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どうかこの夜が、明けるまでは

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ 2006.11.01

#R18 #両想い #ラビユウ

 だってしょうがねぇじゃねーか。 こうでもしないと、壊れちまいそうだったんだ。「今日限りだ」 そう言…

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ

どうかこの夜が、明けるまでは


 だってしょうがねぇじゃねーか。
 こうでもしないと、壊れちまいそうだったんだ。




「今日限りだ」
 そう言って、目の前で団服を脱ぎ捨ててやった。驚くかと思ったけど、想像していた反応とは違う。口唇を少し噛んで、眉を寄せて。片目で俺を突き刺してくる。
「どうしたんだ」
 もう、手を伸ばせば触れる距離だろう。なぜお前は動かないんだ?
 なんでそんな顔してるんだよ。
「俺が欲しいんじゃなかったのかよ」
 高く結い上げていた髪を解く。多少長さがうざったいが、これからすることを考えたら、結っているよりはいいだろう。未だ棒立ちのまま動かないでいるヤツを────ラビを、見下して笑ってやった。
 怖気づいたのか、と。
 好きだと言ってきたのはラビの方だ。すれ違うたび物欲しそうに、俺の背中見てたのは、お前の方だろう。泣きそうな顔で口唇震わせて、腹の底から搾り出した声で告げてきたのは、間違いなくお前だ。
「ユウ、でもオレ」
 ブックマンの継承者だし、と無理に笑う。そんな笑顔はらしくない。
 だけど、アイツが誰にも執着できない立場なのは、俺も知っていた。中立の立場を死ぬまで守らなければいけないから、誰か一人に執着することができないんだと、苦笑しながら言っていたのを覚えてる。
 そのせいなのか、誰に対しても一線置いていたような気がする。リナリーにもモヤシにも、現ブックマンにさえ。
「でも、どうしたらいいんさ? ユウを好きなの、止めらんない」
 さっきも聞いた。歯をカタカタと震わせて、全力で我慢して、堪えきれずに呟いた、ラビの心の内。
 痛いくらい強い力で抱きしめられて、突き放す術はなかった。
「こんなの、ダメだって解かってる。ただでさえ止められてんのに、オレも、ユウも男だし」
 触りたい、って耳元で呟かれて、抱きしめ返してやった。
 心臓速くて、体温も高くて、吐く息は熱かった。最近眠っていなかったようだが、もしかしてそのせいなのかと思ったら、もう突き放してやる気は失せていた。
 怒らないのか、と問われて、何がと返す。
「ユウを……そーいう対象で見てたこと」
「別に。お前のそーいう視線には気づいてたし」
 気づかない方がどうかしている。あんなにあからさまな熱視線。
「俺のこと見てどんな想像してたか……なんて訊かなくても解かるぜ。てめぇがさっき言ったように、俺も同じ【男】なんだ」
 劣情を抱え込んですることなんて、たかが知れてる。
「なぁ? お前の中の俺は、どんな風にお前に抱かれてんだ?」
 ラビの団服のジッパーに指をかけたら、ビクリとヤツの身体が震えた。反応が、いちいち面白い。
 憐れだな。抱き合うことを夢見て、感情を押し殺して傍にいるしかできねぇなんてよ。
「抱かせてやるって言ってんだ」
 チリチリと、ヤツの団服のジッパーを引き下げる。ここまでしてやってんのに、なんで動かない。お前が言ってきたんだろ、今さら引き下がるのか。
「……触れていいの?」
「減るもんじゃねぇだろ」
 首筋を指で撫でて、誘ってやる。俺が欲しいんだろう、ねじ伏せるくらいの勢いで来りゃいいのに。
 今だって、そんなに震えるくらいに俺への想いを我慢してんだろ。もう、限界なんじゃねぇのか、ラビ。
「オ、オレが、触ってもいいんさ!?」
「うざってぇな、いいっつってんだろ!」
 らしくないてめェなんざ、見たかねぇんだよ。
 だったら、身体くらいくれてやる。例え一時でも、お前がそんな顔しないで済むなら、こんな身体くらい、いつだってくれてやるさ。
「ユウ、ごめん。……好きさ、大好き」
 ラビの両手が俺の頬に触れる。触れてくる口唇は、それでもまだ震えていた。
 初めて触れた。口唇荒れてるな、胃が弱くなってるのか。
「ユウのバカ、もう、ホント止まらねェさ……!」
 触れるだけの幼いキスの後で、押し殺した声で呟かれる。何か返してやろうと思ったけど、考えているうちに、ドサリと乱暴に押し倒されて、できなかった。
「んぅ……っ!」
 噛みつく様に口づけられて、不覚にも肩が震える。もう何を言っても聞かない、とキスを繰り返されて、さすがに息が上がった。
「はぁっ……」
 ベッドに身体を押し付けられて、身体を纏う衣服を剥ぎ取られていく。いささか乱暴だ、とは思ったけれど、そんなこともう、どうでもいい。
 俺も、こいつも男で。こいつは中立の立場のはずで。俺だっていつまでこの命がもつか解からなくて。
 この行為と、想いを拒絶してやる理由はいくらでもあった。触れてくるこの手を払いのける理由なんて、そこら中にゴロゴロしてる。
 だけど仕方ねぇじゃねーか。
 こうでもしないと、壊れちまいそうだったんだから。




 俺が。




「っあ、ラビ……!」
 ああ、憐れだな。
 こいつのこと好きでしょうがねぇのは俺の方だ。
 お互い、執着していい立場じゃねぇのはよく解かってる。こんな風に触れ合うのが、間違いだなんてこと、誰に言われなくてもよく知ってる。
 今日限りだ。
「ん、んんっ……あ、ぁ」
「ユウ、こっちも……全部、触っていい……?」
 今日で、全部終わりにしてやる。
 身体の上を滑るラビの手を絡め取って、ちゅ、と口づけた。
「遠慮しねぇで、全部触れよ……この夜が明けるまで、俺はお前の恋人でいてやる」
 こいつの願いを叶える振りして、自分の願いを叶えさせる。
 本当に触れたかったのは、俺の方なんだ。
「ユウ、大好き……」
 こいつは俺に好きだと言ってくれたけど、俺はそんなこと、言ってやれない。口にしたらダメだ。
 口にしたら、俺の世界とお前の世界が壊れてしまう。
 だからせめてこの夜が明けるまでは、お前の恋人でいさせてくれ。それでもう、ちゃんと生きていくから。


 今日が最初で、


「……ラビ……」


 今日が最後。


「もっと奥まで……来いよ……」
 抱きしめるために、腕を伸ばす。



 お互い泣きそうな顔をしているだろうことには、気づかない振りをした。

#R18 #両想い #ラビユウ

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Happy,Happy

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ 2006.06.06

#両想い #ラブラブ #誕生日 #ラビユウ

 来年の誕生日も、共に過ごせたらいいなと頭の上から声が降ってくる。 日付は変わったばかりだというのに…

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ

Happy,Happy




 来年の誕生日も、共に過ごせたらいいなと頭の上から声が降ってくる。
 日付は変わったばかりだというのに気の早いことだ、とユウはその声の方向を見上げた。
「今年こうやって過ごせただけで感謝しておけ」
「や、それはもちろん、幸せなんだけどさ」
 来年もこうやって、いちばんに、いちばん近くでおめでとうと言ってみたい。
 ラビはユウの髪を撫でながら、日常と化した任務を些か恨めしく思った。恋人に逢うのも困難で、共にゆっくり過ごすなんてこと、とても難しくて。でもその任務は、恋しい人と過ごす世界のためにはどうしても必要なもので。
「早く世界が平和になればいいのに」
 そうしたら誕生日は毎年一緒に過ごして、朝から晩まで馬鹿みたいにはしゃいで、いい加減にしろとユウに怒られるんだ、と楽しそうに口にする。
 仕方のないヤツだ、とため息をつきながらも、実は神田の方こそそんな世界も夢見てる。
 戦いの、任務のない世界はどんなに退屈で、どれだけ変化をもたらして、そしてどれほど幸せだろうかと。
「毎年、ユウの誕生日祝って感謝したいんさ」
 触れ合う体温はもう慣れてしまったけれど、戦いのない世界でもこの体温は変わらないだろうかと。
 抱いてくる腕に素直に身を預けてユウは、そっと呟く。
「同じ言葉、返してやる」
 この世に生誕したことを感謝して、祝ってやりたいのはこちらも同じ。
「来年の俺の誕生日の前に、てめェの誕生日だな」
 共に過ごせることを祈ろう。せめて二人ともが、この地に生きていることを。
「んな嬉しいこと言われたら、加減できないんですけどユウちゃん」
 すでに加減をする気などないくせに、と首から引き寄せ誘い、触れる吐息を楽しんだ。
 首筋を這う口唇が、胸を手のひらが、温かくて心地よい。
「ラビ…」
 快楽を絶える合間に名を呼ぶと、嬉しそうに笑う顔が目に入る。名を呼ばれるのはとても幸福だと。
「んっ、……ぁ」
 幸福と情熱を引き連れて、愛しい人に触れる。
 硬く咲く胸の突起を、梵字と一緒になぞり嬲れば、神田の身体は快楽に跳ねた。この身体をこんなに敏感にしてしまったのは確かにラビの所業だが、生まれついての素質なのかそれともそれを超える愛情であるのか、当の神田にさえ解からないだろう。
 後者だと、思いたい。
「っつ……ぁ、ん」
 先ほどまでの行為の余韻が、快楽を引き戻す。ゆっくりと、焦らすような丁寧さは、逆に毒のようにさえ思えてしまう。
「ン……、んぁっ…」
 舌先が胸の突起を掠め、びくりと腰が沈んだ。舌の上で転がされ、喉を突く快楽を、もうどうにも仕様がない。ギシリと啼いたスプリングは、ユウの意識を現実に引き止める。
 口内に含まれて、熱が下腹部に集中していく。
「あ、あっ……やめ…!」
 両方の朱を舌と指で弄られ、ぎゅうとシーツに縋った。
「ん、んん、ぁん…っ!」
 脚の間で震えだしたそれにラビが気がつかないわけはなく、何の前触れもなく握りこまれて戦慄く。
「…っ、馬鹿っ……急にンなとこ触んな…っ」
「だってユウ、ここ触って欲しくてビクビクしてたさ」
 笑い混じりの囁きに、カァッと熱が上がる。手のひらに包み込まれたそれは、確かに愛撫を求めていた様ではあるけれど。
「今日は誕生日だし、ユウの気持ちいいようにしてあげるさ」
 タチの悪い笑顔だ、と独りごちる。
「どうして欲しい? ユウ」
 ラビがそう続けるであろうことも、どれだけか想像できた。
 だけど、いやだからこそ、このまま手中に堕ちてしまうのは気に食わない。
「ラビ……」
「ん、何、ユウ?」
 引き寄せてひとつ、ちいさな口づけ。それだけでも驚いた顔はしてくれたが。



