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No.720
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン 2025.04.08
#お題 #両想い
手塚からのキスにも、少し慣れてきた。触れるだけのものが深いキスに進展したのは、先々週のことだ。 手…
NOVEL,テニプリ,塚跡,塚跡お題100本マラソン
お題:リライト様 /小さな意思表示
favorite いいね ありがとうございます! 2025.04.08 No.720
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手塚からのキスにも、少し慣れてきた。触れるだけのものが深いキスに進展したのは、先々週のことだ。
手塚からのアクションは、『跡部』と名前を呼ぶことから始まる。それは意図してなのか、無意識なのかは分からないが、少なくとも跡部は嬉しく思っていた。
「跡部、キスをしてもいいか?」
ただ、脈絡がないのはいつも通りで、あまり心の準備というものができない。
「ん、いいぜ。ほら」
それでも跡部は、なんでもないように目を閉じて、唇を突き出してやるのだ。本当は心臓をバクバクと鳴らしているいるというのに。
唇が触れてくる。優しく押しつけられるだけだったそれは、徐々に意思を持って跡部の唇を食(は)み始め、促すように舌先で舐めてくる。
うっすらと開いた唇をこじ開けるように、舌が入り込んでくる。びくりと肩が揺れて、あやすように撫でられるのも、何度目だろうか。
子ども扱いされているようで腹が立つ反面、気にかけてくれているのだと思うと、嬉しくてしょうがない。
「んっ……」
絡んだ舌を吸い上げられて、びくびくと腰が揺れて、疼く。解放されたかと思った舌はすぐにまた捕らわれて、きつく絡め直された。
正直、手塚がこんなふうに求めてくるとは想像していなかった。こういうことには鈍く、奥手だと思っていたのに、騙されたような気にさえなる。
「ん、ん……」
それを本人に言ったこともあるが、手塚自身「俺も驚いている」と言っていたくらいだ、想定外なのだろう。
リードするつもりがリードされっぱなしで、落ち着かない。
だけど、これに不満があるわけではなかった。
恋人なのだし、肉体的な触れ合いをしたがるのは当然のことだ。ネットで知識だけは頭に入れたし、手塚が先に進みたいと望むのなら、受け入れる心の準備はできている。
体の準備はできていないが、それはこれから二人でやっていけばいいだろう。何も、初めてで最後までする必要はない。……手塚さえ問題なければ。
跡部は、キスを受けながらゆっくりと目蓋を持ち上げる。そうしたら、ばちりと手塚の視線と出逢ってしまって驚く。
まさかとは思うが、今までずっとそうやって見られていたのだろうか。
恥ずかしくて目を閉じたいのに、鳶色の瞳に捕らえられてそれも叶わない。
ドキン、ドキン、と胸が鳴る。
唇がほんの少し離れた隙に、「てづか」と名を呼んで、わずかに震える指先で、学ランのボタンに触れてみる。
それをひとつ、外してみた。
腰をぎゅっと強く抱き直されたのは、伝わったとみていいのだろうか?
キスがもっと深くなって、訊くことはできなかった。
#お題 #両想い