華家
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No.704
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン 2025.03.23
#お題 #両想い
「今日はよろしくお願いします」 手塚は、部員を代表し部長として榊に挨拶をした。本来なら竜崎スミレが行…
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン
お題:リライト様 /視線だけの密会
favorite いいね ありがとうございます! 2025.03.23 No.704
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「今日はよろしくお願いします」
手塚は、部員を代表し部長として榊に挨拶をした。本来なら竜崎スミレが行うべきところだが、外せない用事で遅れてしまうらしい。
「ああ、こちらこそよろしく頼む。他校との練習は、部内とはまた違ったメニューができるだろう。互いに切磋琢磨して、強くなってほしい」
はい、と軽く頭を下げた。
今日は、氷帝学園との合同練習だ。
榊が言ったように、いつもと違う練習メニューが組まれれば、心身ともに刺激になり、より良いプレイへとつながっていくだろう。
特に氷帝学園はトレーニングのマシンやコートも充実している。部員数の桁が青学とはまるで違って、手塚は改めて〝彼〟の統率力のすごさを知った。
「よう手塚、来たのか」
「跡部か。今日はよろしく頼む」
視線が真ん中で重なって、二人で頷き合った。
彼とは、この氷帝学園テニス部の部長である跡部景吾のことだ。絶対的なカリスマ性で、三桁いる部員たちを率いているというのだから恐ろしい。
「やあ跡部、よろしく。すごい設備だね」
「ああ。全員元気そうでなによりだぜ」
「おい跡部、後で試合やるよな? 黄金(ゴールデン)ペアとやらせてくれよ」
「おっと……ご指名入っちゃったぞ、英二」
「にゃはは~、楽しみだにゃ~!」
「慌てんじゃねーよ。まずは走り込みからだ、行くぞテメーら!」
グループに分かれて、ストレッチからの、ダッシュ、筋トレ、その他諸々が始まった。その頃には竜崎スミレも合流し、榊たちとメニューの組み方などについて意見を交換し合っている。
「青学とはやっぱりメニューの組み方が違うね、手塚。特に筋トレが全然違う」
「そうだな。ウチにも取り入れたいものがたくさんある。マシンを使うものは無理だが、腕の強化ならダンベルでもできるだろう」
どういうやり方が効率的なのか、自身の鍛錬をしながらだと難しい。他校のやり方というものは、違う目線から見ることができてありがたかった。
「おい手塚、次は試合形式でゲームやるから、そっちからもメンバー出せ。ダブルスは一個指名入ってるみてえだが」
「ああ。どうせならメンバーをシャッフルして、ダブルスのゲームをやるか?」
「面白そうじゃねーの」
青学のメンバー同士、氷帝メンバーとのダブルスというのも面白そうだ。こういうところも、他校との練習が有意義である理由のひとつだ。同じ部内だけでやっていると、どうしてもパターン化してしまう。
手塚は跡部と頭を突き合わせ、ダブルスのメンバーについて意見を交わし合った。
そんな中、時折、視線が重なって、二秒ほどで離れていく。
それはダブルスのメンバーについての言及でなく、まったく別の意味を持っていた。
というのも、跡部とは秘密の恋人関係にあるからだ。
目は口ほどにものを言うと言うが、まさにそれだった。
逢えて嬉しい。
今日もいい男だな。
終わったらどうしようか。
そんなやり取りを、視線だけで交わす。絶対に誰にも気づかれないように、会話の合間に織り交ぜて。
同性同士ということに加えて、何かと試合で当たってしまう対戦校の部長と恋仲だなんて、大っぴらに言えることではない。反対される要素がたくさんあるし、単純に、恥ずかしくてもったいない。
この恋を知っているのは、自分たちだけでいいのだと、おかしな独占欲みたいなものが働いた。
だから一切誰にも言わず、密やかに、内緒で愛を育んでいる。
自分たちの間に、テニスというスポーツが在るのはありがたかった。連日逢っていても、テニス関連だと言えばおかしくもない。釣りでも、読書でも、テニスを通して共通の趣味があることを知ったと言い訳もできる。
そんな共犯者じみた背徳感とスリルも手伝って、少しも飽きの来ない関係が築けていると思う。
「じゃあ、このメンバーでひとまずやってみるか」
「終わったら、反省会だな」
「……ああ、分かった」
視線で会話するのにも慣れてきて、終わった後「反省会」と称して二人で逢おうと約束を取り付けるのも、この通り朝飯前だ。
そこで密会は打ち切って、練習へと戻る。その顔つきはお互い、部を率いる部長のそれでしかない。
絶対誰にも気づかれないように、太腿の横で指先だけを触れ合わせていたとしても。
#お題 #両想い