「……────朝まで、離すな」



 案の定、惚けたようなラビの顔。
「…………ユウちゃん…言うようになったさ…」
 噛み付くような口づけに、肩を竦めて笑う。
 そうだせめてこれくらいの報復は。


#両想い #ラブラブ #誕生日 #ラビユウ

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降っても晴れても

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ 2006.05.03

#R18 #両想い #ラブラブ #ラビユウ

 雨が降ってきた、と最初に空を見上げたのは神田の方だった。「あ、本当さね。どうりで肌寒いと思ったら」…

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ

降っても晴れても




 雨が降ってきた、と最初に空を見上げたのは神田の方だった。
「あ、本当さね。どうりで肌寒いと思ったら」
 その声にラビもまた空を見上げる。僅かに白い息が、口を逃れて空気に解けた。
 そっちも降ってんのかと返ってきた声に、ラビはうんと頷いて、
「結構雨の粒がデカいさね。大降りになるんじゃないかなこの分だと。そっちはどう?」
 そう、パタパタと飛び回る無線に答えた。
『こちらもだな。やっと任務が終わったと思ったらこれだ』
 耳に懐かしい声が、ラビを安堵させる。何事もないような声音は、無事であることを知らせてくれた。
「任務終わったんか。お疲れ様」
 オレも今終わって帰るところだと、嬉しそうに口にした。
『次の任務は?』
「ん? まだ聞いてない。もしかしたら本部でゆっくりできるかもしれんさ」
 ユウは?と少し強く振り出した雨を踏み、無線の向こうの愛しい恋人に訊ねたら、自分も何も聞いていないと返ってきた。もしかしたら本当に、久しぶりにふたりでゆっくり過ごせるかも知れない。
 前回の任務が終わった時は、入れ違いに神田の方に任務が入ってしまった。
 その前は顔を見て二、三言葉を交わすだけだった。
 だけど今回は、タイミングさえ合えば、顔を見れる。アクマさえ現れなければ、ゆっくり時を過ごせる。
 共に夜を過ごせたらそれは幸せだろうけど、せめてあの身体を抱きしめるくらいはしてみたいと、ラビは口の端をあげた。
「あぁ、なんかもう、任務の疲れなんか吹っ飛んじゃったさ。もうすぐユウの顔見れるんさね」
『……はしゃぎ過ぎじゃねーのかお前。何がそんなに嬉しいんだか』
 向こうから呆れたような声。
 逢いたいと思っているのは自分の方だけなのだろうかと苦笑して、それでも言ってやった。
「そりゃ、嬉しいさ。大好きなユウに逢えるんだもん」
 任務で疲れて帰って来て、それでもいちばん大事な人に逢えるなんて、こんなに嬉しいことはない、と。
『バカ言ってんじゃねぇ! お前が帰還する頃には寝てるからな、起こすなよ』
 きっと無線の向こうの彼は、今頃顔が赤いんだろうなあと考えて、後少しになった階段を上る。
「え? 多分オレの方が早いよ? だって本部もう目の前だもん」
 水路をくぐって階段を上がれば、塔の中に繋がる扉が見えてくる。そうだ、後十数段上ったら。
『あ? オレももうすぐ中に……え?』
「え!? ちょ、ユウ今どこ!?」
 まさかと思った。確かに本部内へと繋がる扉はひとつじゃないし、自分も帰還ルートでいちばん近いこの階段を選んだだけだ。
『今西階段だ。もう中央階段に出る』
「……マジで!? オレ今東階段なんだけど」
『え…』
 ここを上がれば中央階段にさしかかる。思わず足が速まった。
 タタタ、と駆け上った先の踊り場で、足を止め。
「────ユウ」
 自分が上ってきた階段の反対側。そこに、惚けたような顔をした、愛しいひとを見つける。知らず頬が綻んだ。こんな表情は、神田でなければ知らないだろう。
「……チッ、任務で疲れて帰ってきて、いちばん最初に見んのがてめェのツラかよ」
 うんざりだ、とでも言うように息を吐き、神田は眉を寄せた。
「ヒドいさユウ~」
 もっともそんなすげない対応、こっちはとっくに慣れっこで、ヘコませるためなら効果はない。
「おかえりユウ。逢えて嬉しい」
 踊り場でゆっくりとその身を包み、素直な体温を確かめる。
「……」
 こうして抱きしめてしまえば、神田が大人しくなるのは知っていた。
「怪我してないさ?」
「してねぇ。お前は」
 すっぽりと覆われた、腕の中で目を伏せる。本人は認めたくはないのだろうが、安心できる場所だからにに違いない。
「してないよ。なに、心配してくれてるんさ?」
「誰が」
 神田はぐいと腕を突っ張って、ラビの身体を押しやる。ちぇ、と寂しそうな顔をした彼には見向きもせずに、中央階段を上がった。こんな、いつ誰が来るとも解からない場所でのスキンシップは、正直とても有難くない。神田がそう思っているのは、ラビだってもちろん知っていたけれども、それを思い出すよりは、一刻も早く触れてみたかったのだ。
「おい、てめェも報告行くんだろうが。さっさと来いよ」
 そのまま動かなかったラビを、心配してか訝しんでか、神田が少し振り向いて呼んだ。それさえが嬉しくて、そんな自分に苦笑い階段を上る。
 離れていた間の寂しさなんて、その声と降りしきる雨が流してくれるだろう。



 一応の報告は済ませた。あとは文書にして提出すればいいだけだ。任務に出されるようになってもう何年経つだろうか。さすがにそんなものは慣れてしまって、日常化してしまった。
「書記官でもいればいいのに。倒したアクマの数なんて、もういちいち覚えてねーよ」
 廊下を歩きながらそう口にしたのは、言わずもがな神田の方で。
 彼はラビと違って記録することを得意としない。文書を書くのは苦手だと、口にしたのをいつだか聞いた。
「手伝おうか?」
「……結構だ。また何か変なコト要求されたんじゃ、たまったもんじゃねぇ」
 そんな彼にラビがこう提案すると、決まって返ってくる答えはこれだ。親切心ではあるのだけれども、いつだったか実際、見返りとして【変なコト】を要求してしまった事実がある以上、何も言えはしない。
「今回はちゃんと親切心なのになー。そういうこと言われると、余計に変なことしたくなるさ?」
「あぁ!?」
 くすりと笑って、怒ったような神田の腕をぐいと引っ張る。
 非常食の木箱が雑多に収容された狭い路地に引き込んで、虚勢を張る背中を押し付けた。
「おいっ」
 こんな狭いところでは密着せざるを得なくて、自然相手の体温と匂いがまざまざと感じられて、神田は内心焦る。久しぶりに逢ったのは事実だし、この男がスキンシップ過多なのも事実。
「ユウ」
「やめろ馬鹿ッ」
 近づく口唇は必死で押しのけられて、それでも触れたがったそれが距離を縮めてく。
「……キスだけ」
 鼻先が触れる。雨に濡れたせいかほんの少しいつもより冷たくて、思いのほか敏感になっていた。
 口唇には触れないように、ラビの口唇は神田の頬を滑る。しようと思えばすぐにでも奪えるはずなのに、ラビは神田の答えを待っている。自分が求めているように、相手にも求めて欲しいと、
「仕方……ねェな」
 キスだけだぞ、とお許しが出たのはそれから数秒後。許されてしまえば後はもう、一気に奪ってしまうのが、ラビのやり方。
「んぅっ……」
 細い腰を抱いて、濡れた舌を神田の口へと押し込める。油断していたのか待っていたのか、難なく入り込めたそこを思い切り舐って、食らう。
「ん、ん、ラビ、ッ……う」
 しがみつく指がビクリと跳ねた。神田が、自身が思うよりもっと遥かに、キスをすることが好きなのは知っている。絡め返してくる舌は、力強くて扇情的。まるで、仕掛けたはずのこちらの方こそ食われているような、妙な快感に流される。
「も、やめ……っ」
 人が来る、と自制心を楯にするが、腕はしっかりとしがみついていた。
「いやさ。ユウ可愛い」
「何を馬鹿なっ……ぁ」
 ラビの手は神田の身体を這い回る。ラインを確かめるような手のひらの軌道は、動悸を速めるには充分過ぎるくらいだった。
「やめね……ェかっ、ここをどこだと…ッ」
 自分の身体で壁に押し付けて、背を這い腹を這い、器用な指は団服の中へと入り込む。ラビ、と抗議で名を呼ぶ口唇を、キスで塞いだ。
「んん、んっ、う」
 思う存分味わって離せば、くたりと項垂れる愛しい恋人。自分もまた呼吸を弾ませ彼の頬を撫でると、ギラリと睨み上げられた。
 ああ綺麗だなぁと口の端を上げる。相当溺れているなんてこと、誰の目から見ても明らかで。
「キスだけだって……言っただろうが…!」
 むしろ気づいてくれないのは当人だけだ。そんな風に見上げてこられても、心臓が跳ねるだけ。それでもこれ以上怒らせたら、破局の危機…とまでは行かなくとも、しばらく口をきいてくれないかも知れない。
 ここは大人しくしておこう、と神田を抱きしめたまま、
「ダメ? どうしても?」
「ダメに決まってんだろ、離せ!」
 それでもわざと抱く腕を強めた。神田が力を込めても、振りほどけないくらいには。
「ユウがキスしてくれたら止めるさ」
「バッ……」
「してくれなきゃずっとこのまんまさ? ユウ」
 我ながら卑怯な条件を出したものだと思ったけれど、たまには向こうからの愛情を確認してみたい。自分だけの一方通行でないとは知っているけども、離れていた後はたまらなく不安になるものだ。
「~~~~、め、目ぇ閉じてろ!」
 キスをしてくれるくらいには、愛されているらしい。それとも、この状況から早く逃れたいだけだろうか。そんなこと思って苦笑して、見つからない答えにそっと目蓋を閉じる。
「……」
 目を閉じていても、神田が戸惑っているのは感じ取れた。ややあって、頬に添えられる細い指先。愛撫するように蠢き、やがて。


