No.319, No.318, No.317, No.316, No.315, No.314, No.3137件]

(対象画像がありません)

2.22のガチャ事情

NOVEL,A3!,千至,カクテルキッス 2018.02.22

#シリーズ物 #カクテルキッス

カクテルキッスシリーズの挿話 どうしたものか、と、茅ヶ崎至は頭を抱えていた。抱えてとはいっても気分の…

NOVEL,A3!,千至,カクテルキッス

2.22のガチャ事情


カクテルキッスシリーズの挿話

 どうしたものか、と、茅ヶ崎至は頭を抱えていた。抱えてとはいっても気分の問題で、実際に頭を抱えているわけではない。そんなことをしたら、せっかくの新規配信の画面が見えなくなってしまう。
 至は両手で携帯端末を持ち、もう二十分ほど悩んでいた。
 というのも、今日限定のレアカードが配信されているからだ。二月二十二日ということでにゃんにゃんにゃんの、既存キャラが猫みみ姿になっているという、なんともベタなもの。
 しかしベタはベタだけあって萌える要素がてんこもりなのである。
 公式のお知らせで見られたレアカードは、進化前も進化後もデザインがよく、またキャラの表情もとてもいい。しかも今日限定とあっては、ガチャを回さざるを得ない。

 が、しかし。

「物欲センサー……」

 欲しい気持ちを気取られすぎているのか、何度回しても目当てのレアカードがきてくれない。
 もうここはさらに・・・課金して出るまで回すくらいしか思いつかない。
 いつもなら純真無垢な咲也の手を借りるのだが、今は深夜だ。真面目な咲也はもう眠っているかもしれない。起こすのも忍びない。
 ならば朝まで待てばいいと他人は言うだろうが、待てない気持ちほど厄介なものはないのだ。
 もう一回。もう一回だけ回してみよう。そう思って、十連のガチャを回した。

「……マジ最悪。出現率上げろよ運営……っ!」

 結果は、レア度で言えば高めのカードがきたものの、目当てのものではなかった。
 もう何度回したのか分からないが、こういうものは回した数を覚えていたら負けなのだ。

「あれ、まだ起きてたのか、茅ヶ崎」

 その時、小さなノックのあとにドアが開く。一応ルームメイトである、卯木千景のご帰寮だ。至はソファの上で、千景を振り向きもせずに画面を凝視しながらお帰りなさいと声を返した。

「遅かったですね、先輩。最近はこっちでまともに寝るようになってたのに」

 千景は、職場の先輩でもある。海外出張が多く、接する機会はあまりなかったが、MANKAIカンパニーに入ってから、同室ということもあり、コミュニケーションは多くなってきた。だがしかし、いまだに謎だらけ、本質など見えてこない相手だ。
 他人がいると寝られないらしく、公演前は本当にこの部屋で眠ることはなかった千景だが、どんな心境の変化があったのか、公演が終わってからはちゃんと部屋で過ごすようになっていた。
 ゲームの邪魔をされなければ別に構わないし、他人に干渉されるのが苦手な部分は共感できるし、してもらえている。至にとって千景は、実に都合のいいルームメイトだった。

「ああ、ただの性欲処理だ。本当に面倒だよな」
「あ、なーる。……あんまりそういうこと言わない方がいいんじゃないですか? うちの劇団って、結構純粋培養多いから」

 人である以上、本能として性欲は正常なものだ。それをどう処理するかはひとそれぞれであり、至が口を出すことではない。
 ただ、千景の言葉を振り返るにあまり褒められた行為ではないようだ。オトナの世界を知らない者が聞けば、軽蔑さえしそうである。

「ああ、それは分かるよ。からかう材料にはなるけどね。とくに咲也や綴なんかそうだろ。あいつらどうしてるんだろうな、こういうことの処理」

 千景もそれは理解しているようで、言う相手は選んでいるらしい。確かに至なら、純粋でもないし特に悪意もない。ルームメイトとして、お互いに必要な距離というものを、心得ていた。

「たまに思うんだよね。性欲とか全部、なくなればいいって。もともと欲しいものなんかないし、余計なんだよ。ああ、スパイスは別。あれは神の域だからな」
「先輩の物欲って、スパイスにしか反応しないんです? 女の子とか、お金とか、あるでしょ、いろいろ」
「ないよ。俺が欲しかったのは、……あいつら・・・・だけだったからな」

 ふ、と笑う呼吸が聞こえた。至はそれを不思議に思って、初めて端末から視線を背け、千景を見やった。眼鏡の奥の瞳は寂しそうに揺れていたが、これは訊くべきか。訊かないでおくべきか。

(……たぶん、後者。そういうことを俺に望む人じゃない)

 至は瞬きひとつ、ルームメイトとしての必要な距離を保ったまま、端末の画面へと視線を戻した。そこで、はたと気がつく。

(物欲がない? つまり、欲しくない・・・・・? ……センサー回避アイテムキタコレ)

