- きみに逢いに 2026/02/22 11:10:24 NOVEL,テニプリ,塚跡
- クリスマスには早いけど 2025/12/25 00:00:00 NOVEL,テニプリ,塚跡
- 恋人たち 2025/10/11 22:15:31 NOVEL,その他ジャンル
No.728, No.727, No.726, No.725, No.553, No.552, No.551[7件]
その唇で蕩かして

【装丁】文庫44P/300円/R18
【通販】BOOTHおよびフロマージュブックス様にて予定
【あらすじ】焼き肉バトルのヘリデート後、泊まっているホテルの部屋になだれ込んで濃密なキスを交わす二人。昂ぶった体を、お互いの恋情が見逃すはずもなかった――。
※途中、跡部が手塚に乗っかっている描写がありますが、最初から最後まで塚跡です。
ドアを開けて招き入れた。その瞬間腕を引かれ、今閉めたはずのドアに押しつけられる。
「あ、……っ」
すぐに重なってきた唇を拒む気はさらさらないが、唐突な接触に跡部はくぐもった声を上げた。
「んん……っ」
熱く、力強い舌が入り込んでくる。追われた舌が出逢って、口の中で暴れ回った。ちゅ、ちゅ、と濡れた音が響く。足の間に膝を割り込ませ体で押さえつけてくる強引さを、本能で押しやろうとしてしまう。だけど舌先で口の中から頬を撫でられて、ぞくぞくと這い上がってきた快感が、その手を緩めさせた。
「んっ……ふぁ……んぅ」
唇が離れてもすぐにくっついて、むさぼるように吸われる。そのたびに心臓が音を立てて、息が続かない。テニスをしている時の呼吸とはわけが違う。このまま呼吸困難で死んでしまうのではないかと思うほど激しく、奪われていく。
がっちりと腰を抱く腕。膝から太腿を撫で上げる左手。ジャージの上からでもその手が熱を持っているのが伝わってきて、嬉しくて仕方がなかった。
「ん、んっ……」
熱い舌先と器用な指先に蕩かされ、膝から力が抜けていくようだ。それでもどうにか踏ん張って耐え、混ぜられた唾液を飲み込んだ。
「手、塚……っ」
唇が離れた隙に名を呼んで、衿を掴んで引き寄せる。
手塚国光が自分に欲情しているという事実が、跡部景吾を興奮させる。それを、この男は分かっているのだろうか。
奪われていた唇を今度はこちらが奪い返して、離れてやるものかと両腕で手塚を抱きしめた。
どうして離れていられるのだろうと思うほど、互いの恋情は深く、強い。
ドイツへ行けと背中を押したのは跡部自身だし、それ以外の選択肢などなかった。だけどこうして逢えてしまうと、触れたくて仕方がなかった自分を思い知らされる。
「……っおい、ば……馬鹿、待て、手塚」
ジャージの上から胸に押し当てられていた手が、ジャッとファスナーを下ろす。すぐに中のウェアをたくし上げてきて、さすがに慌てて手塚の体を押しやった。
「がっつくんじゃねえよ、こんなところでっ」
「お前が言うな。ヘリの中でも散々俺を煽ってくれたな」
ぐっと言葉に詰まる。
各国を巻き込んだ焼肉バトルの最中に、手塚と優雅にヘリデートとしゃれ込んでいたが、こっそり腰を抱いたり指を絡め合わせたりしていたのは跡部だ。そういう欲が少しもなかったかと言えば嘘になるし、あわよくばという気持ちも確かにあった。
だがだからといって部屋に入ってすぐにとは思っていない。まさになだれ込むような状態だ。
「跡部。まさか俺には性欲がないなどと思っているんじゃないだろうな」
「さすがにそこまでは思ってねえよ! 思って……ねえけど、だから、ちょっと、待てって」
手塚の手のひらが、素肌を撫でてくる。危うくこのままここで許しそうになるが、すんでのところで理性をかき集めることに成功した。
「やりてぇのはこっちだって同じなんだよ、ばか、おい……ほんの少しじゃねえかっ……」
手を引き剥がして、ようやくまともに手塚を正面から見る。濡れた唇やわずかに上気した頬はこんな時しか見られなくて、さらに欲情させられた。ストイックな雰囲気を醸し出すドイツ代表の黒いジャージが、逆にエロティックに手塚国光を包み込んでいる。
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#両想い #ラブラブ #R18 #新テニ #新刊サンプル #塚跡
クリスマスには早いけど

【装丁】文庫128P/700円/R18
【通販】BOOTHおよびフロマージュブックス様にて予定
【あらすじ】クリスマスを絡めた、手塚と跡部それぞれの片想い。
お互い相手に好きな人がいると思っているけれど、簡単には諦められない。応援したいけれど、募っていく想いは矛盾した感情をつれてくる。