 ……ちゅっ…。


 頬に触れて、離れていく柔らかな口唇。
 虚をつかれて思わず目を瞠る。そこには、頬を上気させた神田の姿。視線が絡まって、彼は慌ててそれを逸らした。
「く、口唇に、なんて言ってねぇだろッ」
 まさかそうくるとは思わずに、こちらの方こそ照れくさい。
「馬鹿ユウ。今のめっちゃド真ん中」
「ハ!? ちょ、待て、おい」
 そんな可愛いことを、こんなふしだらな思いの時にしないでください、と幾分身勝手な感情を、指先に乗せてバックルを外す。
「ラビ!」
「ごめん一回だけ。声出すのヤなら、塞いでてあげるから」
 少し雨の匂いがする髪に鼻先をこすりつけて、くつろげた団服の中に指を滑り込ませた。恋する男の性急な仕種についていけず、神田の身体が戦慄く。
「ん! ……ん、や…っ」
 入り込んできた指に嬲られて息が詰まる。耳元で聞こえる荒い息遣いが、余裕の無さを伝え、懇願のようで抵抗さえ忘れた。
「う、あ…ッ……」
「ユウ」
 雨足が強まる外の世界。温度が下がる外の世界と裏腹に、熱を上げていくふたつの身体。
 逢えなかった時間を、流していってくれたらいい。
 それができなければ、降りしきる雨になりたい。
 空を舞って、身体に吸い付いて、この人を包みそうやって消えていくのも悪くないだろう。
「ユウ……」
「ん、ふっ、……ぅ、あ」
 侵食した自分を全部洗い流して、この人が幸せになれるように、祈りながら消えていくのも、悪くはないだろう。
「ユウ、もっと脚開いて……ん、そう…」
「ぁ、ラビ……ラビ、あぁッ」
 ラビを飲み込んで、背をしならせる神田。脚を抱え広げ、根元まで埋めるラビの欲望。吐き出す息が艶めいて、弱気を覆っていく。
「ユウん中……すげぇイイ……すぐ…イッちまいそうさ…ッ」
 ぐいと押し進めた腰が、神田の性感帯を刺激したようで、淫らな嬌声が上がった。それでも快楽に耐え、しがみついて彼が放った言葉は、


「オ…レをこんなんに……しといてッ……ひとりで…いくなよ、…ッかやろ……!」


「────」
 ラビの目を、瞠らせた。
 まいった。心の闇に気づかれている。
 神田は普段こんな風に快楽を乞うことなんてない。その彼がしがみついて、行くなと言ってくれた。愛してもらっていると感じるには、それで充分だ。
「……一緒で、いい…?」
 腰を止めて訊ねたラビに、神田はこくりと頷いて、
「ラビ、……キスを」
 誓いを乞う。ラビはゆっくりと口づけて、ふたりで吐息を分け合った。
「んっ、ん、んぁ、う」
 ねじ込んだ雄と、口内を舐る舌で、高みへと誘う。締め付けられて、痛みと快楽に眉を寄せた。
「ん、んん──ッ、ンッ」
「っつ……!」
 やがて訪れる絶頂に、ふたりで酔いしれる。
 土砂降りの雨の音を、快楽で遠のきそうな意識の中聴いた。
「ユウ、……ありがと、愛してるさ」
 抱きしめるこの腕を振り払われないうちは、この体温であなたを包もう。
 雨の日も、雪の日も。
 暖かい日も、寒い日も。
 春も、秋も。夏も、冬も。
 朝も夜も、ずっとずっと。
 降っても晴れても、この腕で────。


#R18 #両想い #ラブラブ #ラビユウ

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初恋

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ 2006.04.23

#両片想い #ラビユウ

 別れた時は、お互いまだ子供だった。 今だって大人と言えるほど生きてはいなかったけれど、身体だってま…

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ

初恋




 別れた時は、お互いまだ子供だった。
 今だって大人と言えるほど生きてはいなかったけれど、身体だってまだ出来上がっていなかったし、エクソシストとしての技術や考え方だって、今よりずっと幼かった。
 そうだ、恋心に気づかないくらいに。



 幼なじみと言えるであろうアイツがブックマンと修行に出てから、多分もう五年か六年か経ってしまっているはずだ。あの頃はオレもまだ髪がここまで長くなかったし、六幻だって上手く扱えなかった。
 アイツが…ラビが修行に出てから、一年目は帰ってくるのを楽しみに待っていた気がする。二年目は、帰ってくるのかと不安でしょうがなかった。三年目には諦め始めて、四年目で一切を諦めた。
 俺とアイツの道が重なることはないのだと言い聞かせて、日々の任務に身を投じる。
 生きているのかどうかも怪しかったが、ブックマンがラビ以外の新しい後継者を迎えたとも聞かない。ラビはまだあの老人のもとにいるのだろう。
 生きているのならもうそれでいい。
 俺だって日々駆り出される任務で実際に忙しかったし、五年も六年も前に別れた親友のことなんか、考えてるヒマもない。
 そうだ、時折ふと思い出すくらいで。


「ユウ!」


 突然呼ばれた名前に顔を上げる。
 この教団に、俺を名前で呼ぶやつはもういないはずなんだ。それに、この声に聞き覚えは……いや、ないと言い切れない。どことなく聞き覚えがある…誰……
「────」
 顔を上げたそこに。
 任務で疲れて帰ってきて、目がおかしいのかと思った。そんなに大した任務じゃなかったけど、そうでも思わないと、この光景は納得できない。


「ユウ久しぶり! 元気だったさ!?」



 見覚えがある。
 見覚えがあるあの赤毛。


「ラ……ビ?」


 階段で立ち止まった俺の方に、いそいそと駆けてくる、アレは。
 夢かとも思ったけど、現実だった。
 すぐそこに、あの日別れた親友。
 アイツ、生きて。


 嘘だろ。
 嘘だろなんで今さら。


 心臓が跳ねる。カァッと体温が上がる。
 手を伸ばせばすぐ届く、そんな位置にいたけれど、顔なんか見ていられない。目なんか、とてもじゃねぇが合わせらんねぇ。
 信じらんねぇ。何だコレ。