「せーんぱい。ね、ちょっと頼まれてくれません? 画面のここ押すだけでいいんで」

 そう言って、千景に端末の画面を向けてみせる。千景は心底嫌そうな顔をして、嫌だとそっぽを向いた。

「ほんの一秒指貸してくださいってだけじゃないですか。つれないなあ……」
「それをすることに対して、俺のメリットはないな」
「俺のゲームライフに潤いを与えられるじゃないですか。ちなみにレア引けなかったらコロス」

 にこやか笑顔から一転、細めた目で千景を睨みつけると、彼は肩を竦めて息を吐く。メリットどころかデメリットだけだと。

「茅ヶ崎は本当に裏表が激しいよな。うすうす感づいてはいたけど、ここまでとは思わなかった。そんなに欲しいカードなのか?」
「ゲームは俺にとっての神の域なんで。このガチャ今日限定なんですよ。にゃんにゃんにゃんの日で猫耳つくあれ」
「……欲しがる理由が分からないけど、引けるまで頑張れば?」
「引けないから、先輩の指貸してって言ったんでしょう。物欲センサーに引っ掛かって推しがこない」

 千景に力を貸してもらうのは諦めて、単発で回してはみたものの、やはりこない。がくりと項垂れて端末を手から離すと、珍しく千景が隣に腰をかけた。

「指、ねぇ……色気があるんだかないんだか」
「え、なんですか? あ、ちょっと」
「大丈夫、画面は触らない。……ふうん? これが茅ヶ崎のハマってるゲームなのか」

 千景が至の端末をひょいと持ち上げ、つまらなそうに首を傾げる。興味もないのだろうなと思うより先に、ふわりと香る香水の匂い。

(……あれ……)

 慣れない香りだ。言葉で認識するより早く、脳がそう認識していた。千景の香りではないと。

「先輩、これ」
「なあ茅ヶ崎、物欲センサーって、これを欲しいと思わずに回せばいいんじゃないのか?」

 この香りは誰の、と訊こうとして、訊く理由がないのに気づく前に、千景が端末を返してくる。そんな分かりきったことを、さも名案だと言わんばかりに告げられて、むっと口が尖った。

「それができれば苦労しないですよ。だから物欲のない先輩の指貸してって――」

 そんな至の顎を、千景の指先が撫でる。ほんのわずかな力で振り向かされたと思った次の瞬間、口唇に何かが触れていた。

「ああ、聞いたよ。それに対して、俺のメリットがない、と返したな?」
「……な、ん」

 すぐにその感触はなくなったとはいえ、今のが何だったのかくらい、分かる。
 
 それは確かに千景の口唇だった。

 至は目を見開いて、目の前にある千景の顔を凝視した。

「キスしたくらいで、なにを驚いてんだ? 童貞じゃあるまいし」

 ニ、と口の端をあげる千景にハッとして、至は眉を寄せながらも舌先でぺろりと口唇を舐め、挑発的に笑ってやった。

「まさか」
「そのカード欲しいって思う余裕がなくなればいいのかな? 今ボタン押せばよかったのに」
「理屈は分かるんですけどね、ガチャ回す暇なかったし、そもそも先輩とキスしたって推し欲おさまるわけないし」

 意識を他のものに向けさせて、物欲がダダもれていないその隙にガチャを回せばいいという理屈は分かる。
 分かるが、分かりたくない。

「へえ、言うなあ」

 肩に、千景の手が回される。そのまま引き寄せられて、吐息が感じられるくらい近づいた。

「じゃあもう一回試そうか」
「ハハハBL展開キタコレ。冗談はここでやめといてくださいね、先輩、――」

 千景の特技は嘘を操ることだ。それは劇団での公演を経て知っていたし、どこまでが本気でどこからが嘘なのか分からないのも、ゲームとしてはおもしろかった。
 だけどまさか、本当に。

「んぅっ……!?」

 本当にもう一度試して来るなんて思わないだろう。
 触れて、覆ってきた千景の口唇に目を瞠るも、入り込んできた舌先に、反射的に目を閉じてしまった。
 ぬらりとした舌が、至をすくい上げる。つんと舌の裏をつつかれて、逃げたつもりが捕らわれて、強く吸い上げられた。

「んんっ……! んぐ」

 舌を絡めて引っ張られ、千景の咥内へ誘われる。千景は至の中を荒らし、互いの真ん中で舌が絡み合った。

「ふ、……ぅっ……ん、は」

 舌のサイドをなぞられ、びくりと腰が揺れたのを自覚する。ちゅ、ちゅうと立てられる音はわざとだと分かっていて、羞恥が競り上がってきた。

(まずい……っていうか、ヤバ……)