跡部は的確に状況を判断し、理解してくれる。それには正直驚いた。大勢の部員たちを率いていた男だ、周りをよく見ているのだろうと思っていたが、ここまでとは。もし同じ学校に通っていたら、どちらが部長に据えられていただろうかと、考えても仕方のない想像をしてみたりもした。
「相手が優しければ優しいだけ、たとえ気持ちを受け入れられても〝本当に好きでいてくれてんのか〟って考えちまうだろう。拒まれるにしたって、拒んだ相手の方が傷つくかもしれないって思ってんだろ」
「恐ろしいほどにその通りだな。眼力(インサイト)はそんなことも分かるのか」
どれもこれもが一度は考えたことで、いっそ憎たらしくなる。そこまで分かるものならば、この気持ちにも気づいてくれていいのではないかと。そして盛大に拒んでくれればいい。その方がすっきりするというものだ。
「フン、眼力(インサイト)を使うまでもねぇぜ」
「じゃあ、お前はどうなんだ?」
「……アーン?」
「よく知らないが、女生徒に人気があるのだろう。交際を申し込まれたこともあるのではないのか? そういう時、お前ならどうするんだ」
「ねえが? 交際を申し込まれたことなんざ」
「は?」
思わず、低い声を上げて聞き直した。
何を言っているのだこの男は。
言ったようによくは知らないが、跡部景吾は男女関係なく人気がある。青学にまで噂が届くほどなのだ、手塚の思い違いというはずがない。
好意があるなら、親しくつきあいたいと思うのが普通だ。それにも関わらず、申し込まれたことがないというのはどういうことか。
「あまり面白くない冗談だが」
「本当のことだぜ。俺様の人気が高いのは否定しねえが、今まで一度も告白なんかされたことねえ。あ、イギリスにいた頃……いやあれは社交辞令だな。参考にならなくて悪い」
もしかして、申し込みだと気づいていないだけなのではないだろうか。そう思いかけて跡部をじっと眺め、「ああ……」となんとなく察した。なるほど、跡部景吾に交際を申し込むなどということは、恋を諦めるより勇気がいるのだ。
まず彼の放つオーラに負けない覚悟をもって目の前に立たなければいけない。それからひどく綺麗な顔をしたこの男に恋を告げる。――無理では? と容易に答えが導き出される。
跡部景吾と同等の自信を持ち、強くなければ、告げることさえままならないのだ。それを考えると、跡部が一度も告白などされたことがないというのも頷ける。
「なるほど」
「何がなるほどだよ。なんかムカつくな。……しかし、お前がねえ……青学の女かよ?」
「いや、…………他校だ。テニスで知り合った」
「なるほど」
「何がなるほどなんだ」
真似をされて、真似をし返して、跡部がふっと笑うのが目に入った。「お前らしい」と言われて、ああテニスだからかと納得した。交流会か大会などで知り合ったと解釈したのだろう。それは間違いではない。
跡部が、どこかホッとしたような表情になった。
「テニスでつながってんなら、いいじゃねえか。最初はギクシャクしても、同じ世界で生きてりゃ理解し合える」
「そうだろうか」
「ああ。なにせテニスだからな」
満足げに頷く跡部に、手塚こそ満たされる思いだ。テニスというスポーツに全幅の信頼を寄せるこの男が、本当に好きだと思う。
それならば、言ってしまっていいのだろうか。拒まれるだろうが、テニスの世界でなら理解しあえるという彼になら、この想いを告げてもいいような気がする。
「だから手塚、ちゃんと言ってみろよ。お前の惚れた女は、お前の真剣な想いを茶化すようなヤツじゃあねえんだろ? 惚れたお前が、相手の価値下げてんじゃねーぞ。もし万が一駄目でも、この俺様が直々に慰めてやろうじゃねーの」
相手の価値を下げるな――言われて気づく。
拒まれるのは仕方ないにしろ、その後に関係が壊れてしまうのが怖いというのは、跡部がそうする男だと言っているのと同じことだ。最初は絶対に気まずいだろうが、跡部景吾はそんなことで揺らぐ男ではないと信じたい。
それにしても、当人がどうやって慰めてくれるのかと思うと、愉快な気分にもなってくる。
告げてみようか。お前が好きだと。
「俺のは無理だが、お前の恋は叶ってほしい」
口を開きかけたその時、体中に衝撃が走る。ひゅっと呑んだ息が、そのまま止まったかのような感覚を味わった。
――俺のは無理だが――
なぜ。
なぜ気がつかなかったのだろうか。跡部の指摘が的確過ぎたのは、彼自身が叶わぬ恋をしているからなのだと。
カタカタと震える歯を食いしばり、唾を飲み込む。全身から血の気が引いていくようだ。
「……跡部、お前にも、好きな相手がいるのだな」
跡部は一つ瞬き、ハッとしたように眉を上げ、次いで寄せる。言うつもりはなかったらしく、珍しく油断している彼に不謹慎だと思いつつ胸が鳴った。
「……普通だろ、別に」
「…………そうだな」