「ユウ、髪が伸びたね」


 笑った顔に、一気に競りあがる感情。
 その感情に気づいて、もうその場にいられなくなった。口許を押さえてそいつに背を向けて、振り向かないまま走り出す。
「ユウ!?」
 俺を呼び止める声は聞こえたけれど、止まってなんかやれるか。頼むから追ってくんな。顔を見たら、黙ってなんかいられない。
 塔を飛び出して、広がる森を逃げ場にした。逃げたって何にもならねぇことはわかってるけど、あれ以上アイツの……ラビの傍になんかいられなかったんだ。
 心臓が波打ってんのがわかる。走ってるせいとかじゃなくて、大体そんなもんで不整脈起こすような鍛え方してねぇし。
 追ってくる気配がなくなって、俺はやっと立ち止まり、傍らの大樹にもたれた。
 たったこれだけの距離を走っただけで息が上がっている。心臓がドクドクと鳴っている。
 目を開けていても閉じていても、浮かぶのはさっきみたアイツの姿。
「……」
 背が高くなっていた。
 肩幅がひろくなっていた。
 筋肉だってあの頃よりずっとついてて。
 声が……低くなっていて。
 だけどあの笑った顔だけは変わっていない。あの時のままだ。
「ユウ!」
「!!」
 ため息をついた途端名を呼ばれ、驚いて振り返る。気配を殺すのも上手くなったのか。
 離れようとして、腕をつかまれできず。それでもせめてもの抵抗にと顔を逸らす。
 あの頃はこんなに背が高くなかった。
「なんで逃げるんさ! オレなんか悪いことした!?」
 あの頃はこんなに低い声じゃなかった。
「関係ねぇだろ、離せよ」
「いやさ。理由聞くまで離さねぇ」
 あの頃は、こんなに力強くなかった。
「もしかして怒ってるんさ? 一度も連絡しなかったから…」
「違う、違うから……頼む、離せ」
 勘のいいお前なら、わかるんじゃねぇのか。俺、絶対に今顔赤いだろ。
「理由を言ってよユウ、オレに悪いとこあんなら直すし、謝るさ。ねぇ、こっち向いてよユウ。六年ぶりなのに」
 心臓だって、こんなに。信じらんねぇちくしょう。顔なんか……見れるわけねぇ…っ!
「い、いいから離せっ! てめェは何も悪かねぇし、か、関係ねぇだろ!」
「関係なくない! 友達じゃねーんさ!?」
 バカヤロウ。信じらんねーどうすりゃいいんだこれ以上。
「り、理由聞いて困るのはてめぇの方なんだよ!」
 自分がいちばん信じらんねぇ。なんでだよ。なんでよりによって。
「別に困んねーさ! あ、でも【嫌い】とかだとちょっと困るさ」
「バカ、逆だ!」
 勢いで振り返って、口を出た言葉に、しまったと思った。
 言うつもりじゃなかった。どう考えてもおかしいだろ。
「え、逆って……ユウ?」
 まだわかんねーのかよこの鈍感…っ!
「お前が好きだっつってんだ!」
 投げやりな言い方だ、と自分でも思う。
 まぁ仕方ねぇけどな。言うつもりはなかったし、男同士でこんなこと……拒絶されるに決まってる。
「……だから、困るっつっただろ」
 惚けたようなヤツの顔にひとつため息をついて、緩んだ腕を振り払った。
 それで我に返ったのか、背を向けようとした俺を全力で引き止めてくる。
「ユウ今のマジ!?」
 両腕を掴まれて、グイと引き寄せられる。ちょ、待て近い近い近い…!
「ねぇ、今のマジ!?」
「な、何度も言わせんな! は、離れろてめ…っ」
「じゃあオレ、ユウのこと好きって言っていいんさ!?」


 …………は?


 今何つった、コイツ。
 す……好きとか…何とか……言ったか、今?
「ユウに好きって言っていい……!?」
 何。なんでコイツ、こんな泣きそうな顔……し…て────
「────!?」
「ユウ、好き」
 今、今、今…っ、くち、くくくくくくちびる……っ!
 口唇、当たった……!?
「ラビ、おま……ッ何考えて…!」
 今、キス、した? キスしたのか?
「……ユウの言ってくれた【好き】は、違うんさ? オレはユウのこと好きだから、キスしたいって思った」
 ちが、違わねぇけど、ちょっと待て……っ!
「抱きしめたいしキスしたいし、その先だってしたいんさ。離れてた間、ずっとユウに触りたいって」
 その先!?
「ま、待て、ててて、展開が速ぇ!!」
 思わずラビの口唇を両手で塞いだ。
 なんで、と手のひらの向こうからくぐもった声。
「お、俺はついさっき自覚したばっかなんだ! こんな、さ、触ってるだけで死ぬほど恥ずかしいんだよ!」
 まさか、ラビも俺を、なんて思ってもいなかったし、いやそれどころか自分の感情を自覚して抑えるだけで精一杯だったんだ。
「あ、そーなんか。じゃあ慣れるまでオレに触って」
「!」
 ラビが、口を塞いでいた俺の手を取って握り締める。そのまま指先に口づけられて、心臓が止まるかと思った。
「ユウ……逢いたかった」
「……っ」
「ずっと好きだったんさ。さっきユウに好きだって言われた時、もう死んでもいーやって思っちゃった」
 笑う顔が眩しい。感情が違うだけで、こんなにも印象が違うなんて、知らなかった。
 コイツに逢うまで、こんな感情知らなかった。
「ラビ……」
「ユウ、そんな可愛い声で呼ばないで。またキスしちゃいそうさ」
 こんなふうに、嬉しいと思う感情なんて知らなかった。
「……キ、キスだけなら…」
 こんなに触れたいと思う恋があるなんて、きっとずっと知らずに過ごしてた。
 口唇が震える。
 それを包んでくれる温かな感触が、ラビの口唇だと解かる。
「ユウ、ちょっと口唇開けて…」
「え、あっ…?」
 抱きしめてくる腕が力強く、吐息を感じる距離に心臓が高鳴った。
 口唇を舐められる。ビクリと震えている間に侵入されて、もう何かを考えている余裕なんてあるはずもない。
「ん! ん、んッ……う」
 解かるのは、こんなこと初めて経験する俺を気遣う余裕もなさそうに口づけるラビと、何がなんだかわからずに、ラビにしがみつくしかない俺がそこにいるということ。
「ん……ラビ…」
「ユウ、もっと…キス……」
 答える暇なんかない。口唇が食われてゆく。
 離れてた間の分、隙間を埋めるように。
 気づかなかった想いの分、溢れるくらいに。
 今離れたら、もうずっと逢えないとでも言うように。
「……ラビ……離すな…」
「…うん……」
 何度も、何度も口づけを交わした────。


#両片想い  #ラビユウ

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愛でなく

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ 2006.03.23

#R18 #片想い #セフレ #ラビユウ

  白い背中が月明かりに浮かぶ。 このまま噛み付いたら、そこを流れる血はどんなにか美しいだろう。「必…

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ

愛でなく

 

 白い背中が月明かりに浮かぶ。
 このまま噛み付いたら、そこを流れる血はどんなにか美しいだろう。
「必死さね。そんなにオレのこと好きなん?」
 生温かい舌が、白濁とした体液を追って蠢く。ぞくりと肌があわ立った。
 こんなことに興味のある人間だとは思っていなかっただけに、好きだと打ち明けられた時には、天地がひっくり返るほどに驚いた。
「んんっ、ふっ」
 抱いてやってもいいと笑った時には、彼はいつものように眉を寄せて口唇を噛んだ。
 背に踊る長い黒髪がやけに淫らで、凶悪な気分になったとしても、自分の目の前でボタンを外した彼には何も言えないだろう。
「ユウ、どこで習ったんさ? 巧いね、舌遣い」
 でももっと喉の奥まで飲み込んで、と後頭部を押して己を飲み込ませる。くぐもった声が聞こえてきたけれど、そんなものは知ったことか。
「んぁっ」
 口での奉仕を続ける神田の脇のラインを手のひらでなぞる。たったそれだけでも敏感に反応を返す彼が面白い。抱いてやってもいいと言ったのは好奇心からだったが、間違ってはいなかったらしい。
「ん、ん、あ」
「ダメさユウ。ちゃんとしてくんなきゃ」
「んぐっ」
 指の腹で硬くなった胸の飾りを捏ね回すと、相当気持ちがいいのか腰が揺れ、悦楽が口をついて出た。当然のごとく中断された奉仕が気に入らないラビは、神田の髪を引き掴んで行為に押し戻す。
「んん、ん、ふ……うっ」
「あぁ、すげぇイイさユウ……イキそ」
「ラビ」
 先端で名を呼ばれ、微妙な接触が快楽を引き起こす。さすがに同じ男だ、どこをどんな風にすれば気持ちがいいのかを心得ている。ちゅぷちゅぷと淫猥な音を立て、神田はラビを飲み込んだ。
「つっ……う」
「……!!」
 喉の奥に放たれ、息が詰まる。押し戻そうにもラビのそれは口唇を占領していて叶わない。
「全部飲んで、ユウ」
「ん……んぅ…!」
 確信的なものだとわかっても、神田はどうすることもできなかった。
「ハイよくできました。ユウのもしてあげよっか?」
「あっ」
 掴まれた髪ごと身体を引き上げられて、頭皮の痛みに声を上げる。ラビは正面から神田の姿態を視姦し、口の端を上げた。
「すげぇなユウ。オレまだユウのそれ、触ってないよな? もう濡れてるさ」
「!!」
 目を向けずとも、自分の身体のことなど解かっていた。ラビを口に含んだだけで自分が反応していることなど、もうとうに。羞恥で視線なんか合わせていられない、と顔ごと逸らす。それを面白がって、ラビは笑った。
「なぁ? オレにしてるだけで感じちゃったさ? こんなにヌルヌル」
「っ……!」
 指先で、立ち上がった先端を擦られて肩が竦む。先端から溢れ出す蜜は、淫らな音を奏でた。とても普段の彼からは想像もできず、潔癖と思えるその男が、自分の目の前でこんな痴態を晒しているなんて、滑稽で笑えてくる。
「ユウ、一人でするときってやっぱオレのこと考えながらヤッてんの?」
「あっ!」
 ぎゅうと握りこんでやると、顎を上向けて快楽を訴える。伸びる喉のラインが美しくて、ラビは目を細めた。
 この身体全部が快楽に汚れたら、どんなふうだろうかと想像して。
「自分の手、オレだと思ってヤッてるんさ? お前の中のオレは、どんなふうにユウを抱く?」
「~~~や、ラビ」
「なに」
「そんな…ふうに……っ言うな…!」
 自分の痴態が耐えられないのか、それとも嬲る言葉にさえ快楽を見出しているのか、閉じた睫毛に雫が光る。
「じゃあどんなふうに言えば満足なんさ。ヤッてないなんて言わせねーよ? それともなに? 身体なんて求めない純愛だとでも言いてーんさ?」
 自分から脱いだくせにと神田の脚を抱え広げる。そこに自分の身体を割り込ませ、押し倒した。もとより抵抗らしい抵抗はしなかったけれど、それでも押しのけようとする弱い腕をひとつにまとめ上げる。
「ふぅん……イイ眺めさね」
「ラビ! 離せ…っ」
「なぁ、一人のときどんなふうにやるんさ? オレに犯されること考えながら?」
 くすくすと笑う声が、自分でも耳についた。こんな自分のどこを、この男は気に入っているというのだろうか。女に興味がないわけでもないようなのに、よりによって同性の自分とは、笑わせてくれる。
「い、いやだ見んなッ……!!」
「見られるの嫌? じゃあどうして欲しいんさ。自分から脱いだってことは、抱いて欲しいんでしょ?」
「ん!」
 笑いながら奥の窪みをつつくと、ビクリと背がのけぞった。その反応は見ている側にはとても愉快で、ましてやこの男が自分の下で喘ぐ姿など想像もしていなかっただけに、その感情は倍増する。
 もっと嬲ったら、どんな痴態を見せてくれるのだろうかと嗜虐心が湧いてくる。
「ねぇ、ここに突っ込んで欲しいんじゃねェの? 突っ込んでかき回して……オレのでイキたいんでしょ?」
「あ、……やっ」
 もう腕を解放しても、押しのけようとはしなかった。ぎゅうとシーツを握り締め、必死に耐えようとする様は本当に淫らで仕方がない。
「ユウ、お前男初めてじゃねぇだろ。誰にヤらせてんのさこの淫乱」
「違っ……あん」
「違う? んなワケねーじゃん……ホラ、ちょっと指入れただけでそんな腰振って」
 確かに入り口はキツいと言えるだろう。だがそれもどうだ。第二間接まで入れて少し動かしてやると、もっと奥に、とねだるように腰を振る。キツいと思ったそこはもう湿り気を帯びて、ラビの指に絡みついた。
「あ、あっ……いやだラビ…っ」
「うわすっげぇ……こんな奥まで入るさ。やらしー」
 指をもう一本増やして奥まで入り込む。温かな内襞が指を食らい、淫猥な音を響かせた。
 わざと聞かせるように指を動かし、ラビは耳元で神田を嬲る。
「…な、ユウ。お前のここ、すげぇぐちょぐちょ。抜こうとすると締め付けて……それでもこんなんじゃ足りねぇって言ってるぜ……?」
「そんっ……ぁ、あ、んあ…っ」
 潔癖そうなな彼には、卑猥な行為と言葉が何よりも堪えるだろう。そして思い通りの反応に、ラビは知れず口の端を上げた。