 千景相手に、抵抗がない。それどころか、気持ち良くなってきてしまっている。別に経験のない童貞じゃあるまいし、キスなんかで物欲を消せるとは思っていない。

「ん、んん……ふぁ」
「茅ヶ崎、駄目だろ……まだだ」

 かたかたと手が震える。ガチャのボタンを推したいわけではない。もう少しキスをしたいだけ――そう思ってしまったことに気がついて、千景を押しやった。

「先、輩」

 だけど許してくれず、また引き戻される。口唇が再び覆われる直前に見えた、眼鏡の奥の瞳は、面白そうに輝いていた。

「う……んぅ」

 じぃんとしびれるほど、甘い痛みが至を覆う。酸欠のせいか、それとも浮される快感のせいか、頭がぼんやりとしてくる。鼻孔を通っていく香りが千景の香水でないことに若干の苛立ちを感じながらも、舌と一緒に絡められた指先に胸が高鳴った。

「茅ヶ崎、こっち……ここ、な……ほら、いいよ、押して」

 促された指先が、端末の画面を撫で、押したようだった。
 独特の、それでも聞き慣れた機械音が耳に入ってくる。

「え、あっ?」

 思わず顔を離してしたを向き、画面を確認する。今度は難無く離れることができて、ほんの少し、寂しい。だがそんな寂しさにもキスの余韻に浸る暇もなく、至の目は見開かれることになる。
 知らないうちに回されたガチャは十連の方。これを最後に、必要な石が消費された状態だった。

「マジか」

 だが至が目を見開いたのは、石を消費してしまったからではない。画面に、欲しかった限定SSRが表れたからだ。

「っしゃあ!」

 思わず拳を握り、スクショまでぬかりなく撮ったところで、目が点になる。
 続けざまにもう2枚、出現率がそう高くないはずの限定SSRが開かれた。

「…………神引きキタコレ」

 いっそ、うさんくさいほどの好運に、テンションが上がりすぎて逆に冷静になってしまう。

(これは夢だ夢にちがいないそうに決まっている、だが何かの間違いでこれが現実だったとして、このあとバグでも起こったら困るしスクショだけでも撮っておこう)

 十連のカードが表示された状態でスクショを保存し、何かあってもこれを証拠に運営に問い合わせをしようかなどと、普段なら考えが及ばないことにまで意識が回った。

「欲しいのきたみたいだな。ハハッ、にゃんにゃんにゃんで三枚、ってとこかな?」

 千景の楽しそうな声にハッとして、彼の存在を思い出した。振り向いた先では、濡れた口唇を拭い笑う男。

「茅ヶ崎、お礼は?」
「…………………………アリガトウゴザイマシタ」
「棒読み。まあいいけどな。それなりに楽しめた」

 千景のおかげかは分からないが、物欲どころではなくなったのは、確実に千景のせいである。三枚のSSR、進化させるには充分で、コレクションとしても申し分ない結果。
 たかがキスのひとつやふたつ、目くじらを立てることもあるまいと、至は顔を引き攣らせながらも礼を告げ、大仰に息を吐いた。

「次も俺を頼れよ茅ヶ崎。夜中に咲也起こすんじゃないぞ」
「先輩頼るくらいなら、咲也が起きる時間まで待ちますよ」

 そうだ、たかがキスのひとつやふたつ。
 気持ち良かったなんて認めたくもない、キスの、ひとつや、ふたつ。

 至は、足元から競り上がって来る羞恥心をどうにか悟られないようにと、ゲームの画面に集中する。せっかく引けたSSRを進化させて育成して、ゲームに役立てよう。

「明日も仕事だろ。って、もう今日か。早めに寝ろよ、起こす義理はないからな」
「余計なお世話です」

 千景は満足そうにソファから立ち上がり、ナイトウェアに着替えて自分のベッドへ上がっていった。

 声は震えていなかっただろうか、手が震えているのは気付かれなかっただろうか、顔が赤いのは気付かないでいてほしいと、逸る心臓を押さえようとした、その時。

「あ、そうだ茅ヶ崎。ルームメイトだから一応言っておくけど」

 ベッドの上から身を乗り出して、千景が楽しそうに見下ろしてきた。


「俺、女の子嫌いなんだよね。おやすみ~」


 それだけ言って、千景は体を引っ込める。
 ガゴン。
 至の手から落ちた端末が派手な音を立て、千景のベッドの方からかすかな笑い声。

「え、…………ガチで?」

 至の小さな呟きには、誰もなにも返してくれない。
 千景の、どこまでが冗談なのか分からないその一言で、至はその夜一睡もできなかったという。


#シリーズ物 #カクテルキッス

(対象画像がありません)

