それほどに回数を重ねた口づけが、【距離】を超えてくる。
『ユウ…感じてる? オレとのキス、想像できてるんさ』
「バッ……感じてるわけね…!!」
『ごめ、ちょっとオレ、やばいンさ、ユウ』
掠れたような声が耳に届く。上がったような息が、彼もまたその行為を想像していたのだと悟らせる。
『えっち、していい…?』
そして、その先を求めている。神田は目を瞠った。ラビの任務地は聞いていないが、飛んでこれるような距離ではないだろう。実際そんな距離にでもいるのなら、這ってでも来いと言ってやりたいところだが。
「ワケのわからねェこと言うな! この状況でどーやってヤるってんだ!」
『できるよ。ユウ…ほら、ベルト外してさ』
欲情したような声が、吐かれる息とともに耳に届く。神田は理解した。この状況で、どうやってセックスをするのか。
「てめ……ふざけんのも大概にしろよ!?」
こともあろうに、ラビは。
神田に、自分で、ヌけ、と。
『なんでさ。したことない? オレがいない時どーしてんのさ、ユウ』
「し、…してねェよそんなことっ!!」
したコトがない、ワケではなかった。神田だって一応健全な男子である。どうしようもなくなった夜、一人でヌいたことくらいある。だがそれだって数えられる程度だ。
ましてや、無線越しとは言え相手の前で、など。
『そうなん? オレなんかしょっちゅうユウでヌいてんのにさ。でもさ、想像はできるさ? さっきのキスみたいに』
カアァと頬が上気する。感覚がまざまざと思い起こされ、思わずギリ、と口唇を噛んだ。
『ユウ…頼むって。もう想像だけでイくの、限度があるんさ。声、聞かせて…』
耳元で、ゴーレム越しに囁かれる。その声から余裕のなさが伝わって、求められていることに安堵と、嬉しささえ感じてしまう。
『オレがいつもしてること、すればイイからさ…』
奇しくも、ココはラビの部屋。声もにおいも、その男の存在を感じるには最適な場所。神田はチッと舌を打った。
「……かったよ…!」
『ユウ?』
「わかったっつってんだよ! そんなにヤりたきゃさっさとしやがれ!」
この心臓の音は、きっと雨音がかき消してくれる。神田はギシリとベッドに座りなおした。
『うわ、ムードないさ~』
「ハ、そんなんてめェでどうにかしやがれ」
『じゃあ…ユウ? 今シャツ着てる? だったらボタン外して』
ラビの声色が急に変わる。セックスをするときの、試すような意地の悪い声。流されるかのように、神田はシャツのボタンに手をかけた。
『ねぇユウの首筋……痕残してい?』
「バ、馬鹿言うな、見え…っ」
実際に残せるはずもないのに、反射的に彼がいつも痕をつけたがる箇所を押さえ隠そうとしてしまう。
濡れた舌の感触と吐息まで、感じられた。何度も重ね合わせてきた身体が、可笑しいほどに【記憶】しているのだ。
『ユウさ、今サラシしてんだろ。任務後、いっつもだもんな。ああ、いいさ外さなくて』
「ラビ…?」
『サラシの上からでいいから、触ってみな、ユウ』
「や……」
自慰の最中相手の声が聞こえるというのも考え物だ。見られているようで、羞恥が倍ほどになる。
『や、じゃないだろ、ユウ…いっつも、胸突き出して触ってって言うのに』
「い、ってね…そんなこと…っ」
それでも、手のひらで、指で、自分の胸をまさぐった。次第に硬さを増す胸の突起は、確かに敏感に【開発】されていて。
『言ってるさ。もっと触ってって…舐めてってさ……今度ティムで映像記録してやろうか?』
「殺す…!!」
言葉とは裏腹に、瞳の端に滲み出す快楽の涙が浅ましく思えて、せめて喉を突いて出てくる声を抑えようと、歯を食いしばった。
『ユウ? 声、抑えようとしても無駄さ? オレがそこ、舐めてやると超イイ声出すんだもん』
「あっ…」