 面白い玩具を見つけたと。


 自分の成すことにこれほどまでに反応を返す身体を、見過ごすにはかなり惜しい。愉快なことにこの男は自分を好いているという。惚れた男になら多少嗜虐を強いられても構わないだろう。そうだそして時折愛しているとでも囁いてやれば、きっと幸福なことに違いない。
「ユウ、オレのこと好き?」
 神田は持ち上げた目蓋を再び閉じて、そして再び閉じた。雫の光る睫毛を揺らして、ゆっくりと頷く。どうしようもないのだと、涙ながらに言い募る神田に、ラビは目を細めて笑った。
「可愛いな、ユウ」
 憐れみさえこめた、嘲笑だった。
「じゃあ指だけでイケたら、ご褒美あげる」
 そう言って、差し込んだ指を折り曲げてはかき回す。苦痛とも快楽とも言いがたい神田の悲鳴が、冷えた口唇にに飲み込まれていった。
 噛み付くようなサディステックなキスでさえ、欲しいと告げる哀れな男を、組み敷いて散々に犯す。
「愛してるさ、ユウ────」
 それは間違っても、愛でなく。


#R18 #片想い #セフレ #ラビユウ

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ハレルヤ

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ 2006.01.29

#両片想い #ラビユウ

 好きって言って、思い切り抱きしめた。 夢じゃないかな、夢じゃないよな。だってユウが温かくってちゃん…

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ

ハレルヤ




 好きって言って、思い切り抱きしめた。
 夢じゃないかな、夢じゃないよな。だってユウが温かくってちゃんとユウの生きてる匂いがする。
 ああ、夢じゃないさ、これ。


 ユウが今オレの腕の中にいる。




 好きって言われた。思い切り抱きしめられた。
 なんだこれ。夢だろ。夢だよな。……でもなんでこんなリアルなんだよ。
 待て、ちょっと待て。これ夢じゃねぇ。


 ラビが今俺を抱きしめてる。


 心臓が鳴った。触れたい人に触れていた。どうしようもないと思っていた感情を、今吐き出した。
「ユウのこと、好き。……好き。…好き……」
 耳元に吐息が聞こえる。震えているような音だった。
 女を抱いた手で触れるなと言われたけれど、どうしても今じゃなきゃダメなんだ。もうこれを逃したら絶対に言えない。
 ありったけの想いをこめて伝えるけれど、どうしよう、こんなものじゃ伝わらない。
 神様、かみさま嗚呼どうしたらいいんだ。この心全部伝えるには、あとはどうしたら。
「ユウが好き」
 ユウはさっきオレを抱きしめてくれた。抱きしめて欲しいヤツは自分じゃないのに、って言って、背中を向けた。オレを抱きしめたいって意味でいいんさ? ねぇ。ねぇ、オレはユウに抱きしめてもらいたい。
 自惚れでいい。今はそれでもいい。幸せなこの空気の中にいられるんなら、今だけカッコ悪い馬鹿になってもいいさ。あァ、なんだか世界規模で。
 ユウがいい。ユウしかいらん。馬鹿になってユウが手に入るんなら、いくらだってなってやる。
「ユウ、……好き」
 だから今だけ抱きしめて。





 心臓が鳴った。触れたい人が触れていた。どうしようもないと諦めていた感情が、さっき噴き出した。
 本当にどうしようもなかったんだ。抑え切れなかった。今まで我慢してきたのに、些細なことでこんなに簡単に切れてしまうものなのかと思ったけど。
「ラ、ビ」
 頭の中が真っ白で、もう何かを考える余裕などなかったように思う。
 冗談、で済まされる程度の強さじゃない。なんだこれ。どうしてこんなに強く抱いてくるんだ。そんなに鈍感なはずないだろう、お前。同情ならやめてくれ。そんなものいらん。お前の感情が全部欲しいなんて思ったこと、そりゃ確かにあったけど、そんな同情なんかいらねェよ。
 さっきは本当になんの考えもなしにお前を抱きしめちまったけど、どうすりゃいいんだよこれ。なにされてんだ、俺?
 好きとかそういう言葉、信じちまっていいのかよ。
 俺はてめェみてぇに頭良くねぇから、言葉の裏を読むなんてこと、できねぇんだ。
「……ラビ…」
 好きなんだ、お前が。
 もうどうしようもねぇ。お前が、そんな風に耳元で好きとか言うから。
 もう、抑えが利かねェぞ。責任取れよ、バカヤロウが。
「ラビ……」
 抱きしめていいのか、お前を。





 ユウが抱きしめてくれた。
 期待するさ? ねぇ、期待していいよね。オレはユウを抱きしめていいんだよね。
 好き。好きさ。ほんともう、大好き。
「ユウ、…大好き…」



 やべぇ、コレ。嬉しい。すげぇ……嬉しい…。
 都合いいように解釈すんぞ、おい。俺はお前を抱きしめててもいいんだよな。
 あァ、すげぇよラビ。俺をこんなあったかくすんのなんて、世界で絶対お前だけだ。
「……………すき、…だ」




 バンザイ。
 バンザイ、神様。
 こんなときだけ貴方に愛を贈る、わたしたちを赦してください。
 オォ ハレルヤ

#両片想い #ラビユウ

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Call my name

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ 2005.12.29

#両想い #ラブラブ #ラビユウ

「ユウちゃん。ユウ」何度目になるだろう、と思った。ベッドの上で読んでいた書物から顔を上げ、短く吐いた…

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ

Call my name




「ユウちゃん。ユウ」
何度目になるだろう、と思った。
ベッドの上で読んでいた書物から顔を上げ、短く吐いたため息は、彼に届いただろうか。
「そんな何度も呼ばなくても、聞こえてる。なんだ、さっきから」
脚の間、背後から抱きしめられて、耳元で呼ばれればイヤでも聞こえてくる。
だけど別段呼んだ後に何をするわけでもなく、ただ抱き込んで、肩に顔を埋めるだけ。髪が首筋に当たって、くすぐったさに身を捩る。




最初呼ばれたときは、1度だけ返事をした。けれども首を振って【なんでもない】と返されて。不思議に思いながらも視線を戻したが、10分経つか経たないかの内に再度呼ばれて、視線だけを返してやった。
それを気にする風でもなく、嬉しそうに笑うラビ。
内心で首を傾げながら書物に集中しようと目を戻したのは。3度目まで。
4回目からはもう面倒で、視線を返すことさえしなくなったけれども。
「ユウ」
「だから、何なんだよ。怒るぞ」
何がそんなに楽しいのかと思うほど嬉しそうな彼を、そう言って振り返る。