来年も、ここで

NOVEL,PSYCHO-PASS,狡宜 2017.11.21

#両想い #誕生日

 キ、と一台の車が停まる。冬の様相を持ち出した空を見上げて、常守朱は助手席の男を振り向いた。「ここで…

NOVEL,PSYCHO-PASS,狡宜

来年も、ここで

 キ、と一台の車が停まる。冬の様相を持ち出した空を見上げて、常守朱は助手席の男を振り向いた。

「ここで大丈夫ですか? 宜野座さん」
「ああ、すまない、常守監視官。……いい加減に宜野座さんはやめろと言っているのに」
「無理です。宜野座さんはどうやっても宜野座さんなので」

 きっぱりと告げてくる彼女とのやり取りを、いったい何度繰り返しただろうか。その言い分は分かるような分からないような、複雑な思いだ。宜野座は困ったように片眉をあげて苦笑した。
 宜野座伸元にとって狡噛慎也がずっと狡噛慎也だったことを、身をもって知っているからだ。

「すまないが、ここで少し待っていてくれ。心配しなくても、誰かさんみたいに逃亡なんてしないから」
「そんな心配してませんよ、宜野座さん」
「……だろうな」

 運転席の常守は、おかしそうに笑ってひらひらと手を振ってくれる。宜野座は助手席のドアを開けて、あたりの景色をぐるりと見渡した。
 変わったような、少しも変わってないような。
 目線があの頃より高くなったのは、身体的な変化で、少し寂しく感じるのは取り巻く世界がすっかり変わってしまったからか。
 ここは宜野座が通っていた日東学院だ。もちろんそこを囲む塀の中に入ることはできないし、もとからそのつもりもない。塀からはみ出た木の枝振りは少しも変わっていなくて、その傍に立つ無粋な電柱もそのままだ。
 もっとも、ここに来たのは二年前。二年やそこらで外観が劇的に変わるわけもない。特にここらへんにはホロが使われていない。季節の移り変わりを感じさせる花たちはしばしばホロで表されることもあったが、本物が多いここの風景を、宜野座はーー宜野座たちは気に入っていた。
 宜野座は傍の塀にもたれ、息を吸う。
 あの時は緊張するひまもなかったなと思い出して、口の端を上げた。
 そうしてあの頃と変わらない右手を持ち上げ、指のわきに口づける。まぶたを落とし、開け、指を押しやるように口唇から離した。
 宜野座の瞳はじっと前を見据え、あきらめとも呆れともつかない笑みを浮かべる。

 ーーーー……未練、と……言うのだろうか、これは。

 首を傾げてみるも答えが返ってくるわけもなく、宜野座は満足して車内に戻った。

「待たせてすまない。帰ろう」
「えっ、もういいんですか!?」
「やりたいことは終わったからな。連れてきてくれてありがとう」

 シートベルトを締めれば、運転席の常守は驚いて声を上げる。それはそうだろう、勤務中の監視官を引き連れて、行きたいところがあるなどと言えば、宜野座の性格を考えると相当重要な場所であるのだろうに。それなのに、たった数分いただけでいいなんて。

「あの……ここ、なんなんですか? 宜野座さんの通ってた学校ですよね」

 中に入らなくてもよかったのかと、常守は車を発進させながら尋ねる。許可を取れば、校舎の中にだって入れただろうに。それでも宜野座は首を横に振った。

「正当な理由もなく入れるわけがないだろう。そういうのを職権濫用というんだぞ」
「……でも、ちょっとくらい」
「いいんだ。俺はあの場所に来たかっただけだから」

 気を遣わせてしまっているなと、宜野座は苦笑する。だけど本当に、宜野座はあの場所がよかったのだ。

「特別な思い入れでもあったんですか?」
「ああ、まあ、……そうかな。課程二年のとき、あそこで初めて狡噛とキスをした」
「キッ……」

 常守が頬を真っ赤に染めてステアリングに突っ伏す。いくらオートドライブとはいえ危ないぞと、どこか他人事のように指摘した。

「宜野座さん……あの、えっと」
「いまさら驚かないでくれ、こっちまで恥ずかしくなってきた」
「だ、だって宜野座さんがそういう話することってなかったじゃないですかっ」

 執行官でありながら逃亡した狡噛慎也とは、恋人といっていい間柄だった。監視官だったころはそれを受け入れられず隠してきたが、まあ周りに悟られていないわけはなくて、執行官に降格したら、なにを頑なに隠そうとしていたのか分からなくなり、世間話の合間に、告げていた。

「あの男と恋人でいることが悔しかったからかな。アイツの身勝手さはあなたも知ってるだろう。そんな男に惚れてる自分が情けなくて、最近ようやくどうでもよくなってきたところだ」
「……狡噛さん、ずっと変わらなかったんですか。想像つきますけど」
「そうだろう? あの時だって、俺の誕生日なのに、アイツは自分のしたいことだけしていった。あとで悪びれもせずに謝ってくるのがどうしようもなく狡噛なんだがな」