舌なめずりの音。雨音に掻き消えてしまえと思うほど、淫らな水音。
サラシ越しの愛撫がもどかしくて、神田は突起の部分だけを少しずらし、そこに指を滑り込ませた。
「い…っ…ラビ…」
『ホラ……気持ちいいんさ? ユウはそうやって拒む振りして腰を浮かせる。もっと下のも触って舐めて、めちゃくちゃにイかせて欲しい、ってさ』
「あっ、いや…、だ…ラビ…!!」
最後に重ねた肌の記憶が、身体の奥から這い上がり、熱を誘う。こんなに長い間離れていても、這い
上がってくる熱は変わりなくて、浅ましくて、あまりにも愚かしくて、悔しさがこみ上げる。
「ラビ…」
『ユウ…片手、空く? 胸からさ、下…降りて。肋骨。ユウ、ココ触られるの好きでしょ…指で…手のひらで』
それでも、言われるままに腕が動く。ラビの掠れた声は、理性を吹き飛ばす魔法のようだと、神田は後から思った。
『あっ…あ…ラビ…』
「ユウ、すっげ可愛い…」
実はラビの方も理性なんか決壊ギリギリで、息を上げながら神田に囁く。
セックスをしようと頼んだのは確かにこちらの方だったが、まさか本当にしてくれる、とは思わなかった。神田はハタから見ても分かりやすいほどに、人一倍プライドが高く一見【性】になど興味も無さそうに感じられる。
実際、肉体関係に持ち込むまでにどれだけか苦労を要したのは、未だに記憶している。
「ユウ…ベルト外せる?」
『んっ……』
無線ゴーレムの向こう側から、欲情に掠れた声とカチャリとベルトを外す音が聞こえた。神田の指がどんな風に動いているのか、想像しただけでも背筋があわ立つ。普段の潔癖的な彼からはどうやってもイメージが合わず、そのギャップがラビの欲望のレベルを上げさせた。
「全部、脱いで。もう、結構限界っしょ、ユウ…?」
『そん…ッな…ラビ、これいじょ……無理…』
その言葉に、ラビは口の端を上げた。向き合って肌を重ねる時と、同じようなセリフ、だ。
「ダメ。無理じゃないさ、ユウ? だって覚えてるでしょ? オレがいつも、どんな風にユウをアイシてるか…」
いつもいつも、そう言いながらねだるように腰を上げしがみついて来る彼に、いくつものキスを与え抵抗する理性を吹き飛ばすのがラビのやり方。
『だ…けど』
「ユウ、脚の付け根、弱いんさ。知ってる? 中指の腹でちょっと触っただけでも」
『ひぅっ…』
ホラ、そんな甘い声を上げて。
そんな淫らな声を出されてラビの我慢が効くはずもなく、解放を求めて存在を誇示する己をさする。
服の上から…もう布越しでは満足に感じることもできず、急くようにジャッと荒々しくジッパーを下ろし、右手を忍ばせた。
「ユウ…もっと声……聞かせて」
掠れた声で、深く深く、愛をねだった。
覚えてるでしょ?と囁かれ、神田の指はゆっくりとジッパーを下ろし始める。いつもだったらこれはラビの指であったり、歯であったり、それでも時には神田の手を使って下ろさせる事もあったり。
ベッドの端に座ったままの姿勢では、これ以上身体を支えているのが困難で、神田はそのままベッドに背中から沈んだ。
髪が揺れ、首にまとわりつく。こんな鬱陶しい髪をラビは好きだと言い、しばらく切らないでおこうと決めたのは、多分その時。
「ラビ…」
『ユウ、続けて。オレいつも、ドコから最初に触る?』
「あ…っ」
耳元にちょこんと落ち着いたゴーレムから、ラビの掠れた声と荒々しい息。まるですぐ傍にでもいるような錯覚を起こさせる。
だけど実際に触れてくれるわけもなく、苦しくてもどかしくて、何度も、何度も名を呼んだ。
『根元から…動かして…手のひらで押すようにしてさ…』
「ラビ……い…やだ…っ」
『ウソツキ。どーすんの、ソレ。もう、硬いさ? ちゃんと解放してやんなきゃ…な、ユウ』
「あっ、あ…っふ…」