「ごめん怒んないで。ただユウの名前呼びたかっただけなんさ」


「…はぁ?」
一瞬、何を言われたのかと思った。大体においてラビの言うことは突拍子もなくて、理解するまでに多少の時間を必要としてしまう。
「ユウちゃんの名前、好き。すごく好きなんさ」
抱く腕が強くなる。普段なんでもないようなことのように呼ばれる音が、感情ひとつで受ける印象がまったく違う。
「ユウ、大好き」
本当に愛しそうに声に出されて、言葉に詰まる。
なんと返してやるべきなのか。
礼を言うには照れくさいし、では名を呼び返してやろうか。それとも不意の口づけで。
「ユウ、っていう音が、世界でいちばん好きになった」
だから呼ばせて?と振り向いたこめかみに、ふわりと落ちる口づけ。先を越された様で何故だか酷く悔しいと感じた。
「ユウ、…ユーウー」
「……」
そして、同時に気づく。

スキだ、と手放しで喜んで呼んでやれる名前を知らないことに。

ラビ、という音の名前は知っていた。昔ジュニア、と呼ばれていたことも知っていた。
ただ、本当の名前は知らなかった。
「俺…、は、お前の名を呼べん」
躊躇いがちに呟いたユウに、ラビは首を傾げた。
「どうしてさ? いつも呼んでくれてんじゃん。ラビ、って」
「それはお前の名前じゃねぇだろ!」
この男は今、その名を名乗っている。だがそれはこの世界に生れ落ちたとき、貰い受けたものではない。
「ユウ…」
ブックマンを継ぐと決めたとき、現ブックマンからもらった物だと聞いたことがある。名前も国籍も捨てて、この男はブックマンとなる生を選んだのだ。
「俺は、お前の国も名前も知らないで…っ…お前のことなんか全然、何もわからねぇ…っ」
「ユウ、ユウちゃんごめん、泣かないで」
そう言って強く抱き寄せると、【泣いてねェ】と強がる言葉が返ってくるのは、いくらか想像できたこと。この人は弱みを見せることを潔しとせず、いつもひとりで耐えている。それをどれだけ悔しいと感じているか、知りもせずに。


「…ユウ、ごめん。オレの本当の名前、ちっちゃい時に売ったんさ」


ビクリと身体が強張ったのが、密着させたそれから伝わってくる。数瞬後に顔を上げたユウを、優しく見下ろした。
「売っ…た?」
「貧しかったんさ、家。だから、売ったよ。名前とか、……右眼も」
声が出て来なかった。自分の家も裕福な方ではなかったが、それでも。
そんな顔しないで、と苦笑が零れ落ちてくる。なんでもないことのように口にされたことが、思いのほか衝撃だった。
「オレの名前は今、誰かが使ってる。だからオレがそれを名乗ることはできないんさ」
ごめんね?と微笑まれて、湧き上がってくる感情を抑えきれず、思わず顔を逸らした。こんな自分は見られたくない。
「ユウ? ごめんイヤな思い、させちゃったさ?」
「触んなっ…」
引き寄せた腕をパシリと払い、身体を遠く離す。彼が寂しそうな顔をしたのはわかっていたけれど。
「今俺に…触んじゃねぇ…っ」
こんな感情に巻き込むべきではない。こんな感情を持った自分に触れていて欲しくない。
こんな。
「ユウ、どうしたんさ?」
「………っお前の、名を…! 顔も知らない誰かが使っているのかと思うと……っ腸が煮えくり返る……!!」
こんな感情が自分の中にあったのかと思うと、嘔吐感すら沸きあがってくる。
自分が知らない名前を、【そいつ】は知っている。
嫉妬というには激しすぎて、憎しみというには少々幼すぎた。
自分の身体を抱きこんで、せめてこれ以上感情が流出しないようにと息を止める。
「ユウ」
「だ…から、触んなって…!」
尚も抱き寄せようとするラビと、逃れようと身を捩るユウ。ふたりの重みを受けて、古いベッドはぎしりと嘆いた。
「んっ…!?」
力任せに抱き寄せた、彼の口唇がユウのそれを奪っていく。
勢いにのけぞって、苦しさに息を漏らした。
「ん、んむ…っ…ぁ、ふ」
舌を差し入れて奥の方まで貪って、逃げ惑うユウを強く強く抱きしめる。
「ユウ」
口づけの合間に小さく囁いて、愛しそうに吐息を分け与える。
「ユウ、オレの名前、呼んで?」
解放されたユウは荒い息の中ラビを見上げて、人の話を聴いていなかったのかと目を細めてみたけど。彼はそれでも愛しそうに見下ろしてくるだけだった。
「ユウは、オレのことなんて呼びたい?」
「は…?」
そんな言葉が返ってくるとは思わなかった。
なんと呼びたいか。そんなことを考えて名前を呼んだことなど一度もない。ただその【名前】というのが脳の奥にあって、自然と口から出てしまうだけで。
「ユウちゃんの好きなように呼べばいいさ? だいたい名前なんて、自分で好きに決めれるもんじゃないんだし」
それはそうだ。生まれ落ちた時にたいていは親から名づけられるもので、自分で選べるものではない。
「ユウちゃんに呼んでもらえるんなら、なんだって幸せ」
ぎゅうと強く抱きしめられて、黒く渦を巻いていた負の感情がふしゅりと薄れてく。
そっと背中に腕を回し、肩に頬を預けた。
「……うさぎ…?」
小さく呟いたつもりだったが、彼にはやはり届いてしまった様で、くすりと笑う声が耳に入った。
「うん、ユウちゃんにそう呼ばれンの、好き」
では他にどんなものが好きだろうかと口唇を動かす。
「…ジュニア、とか」
「懐かしいさ~」
普段呼びなれないその音は、自分にも新鮮なもので。ふたりしてくすくすと小さく笑った。
「じゃあ……バカ」
「…………それは、あんまり、嬉しく、ない、けど」
うぅんと唸るラビがなぜだか可愛らしく思えて、だけどこれでは自分の呼びたい名前になってくれない。ユウはゆっくりと身体を離し、正面からラビを見つめなおしてみた。
「ユウちゃん?」
不思議に思って首をかしげたラビの口唇に、ちょんと小さな口づけひとつ。
その口唇の先で、呼んだ。

「……Lavi…」

呼んで口唇を覆うと、強く肩を抱かれて押された。
ベッドの上に僅かに跳ねた身体を、ラビが衝撃をやわらげてくれる。それを知ってもう一度、彼に口づける。合間に呼ぶ【彼の名】が、次第に深くなる口づけの中に消えてった。
「La……vi」
愛しそうに呼んでやったら、吐息と共にユウと囁かれ、嬉しくて抱きしめた。




心に残る、音、あなたの、【名前】────


#両想い #ラブラブ #ラビユウ

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ホワイトクリスマス

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ 2005.12.25

#両想い #ラブラブ #クリスマス

 寒い、と言い出したのはどっちが先だっただろうか。 窓から覗くのは白い白い牡丹雪。 空のこんな高いと…

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ

ホワイトクリスマス




 寒い、と言い出したのはどっちが先だっただろうか。
 窓から覗くのは白い白い牡丹雪。
 空のこんな高いところにいても、それでもやっぱり雲の下にいるのだから当然雨も雪も舞い降りる。
 ただ、もっと低い、いわば地上にいた頃より、空からの降下物は近くなった気がしてた。



「ユウ、ダイジョブ? 寒くない?」
「寒いに決まってンだろうが。誰のせいでこんな格好してると思ってやがんだ」
 一応暖炉に薪はくべた。ふわふわの毛布も何枚か持ち出してきた。
 せっかくだから窓辺で雪を見よう、と言って聴かないラビにつき合わされ、音もしない雪を、ふたりで見上げだしたのは、確か1時間ほど前で。
 それでも最初の方は、故郷の季節について語り合ったりしていたんだ。冬にはとてつもない雪が降る、とか。夏にはセミがうるさくてかなわない、とかそんなこと。
「えー、オレのせいさ? なにユウちゃん。服着たままの方が興奮する?」
「誰がそんなこと言ってる」
 やがては指先が冷えてきて、ぎゅって手を握り合ってしまったのが、そもそもの間違い。
 久しぶりのそろっての休み、薄暗くなってしまった外の景色、しかもホワイト・クリスマス、なんて、雰囲気も手伝って、自然と口唇が合わさってしまう。
 柔らかなブランケットの上にふたり倒れこんで、繋がりを深くしてしまったのは、どちらもお互いを責めきれない。
「少し、疲れた」
「眠る?」
 優しく髪をなでながら、耳元で囁く。そういえば寝顔ひとつにドギマギしていた、そんな時代もあったなぁなどと、少し物思いに耽った。
「バカ、こんなとこでこんな格好で眠ったら、それこそ風邪を引く」
 一糸まとわぬ姿なら、それは否めない。確かに抱きしめてくる彼の体温は温かかったが、眠ってしまうには、包む毛布が頼りない。
「明日、だっけか。教団のパーティー」
「うん。リナリーが、任務から帰ってくるはずさ」
 一緒に出ようねとラビが額にキスを贈る。
 くすぐったい、と身を捩るユウの首筋に、スキ有りとばかりに口づけた。
「バッ…」
 口唇でラインを辿り、濡れた舌で熱を確かめる。
「バ…カ、やろ…まだ足んねェのかよっ…」
「足りんさ」
「おいッ……やめ…」
 ブランケットの中で脚が絡まる。尚も抗議を続けようとするユウの口唇を、無理に塞いだ。
「んんっ…」
 奥深くまで貪ると、気持ちよさそうに鼻を鳴らして背中に腕を回す。この人は本当にキスが好きだと、よりいっそう愛情込めて抱きしめた。
「っは……」
「ユウ…やっぱ身体少し冷えてるさ」
「んあっ…」
 何処を触っている、と振り上げた拳は、いとも簡単に受け止められてしまう。どだい、こんなことをされていては力が入るはずもないのだ。
「ごめん。でもこんな日くらい、オレのワガママに付き合ってよ、ユウ」
 組み敷いて見下ろした恋人の、綺麗な蒼眼が見開かれる。その中に映っているのが自分と天井だけで、嬉しいなんて思った。
「べ、別に…お前と、こ、こんなことすんの、ワガママに付き合ってるわけじゃねぇぞ…!」
 言われて、首をかしげた。
 顔を真っ赤にしながら言い募る、その表情が、たまらなく愛おしい。
「俺が……お前を欲しがってないとでも…思ってんのか」
「…ユウ…」
 愛しくて、愛おしくて、強く抱きしめた。
 普段、こんなことは言ってくれない恋人に、いくつもの、いくつもの口づけを降らせる。
 窓の外に舞う、雪のように。そっと、静かに。
「ユウ、ユウどうしたんさ? 今日はめちゃくちゃ嬉しいこと、言ってくれる」
 本当に嬉しそうなラビの表情に、ユウの頬が思わずに綻ぶ。
「クリスマス、だからな」
 白い雪に酔ったのかも知れない、とユウは照れ隠しに続けた。
 じゃあ毎日クリスマスだといいのにな、と口づけてくるラビを、呆れながらも愛しいと思ってしまったことは、言わないでおこう────