 突然すまん、と笑う顔で言われた初めての時のことを、今でも思い出せる。想いは告げ合っていたけれど、まだまだ友人の粋を出なかった自分たちを壊してくれた、あの日。

「誕生日って、プレゼントのつもりだったんじゃないですか?」
「本人の意思を無視してか?」
「あー……ははは。あの、でも、その、受け取ったん、ですよね? 別のプレゼント」
「あるわけないだろ。そういえば誕生日だったななんて言う男が、そんなもの用意してるわけがない」

 思い出して額を押さえる宜野座に、常守が乾いた笑いを漏らす。実に狡噛らしいのだが、せめてキスの予告くらいしてほしかったあの頃の純情。

「仕方ないから、こっちから要求した」
「宜野座さんがですか? なにをもらったんです?」
「はは、“来年も同じものをよこせ“って言ってやった。あの時のアイツの顔は、おもしろかったな」

 笑う宜野座の横で、意味を把握し常守は頬を赤らめた。盛大なのろけ話であると。

「アイツもあれで案外律儀な男だったようで、それから毎年、俺の誕生日にはあそこでキスをくれたよ」

 卒業するまで、卒業して監視官になっても、執行官になってしまっても、誕生日にはあの場所でキスをした。
 宜野座は指で自身の口唇をなぞる。

「さすがに、昨年は無理だったけどな」

 昨年は大きな事件でそれどころではなかったのだ。あの事件を機に狡噛は逃亡し、宜野座は犯罪係数を上げながらも、こうして執行官として復帰した。

「宜野座さんがおねだりするなんて、狡噛さんは本当にすごい人ですね……」
「おねだりってやめてくれ。要求したのは俺だが、アイツはくれるって笑って言うんだから、しょうがないだろう」
「お互い大好きなのは分かりましたよ。あの、今あそこで狡噛さんに逢って(・・・)きたなら、もう言ってもいいですか?」
「うん?」
「お誕生日、おめでとうございます、宜野座さん」

 のろけ話に呆れつつも、常守は嬉しそうに告げてくる。今まで知らなかった宜野座を見られて、宜野座を通して狡噛を知ることができて、嬉しいのだろう。

「……ああ、ありがとう」
「戻ったらケーキ食べましょうケーキ。私頑張って作りますから」
「…………あなたは仕事をしてくれ」

 出来上がるケーキを想像して、宜野座はやんわりとお断り。なんで縢に教えてもらってああなるんだろうと、一生解けそうにない謎を胸に、宜野座は公安局へと戻っていく。

 今年もまた触れ合えなかったけれど、あそこでキスを投げてきた。口唇の感触を忘れてしまう前に、もう一度逢えたらいいと、小さな願いを込めながら。

 今もまだこの世界のどこかで生きている、大切な恋人へ。


#両想い #誕生日

(対象画像がありません)

結べないのはチェリーだけ

NOVEL,A3!,十左 2017.10.03

#両想い #ラブラブ

れに笑って、手始めにと額にキスを降らせた。「アンタが好きだって言ってくれんなら、結べなくてもいい………

NOVEL,A3!,十左

結べないのはチェリーだけ


れに笑って、手始めにと額にキスを降らせた。

「アンタが好きだって言ってくれんなら、結べなくてもいい……」
「くすぐってぇ」
「キスしてないところあったらダメなんだろ」

 額に、まぶたに、眉に、頬に、そっと髪を避けて耳に、十座は口唇を落としていく。くすぐったさに身をよじる左京の名を呼んで、ありったけの愛情を注いだ。

「ん、ぁ……」
「前から思ってたが、アンタ耳も弱いよな、左京さん。……サラサラの髪の毛、こうやって耳にかけてキスをすると、色っぽい声出してくれる。可愛い」
「かわ……三十路の男に言う言葉じゃねーぞ」
「本当にそう思うんだから仕方ない。普段隠れてるとこは弱いって言うけど、本当だな」

 ニ、と口の端を上げる十座の瞳に情欲の炎を見つけ、左京はぞわりと肌をあわ立たせる。こんなふうに男の顔を見せておきながら、キスが下手だなんてのたまう高校生の、アンバランスさ。

「てめぇは本当にタチが悪いな……」

 左京は目元を覆い、長く息を吐く。可愛いなんて言われて嬉しいはずがないのに、この男相手にだけは心臓が跳ねてしまう。

「駄目っすか……?」
「駄目じゃねぇ、馬鹿」

 それくらい惚れてしまったのだからしょうがないなともう諦めて、十座の背中に両腕を回した。


 一日の終わり、夜の始まり、結べなかった茎の変わりに視線と舌と愛の言葉を絡めあって、確かめる。甘い甘い、キスの味。

#両想い #ラブラブ

金色の曼珠沙華-032-

金色の曼珠沙華 2017.10.01

18歳以上ですか? yes/no

金色の曼珠沙華

金色の曼珠沙華-032-

18歳以上ですか? yes/no

金色の曼珠沙華-032-

金色の曼珠沙華 2017.10.01

18歳以上ですか? yes/no

金色の曼珠沙華

金色の曼珠沙華-032-

18歳以上ですか? yes/no

(対象画像がありません)