なだめ誘うような声に、神田の肩がビクリと揺れる。屹立した己を手のひらで包み、指で追い詰め、背をしならせた。
『イイ…最高さ、ユウ…』
「や…ああ、あっ、ん…っ、く」
片手だけではもどかしすぎて、神田は両手で自分を追い詰めていく。ラビの愛撫を、身体で思い返しながら。
折り曲げた膝が浮き上がり、快楽を追っていることがその仕種だけでも嫌というほどわかってしまう。
「ラビ…や…ラビ、もう…っ」
両手が、己の体液で濡れていく。先端からあふれ出す快楽の象徴が、淫らな音を誘い息を乱れさせる。
ラビがいつもしているように、指で輪を作り上下に激しく動かし、爪で引っかき、手のひらでこする。奥でくすぶるふたつの袋を、空いた片手で柔らかく揉んだ。
『ユウ…イきそ…?』
「んっ…ああッ……ラ、ビ…!」
『ごめ、も少し我慢してくんねェ? ユウと一緒にイきてェさ…』
荒い息とともに、濡れた音がゴーレム越しに聞こえる。それはお互いに同じような状況で、愛しいと、嬉しいとさえ感じてしまう。
「ん…ラビ…」
『ユウ、愛してるさ…』
いつものように囁かれる睦言に、神田の脚が跳ねる。そんな声にすら感じてしまう自分が、情けないほど浅ましかった。
「ラビ…ラ…ビ…っ」
浅はかで、愚かしくて、愛しくて、泣けてくる。
浅ましく乱れ、快楽を追い、解放を求める。こんな無様な自分を、この男は愛していると言う。
『ユウ……愛してる…』
「っ…ラビ…!!」
『一緒に、イこ』
「…ん」
いつも、一緒にイく前は必ずキスをしてくれる。その悦楽に酔い、神田は両手で快楽を追いたてた。
「あっ…あ、あ…っラビ、い、く…っ」
『ユウ……っ』
「ひぁっ……あ、ああッ…ラビ、ラ…、────っっ…!!」
『ユウ…、いっ……────!』
神田の脚が、ビクリビクリと痙攣を起こす。
ふたり、同時に果てた。
「っは…はぁ、…はぁ、く、ふぅ…っ」
『っつ…っは…はぁ…はぁ…』
荒々しい息が辺りを包み込む。飛び散った濁る体液が意識を現実に引き戻し、呼吸が整っていくにつれ、羞恥心が神田を支配した。
『ユウ、すっ…げぇよかった。ヤミツキになりそうさぁ~』
「ば、馬鹿言うなっ、もう絶対やんねー!」
思い返せば、なぜこんなことができてしまったのだろう、と口唇を噛んだ。
それを愛と呼ぶ人もいる、でしょう。
『え~、またやろうさ~ユウ~』
ギシリとベッドから降り立ち、
「いっぺん死んでこい」
追う様に飛んだゴーレムを、一刀両断。向こう側から、あからさまにヘコんだ声が聞こえてきて、神田は思わず口の端を上げた。
「気が────向いたらな」
カーテンを開けると、相変わらず激しい雨は景色をけぶらせ、声すらも霞ませる。
だけどそれはラビに届いてしまったらしく、
『さんきゅ、ユウ。愛してる』
幸福そうな音が、耳に届く。胸が詰まった。
「……ラビ」
『ん?』
パタパタと浮遊するゴーレムをしばし見つめ、ためらいがちにカーテンを閉め直した。
「…悪い、なんでもねェ。そろそろ切るぞ」
『…ん。この任務終わったら、今度こそ逢いてェな、ユウ』
なにか言いたげなラビの声音。言いかけてやめた神田の心に、どれだけ気づいているだろうか。
己の薄情さに少し口唇を噛み、神田はそうだなと静かに返す。
じゃあ、また。と無線が切れる。
ゆっくりと息を吐き、カーテンの引かれた窓にもたれかかる。熱に浮かされた身体に、その冷えたガラスは心地よかった。
「ラビ……」
その名を紡ぐ口唇を指でなぞり、そのまま片手で口許を覆い俯く。
言えなかった。
「…ラビ、…」
言えなかった。
「……愛してる…」
こんな雨の音じゃ、小さく呟いても。
「愛してる……」
きっとあなたに届かない────
畳む
#ラブラブ #両想い #R18 #ラビユウ