 翌日ふたり、風邪を引いてパーティーには出られませんでした、とさ────。

#両想い #ラブラブ #クリスマス

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天気がいいから

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ 2005.10.21

#両想い #ラブラブ #ラビユウ

 ユウは頬杖ついて、シーツに広がるオレンジ色を見下ろした。珍しく起き出さないな、と。 こうして寝顔を…

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ

天気がいいから




 ユウは頬杖ついて、シーツに広がるオレンジ色を見下ろした。
珍しく起き出さないな、と。
 こうして寝顔を見るのが初めてな訳ではない。先に目覚めることは幾度でもあったし、そのたびに抱きしめられて眠っていた事に安堵する自分に気づく。
 それでも自分が起きればこの男も、その気配に気づいて目を開けるのが常だった。

「……」

 すぅすぅと規則正しい寝息を立てながら、惰眠を貪る、ユウが恋人と呼ぶ男。
 赤橙の髪と陽に焼けた肌。つい、と伸びた鼻梁と黒の眼帯。
 …その、覆われた向こう側になにがあるのか、いまだ訊く勇気を持たない自分に、この男はどれだけ気づいているだろうか。

「ラビ…」

 小さく呼んでも、男は夢の中。
 どんな夢を見ている?
 そこに入り込めない自分が悔しくて、そっと髪を梳いてみる。
 案外にさらりとした髪はユウの指を難なく受け入れ、ラインを作る。
「……」
 それがやけに楽しくて、くすりと笑う。
 こんな自分は、普段の自分から考えるといささか背筋が寒い、と思いながらも、自然顔が綻んでしまう。
 鍵をかけたラビの部屋に、他に誰がいるわけでもなし、見咎められることはないのだが。
 それでもやはり気恥ずかしい。
 いつからこんなふうになってしまったのだろうと考えると、眠る男が小憎らしい。
 指で髪を弄びながらそんなこと考えて、自分が思っている以上にこの男に恋しているのだと気づかされる。
「…っち…」
 そんな気も知らないで気持ちよさそうに寝るな、と腹が立つ。
 軽くイタズラでもしてやろうと、ユウはベッドの下に手を伸ばした。
 手にしたのは、いつも自分の髪を結っている紐。
 起きないようにと、そっとラビの髪に指を入れる。
「ん…」
 さすがに気づいたのか、ラビの鼻が鳴る。
 大丈夫だまだ寝ていろと、額にキスを贈ってやれば、単純なものだ、すぐに寝息を立ててしまう。
 それだけ自分の隣で身体を休められるのだという事実に少しくすぐったさを感じながら、ゆっくりと手指を動かした。


「……ここまでして起きないのか」


 寝ていろとキスを贈ったのは確かに自分だが、いい加減気づいて起き出してもいいだろう。
 確かに昨日は任務が終わったばかりだった。それも長期のだ。
 その間はもちろん逢うことなんてなくて、頼りない無線で言葉を交わしたのも、片手で足りるくらいだった。


 無線で最後に交わした言葉は【逢いたい】。
 再会して最初の言葉は【逢いたかった】。


 疲れているはずだった。お互いに。
 日々生まれてしまうAKUMAを破壊して、伯爵の計画を阻止しながら、それでも自分たちエクソシストはそれが役目だと割り切って生きなければならない。
 同じ境遇の戦友に、癒しを求めたところで、咎められる謂れはない。
「ラビ…」
 生きていたことに笑いあい、息をつく間もないほどキスをして、ふたりベッドに倒れこんで。
 疲れていた身体を、抱き合うことで癒した。
「いい加減起きろ、…ラビ」
 いつまでも夢の中で、ひとり世界に置いていかないで。
 ユウはラビの形のいい口唇に口づける。
 ちゅうと啄ばんで、舐めて、息を奪う。
「ん、ん?」
 くぐもった声に、起きたか、身体を離しかけたが、無意識の腕に阻まれた。
「バッ…てめ…おい!」
「んー」
 背に回された腕に引かれ、さっきとは逆に、…奪われた。
「ん…ー!!」
 舌を差し込まれ、寝起きにしては烈しいキスを繰り広げられる。起きなければ良かったのに、と思ってもあとの祭り。
「ん、おはよ、ユウ」
「っはぁ…、てめ、朝っぱらからサカんじゃねェよ…!」
 腕が緩んだスキに、ついていた手を思い切り伸ばして身体を離した。この男のキスは、本当に意識を奪ってしまう。
「ユウこそ、なに人の寝込み襲ってるんさー」
「てめェがいつまでも起きねーからだろ」
 乱れてしまった息を落ち着かせ、顔を上げて思わず噴き出した。
「くくく…っ」
「? ユウ? どしたん…」
 滅多に笑ったりしないユウを不審げに見上げ、ラビは起き上がる。


 へにょん。


 おかしな軌道をたどって瞼に落ちるオレンジの髪。わずかに引きつった頭皮。
 さっき自分の髪紐で結い上げたラビの髪は、情けなさそうに額の上にへたりと陣取っていた。
「ユウちゃん、…なにさコレ?」
 肩を震わせながら笑いをこらえるユウにもう、とため息をつきながら結われた髪を解き、髪紐の本来の持ち主であるユウの髪を梳く。
「ごめん、身体平気?」
「…てめェの方が疲れてんじゃねーのかよ。俺がそんなイタズラしても起きねーくらい」
 サイドのチェストから櫛を取り出して、綺麗に梳いてやると、引っかかることなくラインを描き、改めてこの髪の美しさを知る。
「んー、久々にゆっくり寝れた。やっぱユウの傍だと落ち着くんさ? ありがと、ユウ」
「…フン」
 気恥ずかしさに思わず顔を逸らしてしまう。そんなユウに微笑み、愛しいなあと鼻先にキスを贈った。




「ユウ、いい天気さ」
「あ?」
「浴場で汗流して、外でごろごろしよ?」
 にこりと微笑まれ、一瞬何を言っているのかと面食らった。
「なんだ、ごろごろって」
「…ひなたぼっこ?」
 世界の終焉に着々と近づいているというのに、なにを悠長な。
 そう言ったらラビは笑った。だからさ、と。
「ユウといられる時間が好き。ユウと話してる時間も、ユウに触れてる 時間も。ねぇ? 今日はこんなにいい天気だから」


 外でいろんなことを話そう。
 任務のこと、世界のこと。
 好きなこと、嫌いなこと。
 今までのこと、これからのこと。
 ふたりの、こと。


「…仕方ねぇな」
 付き合ってやる、とシャツを羽織るユウを、ラビは本当に愛おしそうに見つめてた。


 天気がいいから。
 今日は飽きるまで語り明かそう。
 あなたが わたしの傍で 安心して 眠れるというのなら。


#両想い #ラブラブ #ラビユウ

(対象画像がありません)

果てるまで口づけを

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ 2005.08.01

#R18 #両想い #誕生日 #ラビユウ

 何度も何度も、角度を変えては口づけをした。 逢えない時間も今回は短かったのに、それでも求めることを…

NOVEL,D.Gray-man,ラビユウ

果てるまで口づけを




 何度も何度も、角度を変えては口づけをした。
 逢えない時間も今回は短かったのに、それでも求めることを止められない。
「っ…ラビ」
 服の上から胸を這う手を掴み止め、男の名を呼んだ。なに、と小さく返ってきた声に、上がった息で返す。
「明かり……消せっ…」
「ん…なんで」
 神田の衣服をこれ以上ないというくらいに乱しながら、ラビは音にする。
「あっ…」
 首筋に吸いつかれ、思わず声を上げた。
「バカ、は…恥ずかしいだろうが…っ」
 大きく開けられた胸元は自分の目にも入り、人工的なライトに照らされ浮かび上がる。
 そんなものを目に入れるのは、組みしかれる自分の状況を無意味に認識することになり、正直ありがたくない。
 それでもラビはにこりと笑って口にした。
「却下」
「なっ…なんでだよ…!」
 抗議を続ける神田の腕からシャツを抜き、取り払う。
「だってオレ、明るいトコでユウの裸見たいさ」
 当然至極、といったふうなラビに、思わずそうかと返しそうになる。
「みっ、妙なこと言うなバカ!」
「えぇ、どこがさ~? 好きなコの裸とかって、すみずみまで見たいじゃんさ…」
 ほら、とベッドサイドのライトをくいと引き、照らす角度を思い切り変える。
「バッ…カやろ、よせ!」
「だって、見たい。…ユウは?」
 入らない力でラビをせめて押し退けながら、あぁ?と振り仰いだ。
「ユウは、オレの裸とか、興味ない?」
 上から見下ろされて、カァと身体の熱が上がる。
「そっ…そんなもんねぇ……!!」
「ホントに? ちょっと切ないんですけどオレ」
 浅く吐かれた息に、神田の眉が寄せられる。本当に、この男の気持ちも自分の気持ちも厄介だ、と。
 素直に声に出せない自分と、隠すことをしないラビと。
「全くねぇ……わけじゃ……ねぇけどよ…」
 小さく、小さく呟く。蚊の鳴くような音だったけれども、この距離ではやはり耳に入ってしまう。
「…じゃあ、見たいとか思う? 触りたいとかって、ねぇ?」
 柔らかく笑うラビに、こんな表情をしてくれるなら、自分の羞恥心なんてどうでもいいかと少し思う。だって、ああ、どうしよう。本当に嬉しそうなのだ。