金色の曼珠沙華-031-

金色の曼珠沙華 2017.10.01

#シリーズ物 #ウェブ再録

「左京さん、何か怒ってんのか? もしかしてああやって知り合いにチケット売るの、ダメだったのか」 左京…

金色の曼珠沙華

金色の曼珠沙華-031-


「左京さん、何か怒ってんのか? もしかしてああやって知り合いにチケット売るの、ダメだったのか」
 左京が運転席に乗ると、十座は車の外から訊ねてくる。左京の態度がおかしいことには、さすがに気づいているらしい。左京もそれを自覚していて、はあーと長く息を吐いた。
「乗れ」
「え?」
「乗れって言ってんだ。これ以上目立ちたかねぇだろ」
 左京の言葉に、十座は視線だけで校門の方を見やり、気づく。
 女の子が兵頭十座に声をかけてきたということで、ただでさえ目立っているだろうに、この状況はさらに拍車をかけるだろう。十座は後部座席のドアを開け、素早く乗り込んだ。
「ハ、俺を好きだって言うわりに、こういうチャンスは逃すんだな。普通助手席じゃねえのか」
「運転してる左京さん、冷静に見てられる自信がねえからな」
「ものは言いようか。さっきの女、よかったのか。邪魔しといてあれだが」
 左京は車を発進させながら、バックミラーで十座の表情を盗み見た。後ろめたさを微塵も感じさせない表情は、特別な関係にあった女というわけではないことを、知らせてくれていた。
「邪魔って……あれはそういうんじゃねえ。親が知り合いで、何度か話したことがある程度だし。俺に付き合ってた女なんかいねえ。アンタが初恋なんすけど」
「だったら――なんで女知ってんだ?」
「え?」
 左京は、ぎゅっとステアリングを握る。
 あの日から、ずっと心に引っ掛かっていたことだ。
 初恋だという十座の気持ちを疑っているわけではない。初恋であってほしいと願っていたわけでもない。
 女を知っていながらも、どうして自分をという戸惑い。
 そして、知らないなら知りにいけと、突き放せなくなった誤算。
 そのどれもが、突き放したい思いと突き放しきれない矛盾を孕んで、左京の中に巣くっていた。
「女抱いたことあるんだろ、兵頭」
「……あー……、あれを抱いたっていうんならな」
 言いにくそうに苦笑して、十座はそれでも肯定を返してくる。ずき、と心臓が痛みを増した。
「ど、どういうことだ……?」
「……抱かされた、って方が正しいかもしれねえ」
 左京は目を瞠る。
 本意ではない行為を強いられたということだろうか。合意があったのかなかったのか、そもそもそれは聞いていい話なのか。
「中学、卒業する前かな。あんま覚えてねえが……、俺と寝りゃあ、ハクがつくんだと。名前も知らねえし、顔も思い出せねえ。女と寝ることに興味がねえわけじゃなかったが、そういいもんだとも思わなかったな」
 十座は両手の指を組み、肘をついて口許を覆い隠す。その様子がミラーで窺えて、左京は失言を悔やんだ。
 いい思い出ではなさそうで、むしろ悪い方に分類されていそうな記憶を、不用意に引き出してしまった。
「そういやあの後、やたら高校生が絡んできやがったな。今思えばあれ、あの人の恋人だったとか、そういうヤツだったのかもしれねえ……」
 何も考えずにのしちまったがと付け加えて、十座は大きくため息をつく。自分の女が、当時中学生だった男に寝取られたなんて知ったら、そりゃあ頭にくるだろう。そこに恋情があったのならまだしも、かけらさえなく、十座の方は女の名前も知らない状態だ。
「それ、一度きりか……」
「ん、ああ……その女もそれっきりだったし、元サヤっつうのか、戻ったなら別にいいし……もともと女なんか、縁もねえしな」
 多感な年頃にそんな経験をして、よくこうもまっすぐ育ったものだ、と左京は思う。道を踏み外すこともなく、真っ当に生きてきた十座を、羨ましいとさえ感じた。
「あ、でもだからって女がダメになったわけじゃない。男がよくて、左京さんを好きになったわけじゃねえんだ」
 十座はガバリと体を起こし、運転席の方に身を乗り出してくる。そこを疑ったつもりはなくて、左京は苦笑した。
「危ねえだろ、ちゃんとシートベルト締めとけ」
「あ、……っす」
 赤信号で、左京はゆっくりとブレーキペダルを踏む。
 左に曲がれば寮の方向。まっすぐ行けば――と思って、レーンを移動せずに、左京は出していたウインカーを切った。
「あんまりいい思い出なさそうだが、お前そんなんで俺に欲情できんのか?」
「……え?」
「女を抱くのとは……抱かされんのとはわけが違うぞ。てめぇと同じもんに前にして、勃つのかって言ってんだ」
「勃、……何言ってんだ、アンタ。俺が何度頭ん中で左京さんを抱いてきたと思ってんすか」
 躊躇いもなく、十座はそう返してくる。
 自分は彼の頭の中で、どんな風に抱かれていたのだろうかと、おかしそうに口角を上げた。
「エロガキ」
「アンタが訊くから言ったんだが……」
「分かった分かった」
 信号が青に変わる。前の車がゆっくりと走り出すのに合わせて、左京もアクセルペダルをゆっくりと踏み込んだ。
「抱かせてやる」
 ギアを変えてスピードを上げるのと同時に、そう呟く。左には曲がらずに、交差点を直進した。
「え、…………は……?」
 突然の言葉に、十座は事態を把握できていないようだ。そのマヌケな顔が面白くて、左京は肩を震わせる。
「左京さん、今、なんて……」
 シートベルトの伸びる範囲で、身を乗り出してくる十座。言い付け通り、ちゃんとシートベルトを締める男を、可愛らしいなんて思ってしまった。
「抱きてえんだろ、俺を」
「あ、ああ、そりゃ」
「お前のことは傷つけてばっかりだしな。……あんな顔されるよりは、やることやっちまった方が楽かと思って。そういう打算的なもんでもよけりゃだが」
 いい思い出もなさそうなのに、抱きたいという男に、自分のひとことで浮き沈みしてしまう男に、少しくらい応えてやってもいいかと思った――ただそれだけだ。
 恋人になんかなれやしないけれど、それでもいいというのであれば。
「構わねえ。アンタに……左京さんに触れられんなら、同情でも打算でも、なんだっていい」
 運転席のシートを掴む十座の手に、ぐっと強い力が込められる。
 まだ触れられてもいないのに、左京の心臓が跳ね上がった。
「そうか」
 嬉しいと思っている自分を自覚していても、素直に表すことなんかできなかった。
 左京はただそう答えて、ぎりぎり制限速度で車を走らせる。マジでか、と小さく呟いた後、口許を押さえ後部座席に体を預ける十座を、ミラーで盗み見しながら。