絶望的だ。もともとなかった希望が、ここで絶たれる。親身になってくれたのは、自分が叶えられない恋の代わりだったのだろう。なんて残酷なことをしてくれるのかと、心臓がずきずきと痛む。
「俺に恋を叶えろというのなら、お前だって努力をできるはずではないのか」
「こっちだってまるで絶望的なもんなんだぜ。優しいヤツだからな、拒ませたくねえんだ」
跡部は寂しそうにふるふると首を横に振る。優しい相手なのだと言う彼の方こそ、優しい。拒ませることで傷つけたくないのだろう。それほどに相手を理解し、好きなのだと分かる。
跡部の恋が叶えば、諦めもつくだろうか。
手塚は高い天井を見上げ、ふうーと息を吐いた。
「跡部」
そうして跡部に向き直り、口を開く。
「お前の恋が叶うように願っている。友として、心から」
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#両片想い #クリスマス #未来設定 #R18 #新刊サンプル #塚跡
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手塚と二人で店に戻り、並べられたマフラーを手に取る。迷うことなく、深い緑色のマフラーを選んで。
「お前に似合うと思って」
それをレジで綺麗にラッピングしてもらい、手塚に差し出す。自分がもらったものと同じショッパーなのは紛らわしいが、手塚はしっかりと両手で受け取ってくれた。
「ありがとう、跡部。まだ……実感がわかないが」
「こっちの台詞だ。つーかてめぇ勝手にキスまでしといて実感がねえとはどういうことだ、アーン?」
手塚はぐっと言葉につまったようだった。両想いだったことが判明して、ついうっかりあふれ出してしまった情動が、二人の唇を触れ合わさせた。跡部も別に嫌ではなかったが、場所を考えろとは言ってやりたい。
「……お前があんまりにも可愛かったものだから」
気まずそうに口にされた言葉に、カッと頬が染まり、今度は跡部が言葉に詰まる。
この男の審美眼はいったいどうなっているのだろう。可愛い? と首を傾げてみるが、さっぱり分からない。手塚がそう思っているならいるでそれで構わないが、どうにもむずがゆかった。
「お前本当に俺のこと好きなんだな……」
「お前も俺のことが好きなんだろう? おあいこだ」
「まあそうなんだが」
まさか、手塚の想う相手が自分だなんて思わなかった。
叶わないのだと思って涙を呑んだのに、こんな奇跡があるなんて。
ちらりと見やると、手塚の方も同じことを思っているらしく、どことなく落ち着かない様子だ。それがなぜか可愛らしく思えてハッとする。可愛いとはこういうことなのかと。手塚もあの時、こういう感覚を味わっていたのかと思うと、恥ずかしくて嬉しい。
指先がそわそわとして、胸が鳴る。跡部景吾ともあろう者が、こんな些細なことで心を揺さぶられるとは。それも手塚相手ならしょうがないと思ってしまうあたり、相当重症だった。
「手塚、なあ……クリスマス……空いてんのか?」
「特に予定はない。夕食は家族と共にするが」
「じゃあ、それまでデートしようぜ。テニスもいいが、もう少し恋人らしいことしようじゃねーの」
「デートか、そうか……これからはお前と逢うとなると、そう言えるのだな」
手塚の口許がふっと緩む。こんな些細なことでと思うと、途端に愛しさが増した。
「手塚、ちょっと来い」
袖をつんとつまんで、傍の通路に引っ張り込む。不思議そうに小首を傾げる手塚に身を寄せて、頬にそっと口づけた。
「……っ跡部」
「何照れてんだよ、つられるだろうが」
「いや、その、突然で驚いて」
「俺はもっと驚いたんだぜ」
反論できずにいる手塚にもう一度唇を寄せ、今度は頬でなく唇に触れる。
あの時は感触を味わう暇もなかったから、今度こそと思った。案外に柔らかなそれは心地良くて、本当に恋人同士になれたのだとじわじわ温かみが広がってくる。
だがしかしここはどうしても人目がある。名残惜しいが体を離して、愛しそうに見つめてくる手塚にまた恋をした。
恋をしてもいいのだと思うと、嬉しくて仕方がない。右肩に額を乗せれば、手塚がそっと抱いてくれた。
「跡部、クリスマスにはもう少し長いキスがしたい」
「デートの行き先よりもキスの長さか」
「俺はお前といられるならどこでもいいが」
「可愛いこと言ってんじゃねえ」
「俺は可愛くないだろう」
言いながら、左手と右手が重なり、指が絡んでいく。
そんなことをしていたら、心配した友人たちからことの成り行きを訊ねるメッセージを受信した。
説明をしに行くかと、二人は待ち合わせの場所へと歩き出す。空いた手に、揃いのショッパーを提げながら。
#両想い #BOOST🎄 #クリスマス