 誰かに見せてやりたい。
 でも誰にも見せたくない。


「……あぁ」
「よかった、おんなじ」
 笑うラビに、神田はするリと手を伸ばす。ラビの身体を包む黒いシャツの裾から手を滑り込ませ、肌に触れてみた。
「…ユウ?」
「いいんだろ…触っても」
 ぺたり、と。腰のラインを確かめる。
「…こういうのはちょっと想定してなかったさ…」
 ドキドキする、と目を逸らすラビに、神田は思わず吹き出した。
「こういうオマエは初めて見たぞ」
 なるほど中々に面白い。
 そのまま前に回した手で、シャツをたくし上げながら腹の体温に触れる。割れた腹筋を指でなぞり、軌道を上昇させていった。
 ぺたり。ぴとり。
「ユウの手…気持ちいいさ…」
 はぁ…と熱っぽい吐息が聞こえる。そのうっとりとした表情に、嬉しくなる自分に気がついた。
 ────…ラビにこうされてるオレも…こんな風なのか?
 だったら、嬉しいと思っている今の自分の気持ちも、普段ラビが思っていることと同じ、なのだろうか。
 ラビの肌に触れながらそんなこと、考えてみたりした。
「ラビ…腕、上げろ」
「ん」
 神田の声にラビが片腕を上げる。神田はシャツを引き上げ、ラビの腕を抜き、頭を通過させ、肩を通り引き下ろす。
 サイドライトに浮かび上がるラビの裸体は、目を瞠るほど綺麗、だった。
「……綺麗、だな。こんな風にじっくり見るのは、初めてかも知れない」
 整った筋肉。力強そうな腕。焼けた肌の色。
「そうかな…傷跡ばっかりさ。綺麗なのはユウの方」
「バッ……あ」
 被さり、喉を強く吸うラビ。ビクリと、神田の肩がわなないた。
 ちゅ、ちゅう…と、残される痕に熱が上がる。
「バカ……よせ…」
 自分の身体は嫌いだった。どれだけ鍛えてもラビのような筋肉が備わらなくて、細身過ぎて白すぎて。こんな身体を抱きたがるラビの気が知れなかった。
「や。オレはユウの身体にキスするのが好きなんさ。見るだけじゃ、触るだけじゃ全然足りない」
「…こがイイんだよこんな身体っ…」
 顔を背けた神田に、苦笑して身体を離した。
「今さらそれ、訊くんさ? 伝わらなかった? さっき、ダイスキって言ったの」
 ユウが抱きしめてくれたから、伝わったと思ったんだけど…と俯くラビに、心臓が痛む。
「オレはユウのこと好きで、大好きで、愛してる。身体も心も、全部。ユウっていう、字や発音さえも」
「ラビ」
「オレの方が断然気持ち大きいって知ってるけど……さぁ…ちょっと切ないなー今の」
「バカ言うなオレの方が愛し…っ…」
 言いかけてハタと気づく。自分は今何を言おうとしていたのか。



 愛している。そんな事は言ったことがない。



「え…ユウ? 今」
 事実は事実だが、それを口にしたことなど、一度たりともなかった気がする。
「今、ねぇ? ユウ、もっかい」
「~ああ、もう、知るか!!」
 ぐいと、ラビの身体を引き寄せる。今の顔を見られたくなかったこともあるが、ラビの体温を感じたかった。すぐ近くで。この肌で。
「…ラビ」
 抱きしめて、実感する。
 生きているのだと。
 生きていて、動いていて、愛しているのだと。
「ラビ…」
 トクントクンと心臓の音が重なる。


 生きている。


 ふたりともが生きている。
 今目の前にある肌が愛おしくて、愛おしくて、口唇を寄せた。
「! ユウ…っ?」
「黙ってろ…」
 焼けた肌、鎖骨のちょうど、下あたり。
 ぺろりと舐めて、ちゅう、と吸った。強く、強く吸った。
「あ…」
 赤く痕が残る。案外に柔軟な肌だと思い、位置をずらして同じような痕を残した。
「ユウ……ユウ、どうしよう、オレ」
 ぺたりと、力をなくしたかのようにラビが被さってくる。
「…ラビ?」
「ユウも……こんな気持ちでいてくれんのかなぁ…」
「あ?」
 耳元で、震えた声。泣き出す寸前の、掠れた。


「愛してる人に触ってもらったりすんのって、気持ちいいだけじゃないんさね…」


「────」
 手が震えた。腕が震えた。心臓が震えた。
 良かった。
 おんなじ気持ちだった。



 嬉しい。



 おんなじ、気持ちだった。
「変な心配…すんなよ…」
「ヤバ……ユウの誕生日なのに、オレの方がいっぱいもらっちゃった感じさ…」
 ぎゅう、と強く抱きしめられ、愛しいと、素直に思う。
「じゃあ…同じにしろ…」
「ユウ?」
 不思議そうに名を呼ぶラビに、身体を離して苦笑した。
「だ、…抱いて、くれるか?」
 ラビが息を止めたのが分かる。この至近距離だ、当然といえば当然か。
「オレははっきり言って自分の身体が嫌いだ。だがオマエが触れてくれるというなら……好きになれる」
 この身体を、受け入れられる。
「ユ、ユウ……ちょ、ねぇ、今日大胆過ぎさ…!」
 吐息が近づいてくる。余裕のなさそうな瞳に、思わず笑みが漏れた。
「加減できなくても、いい?」
「いい…ぜんぶ…欲し」
 欲しい、と言い切る前に口唇を塞がれる。舌先から熱を移されて、声が上がる。
「んっ…!」
 ぴちゃりと湿った音と、衣擦れの音。漏れる吐息。
「んぁ…」
 滑る手のひら。踊る指。
 いつの間にか露にされた下肢に、身体を割り込まれる。
「ユウ…ユウの身体…好き…」
「んんっ…あ、ん、…っふ」
 舌先で胸の突起を転がされ、ビクビクと足が踊る。いつもより鮮烈で、息が上がった。
「ラビっ…やべ……今日…おかし…いっ…」
「ん、いつもより敏感さ…可愛い」
「バカ、言う、なっ…あぁ…ッ……!」
 握りこまれ、のけぞる。どれだけ理性を保とうとしても、ラビの手淫の前にはそんなもの吹き飛ばされる。
 手のひらで、指で、爪で、視線で、吐息で、言葉で、愛される。
「んあ、う、や…」
「ユウ…綺麗…」
 汗で、滑る肌。絡みつく、長い髪。艶かしい、濡れた声。
 抱きしめてくれる、腕。
 きっと神田自身は自覚していないのだろう。それがどれほど美しいのかを。
「あ…ラビ…」
 そんな悩ましい目で見上げてこないで下さい、理性決壊ギリギリ。
「んん…」
 指で奥のほうを刺激されて、相当気持ちが良かったのか、神田が腰を浮かせる。
 ぞくりと背筋に電流が走り、こくりと唾を飲み込んだ。
「ごめんユウ、もう我慢できんさ…!!」
「あっ…」
 濡れた指を引き抜き、代わりに自分を押し込んだ。
「ひぁっ…ああぁあ…ッ!!」
 締め付けられ、それでも中に入りたがったそれが、腰を押し進めさせる。神田が苦しそうな顔をしているのは分かったけれど、もう止める余裕がどこにもなかった。
「ん、んんっ! ラビ…ラ、ビ…っ」
「息、吐いて…ユウ…」
「あ…ふ」
 流れ落ちる涙を舌先で拭い取って、抱きしめる。せめて少しでも負担を減らそうと、神田を愛撫した。
「ん…ふ…平気、だか、ら…ラビ…」
「ダイジョブ…? オレ、かなり余裕ねぇンだけど」
「いいと…言っただろう…もう訊くな…」
「愛してるさ…ユウ」
 口づけた後でせわしなく、動き出す腰。
 部屋にはもう、濡れた音と、喘ぐ神田の声。そしてふたりの吐息。あとはベッドの軋む音。


  




 明日も生きたい。
 明日もこの人と生きていたい。



 キスして
 ここで
 抱きしめて
 果てるまで
 微笑みを




 翌朝。使い物にならなくなったふたりは、一日の大半を、ベッドで過ごしたとか、過ごしていないとか…────


#R18 #両想い #誕生日 #ラビユウ