#シリーズ物 #ウェブ再録

(対象画像がありません)

金色の曼珠沙華-030-

金色の曼珠沙華 2017.10.01

#シリーズ物 #ウェブ再録

 冬組の演目が決定して、連日連夜稽古に励む彼らをサポートしようと、フライヤーの制作や配布、衣装や道具…

金色の曼珠沙華

金色の曼珠沙華-030-


 冬組の演目が決定して、連日連夜稽古に励む彼らをサポートしようと、フライヤーの制作や配布、衣装や道具の材料調達にと、他の組のメンバーも奔走した。
 それは左京にとってありがたいことで、忙しければ忙しいほど、十座のことを考えなくてすむ。あえて幸と予算についてやりあったり、一成とホームページの更新について話し合う。
 学生組は、学校に通いながら自主練を中心にこなし、時には本読みに付き合う。
 紬と丞についてはさすがの経験者で、日に日に掛け合いもスムーズになっていくようだった。
 紬はたまに万里とカフェにでかけているようだが、いい息抜きになっているのならと、特に万里に忠告はしていない。
 冬組の――紬が主演の舞台が成功することを祈っているのは、万里も同じだろうから。
「ただいまッス~」
「っす……」
 その時、太一と十座が寮に帰ってくる。天馬は撮影に向かったらしく、久々に徒歩で帰ってきたようだった。
「あ、おかえりなさい太一くん、十座くん。もうすぐご飯だからね」
「着替えてくるッス~。あ、幸チャン帰ってるッスか? 昨日衣装縫うの途中だったんスよね~。今日もお手伝いでいーのかな」
「あ、少し前に帰ってきたよ。今は部屋にいるみたい」
 いづみの返答に、太一はウキウキしながら自分の部屋へと向かっていく。最近は衣装を作りの手伝いをしているようだが、以前やむを得ず、衣装を台無しにしてしまったことを許してくれたことが、嬉しいらしい。
「あ、監督。すまねえが冬組の公演チケットってまだあるのか?」
「えっ、チケット? どうだったかな、確認してみるね。観に来てくれる人がいるの? 十座くん」
「今日……ちょっと声かけられて。二枚あれば嬉しいんすけど。初日じゃなくてもいいって言ってたから」
 十座が、もうすぐ始まる冬組公演のチケット状況を訊ねている。
 しかし十座に声をかけてくるなんて、豪胆なヤツもいたもんだ、と左京は複雑な思いだった。環境が変わるのは喜ばしいことだが、そうやってだんだんと自分の手など必要なくなっていくのだろう。
 芝居も、恋も。
 これ以上振り回されるのはごめんだと、左京は口唇を噛んだ。




