No.708

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君に二度目の恋をした日

NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン 2025.03.27

#お題 #両想い

 どういう状況だ、と体が硬直する。 跡部が俺の右肩に寄りかかって、すうすうと眠ってしまった。 相当疲…

NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン

君に二度目の恋をした日

 どういう状況だ、と体が硬直する。
 跡部が俺の右肩に寄りかかって、すうすうと眠ってしまった。
 相当疲れているのだろうなというのは分かる。合宿の練習に加えて自主トレ、家の仕事までこなしているのだから。
 それでも跡部は、他人がいるところでは何でもないように振る舞っている。
 特に、氷帝学園のメンバーの前では。
 疲れているところを見せたくないのだろうか。心配をかけたくないのならば、少しセーブすればいいものを。とは思うが、ことテニスに関して無茶をしがちなのは、俺も跡部も変わらない。俺が忠告したところで、聞きやしないんだろう。
 だから、疲れているなら寝かせてやりたい。
 俺の傍では気負わずに、意地を捨ててゆっくりしてほしい。起きないようにじっとしているから。
 首筋の髪がくすぐったいだとか、温もりが心地良くておかしな気分になりそうだとか、そんなことは頭の片隅に追いやっておこう。
 長く付き合っている氷帝メンバーには見せないらしいこんな姿を晒してくれるのは嬉しい。できればちゃんとベッドで眠ってほしいが、もしかしたら合宿所のベッドでは跡部には合わないのかもしれない。
 こればかりは、どうしてやることもできない。
 せめて少しでも休めるようにと祈るが、他人の肩に寄りかかって寝るというのは、逆に体が痛くなったりしないだろうか。
「……っ」
 心配になって、少し覗き込んだのがいけなかったのかもしれない。僅かな振動で跡部が起きてしまった。
「悪い手塚、寝ちまってたか」
「ほんの少しだ。起こしてすまない」
「ん、いや……昨夜寝たの遅くて……お前の体温に、何か安心しちまって」
 まだ眠そうな目を擦る跡部の手を取って、あまり擦るなと諫めてやった。なんだか理性を試されている気もしたが、手を出すわけにはいかなかった。
「膝で良ければ貸すが。少し横になるといい。十分だけでも、だいぶ違うだろう」
「ひざまくら……フフッ、いいな、貸せよ」
 跡部は腰をずらして、素直にベンチの上で横たわる。頭を俺の膝に乗せて、眠る体勢になってしまった。
 無防備に身を預けてくれる跡部に、やっぱり胸が高鳴った。
「手塚、髪……撫でてくれ。その方が良く寝られそうだ」
「……ああ、ゆっくり眠るといい」
 さらさらとした髪を撫でて、穏やかな眠りが訪れるようにと祈る。
 その奥で、もっともっと触れたい想いが募っていく。唇を引き結んで、また想いが膨らんだのだと知る。
 二度目どころか、二桁目くらいの恋を自覚して、小さく小さく、好きだと呟く。
 恋人への子守歌にはなりやしないだろうけど。



お題:リライト様 /君に二度目の恋をした日
#お題 #両想い