 左京は、校門からあふれるように出てくる人の波を、運転席から眺めていた。
 友人たちと楽しそうに笑う高校生。女同士、男同士、男女、それは様々だが、見るからに健全な一般人だ。自分が高校生だった頃とはやっぱり違うなと苦笑する。
 そうして、目当ての人物が視界に入ってくる。兵頭十座だ。
 下りて声をかけようとしたその瞬間、気づく。彼は誰かを探しているようだと。左京ではない。何しろ今日ここに来ることを、十座には言っていないからだ。
 なのに、十座は携帯端末を片手に、きょろきょろと辺りを見回している。
 校門で探しているということは、校内の人間ではないらしい。同じ校内にいるのなら、校門なんて人が多い場所で待ち合わせる必要もない。
(ああ……もしかしてチケットの相手か?)
 昨日いづみに訊ねていた、空席チケット。
 運悪く席はすべて埋まってしまっていて、立ち見となってしまうのだが、それを渡したい相手なのかもしれない。
 左京は、ダッシュボードの上に置いていた紙切れを目に映し、当初の目的を果たそうと、その紙切れを手に運転席のドアを開けた。
 左京がドアを閉めるのとほぼ同時に、十座に駆け寄っていく影。
(えっ……)
「遅れちゃってごめん、こっちから頼んだのに」
「ああ……いや、別に」
 欧華高校のではない制服、スカートをひらひらさせた女の子。
 周りの生徒がざわついた音が聞こえるが、左京の胸はそれ以上にうるさかった。
(おん、な……?)
 まさか、チケット購入を希望して声をかけてきたというのが、女だなんて思わなかった。よほど度胸があるのか、それとも――。
「立ち見でもいいか? 席、埋まっちまってて」
「あっ、いいのいいの、観られれば。ありがとう。ねえ、秋組? だっけ? の次公演ていつなの?」
 どうも彼女の本命は秋組のようだ。というより、やはり兵頭十座が目当てなのだろうか。あの強面に怯みもせずに話しかけるなんて。
 親しい知り合いなのか、周りが驚いていることにも気がついていないらしい。むしろ十座の方が周りを気にしている。
「それは分からねえが……決まったら知らせる。アンタあんまり俺に近寄らねぇ方がいいぞ……」
 きょろり、と見回し辺りの反応に気がついて、気まずそうに眉を寄せ――そして、左京の存在に気がついた。
「左京さん」
 小さくそう呼んだだろうことが、口唇の動きで分かる。左京はそれでようやく我に返り、手にしていた紙切れの存在を思い出す。
 左京はため息の後に足を踏み出し、十座と、仲の良さそうな女の方へと歩み寄った。
「さ、左京さん? どうして」
「えっ、だ、誰――あ、秋組の!」
「……話の途中で邪魔して悪いな。チケット、二枚都合つけたから。日程に縛りがないなら、座って観られた方がいいだろう」
 左京の手にしていたものは、二枚連番の観劇チケット。もともと関係者席として空けていた分だが、どうせなら一般客に回したい。もちろん関係者に話を通した上でだ。
「え、え、いいの? 一緒に行く子も超楽しみにしてるの、嬉しい。あっ、じゃあお金、二人分」
 彼女はそう言って財布を取り出す。
 左京は不思議に思った。本当に観劇を楽しみにしているようで、十座に声をかける口実にしては、熱のベクトルが違う。
 思い違いだったのかと、左京は気まずそうに口を引き結んだ。
(ああ、でも。親しいようだし、これを口実にしなくても、いつでも逢えるってことかもな)
「ありがとう、ホントに! 友達にも超宣伝しとくね!」
「あっ、ああ、おいそんなに走んな、転ぶだろうが!」
 スカートを翻して嬉しそうに駆けていく彼女に、十座が声をかける。大丈夫ー、と振り向きもしないで返してくる彼女の後ろ姿を見送りながら、十座は心配そうに眉を寄せていた。
「相変わらず危なっかしいな……」
「あれ、お前の女だったヤツか?」
 そんな十座に、思わず言葉がこぼれ落ちる。左京はハッとして口を押さえるが、え? と振り向いてきたあたり、聞こえてしまっているのだろう。
「な、なんでもねえ。帰る」
「帰るって、左京さん……あれ、わざわざ持ってきてくれたんすか」
「観たいヤツには観せてやりてぇだろうが」
 左京は居心地が悪くなって踵を返し、車へと歩く。慌てて、十座が追いかけてきた。
 その後ろで、あれスジもんじゃねーの、兵頭のアニキってヤツじゃねーの、さすが兵頭さんっすよ! などと囁かれていることに、二人ともが気づかないで。


#シリーズ物 #ウェブ再録