夜明けのキャロル

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発行物詳細

2023/06/25 永遠の交響曲JB2023

【装丁】文庫サイズ/48P/R18/300円
【書店通販】フロマージュブックス様予定
【自家通販】BOOTH(https://hanaya0419.booth.pm/
【あらすじ】「左手をつかんだあとに永遠のキス」(novel/19991074)で書き切れなかったエピソード。翌朝のえっちと招待客への打診

 腹の筋を指先で撫でると、力んで震える。それが面白くて……というのが正しい表現かは分からないが、跡部の反応をもっと見たくてやわやわと腹を撫でた。
「手塚っ……エロい触り方……してんじゃ……ねえっ……」
 跡部が手を添えて止めようとしてくるが、少しも力が入っていない。期待の方が大きいんだろう。
「仕方がないだろう。俺はお前のいやらしいところが見たい」
「なんっ……」
 跡部は目を大きく見開いて、絶句しているようだ。
 そんなにおかしな感情ではないだろう。好きな相手が自分の手で乱れていくのを見たいというのは。
「おま、え、普通にそういう、こと……言うんだよな……」
「言っておくが、俺の欲を目覚めさせたのはお前だからな、跡部」
「やっ……ん、ん」
 太腿を撫で上げれば、背をしならせて声を上げる。まさか俺には性欲がないなどと思っていたのだろうか。まあ俺自身、こんなに強い方だとは思ってもいなかったから、しょうがないのかもしれないが。
「……だっ、て、よ……まだ、夢……見てるみてぇで……落ち着かねえ……」
「夢?」
「ずっと好きだったんだ、片想いだって思ってたっ……それなのに、いきなりプロポーズされるわ、キスどころかセックスまでしちまうわ、挙げ句てめぇがそんな、こと、言うから……」
 跡部がふいと顔を逸らす。この男にしては珍しくて、心臓が少し嫌な音を立てた。
「お前が俺に欲情してんの、まだ、受け止めきれねえ……」
 ……それは、そうなんだろうな。関係が一気に進んでしまって、跡部にしてみたら世界が百八十度変わってしまったようなものだ。
 今まで何も言わなかったくせに、跡部を知りたいと強引に関係を進めたのは俺だ。混乱につけ込んで「抱きたい」と言ったのも。跡部なら断らないと思っていたのは事実で、引くふりをしたのも卑怯なことだった。
 俺は跡部の気持ちもずっと知っていたし、跡部に好意を持っている自分にも気がついていたから、こうなることは自然だったんだが、もう少し跡部の気持ちを考えるべきだったな。
「跡部、俺にもさすがに性欲はある。慣れてもらうしかないんだが…………お前は、俺が性的なことを口にするのは嫌だろうか」
「想像してなかったから落ち着かねえだけだっつってんだろ! 少しくらいこっちの事情も考えやがれ!」
 顔を真っ赤にして抗議してくる。言うこと自体は問題ないのか。あまり明け透けに言うものではないと思っているが、跡部が嫌でないなら構わないだろう。反応が見たい。
「お前に……その、欲情されんのは……嬉しいんだよ……求められるとは思ってなかったから、嬉しくて、興奮する……」
 こんな時にそんなに可愛いことを言うんじゃない。たまらなくなって、跡部の口をキスで塞いだ。これ以上何かを言わせていたら、本当にしゃれにならない。
「んっ……ぁ、っふ」
 舌を掬い上げるように舐ると、絡めてきてくれる。かわいい……。もっと触れたい。中へ、もっと奥へ。
 キスをしたまま脚を撫で、性器を……通り越して、窄まるそこを指先で撫でる。唇が離れた隙に、湿った吐息が漏れる。反応をみるに、嫌ではなさそうだ。
 昨夜のなごりとでも言うのか、まだ柔らかいそこに指を押し入れる。跡部の膝が揺れて、俺を誘うように脚が開いていく。それをいいことに、俺は指を増やして跡部の中をかき回した。
「んっ、んぁっ、や、や……ぁ、手塚、手塚っ……ゆび、あ……」
「痛みは?」
「ねえ、わけじゃ、ねえけど、平気だ……から、もっと」
 やはり受け身は負担がキツそうだが、回数をこなせば大丈夫だろうか。ゆっくり、ゆっくり、跡部をほぐしていく。潤んだ瞳と上気した頬がなんともいえず劣情を煽ってくれた。
 じれったい、と小さく首を振る跡部だが、こっちだって我慢しているんだ。少し大人しくしていてほしい。
 いや、大人しくしていてほしいというのは噓だ。跡部の手が自身のものに伸びて、いやらしく扱き出す。後ろを俺にいじられながら、それを自分で慰めるのが、どれほどいやらしい光景か、お前は分かっているんだろうか。
「あ、あ、っあ……てづ、かっ、てづかぁ……っ」
 あまつさえその舌っ足らずな口調で俺を呼ぶことが、どれだけ俺を刺激しているのか。
 早くここに入れたい。打ち込んで、かき回して、注ぎ込んでやりたい。
「やっ、なんで、ん、手塚、ゆび、はげし……いっ」
「お前が煽るからだろう。そんなに脚を広げて誘われたら、抑えられない。ここをもっと広げて、かき回して、奥までぐちゃぐちゃにしてやりたくなる」
「ばっ……! てめ、だから、そういうこと、言うなら、予告、しやがれっ」
「言う言葉を予告とは、どうすればいいのだろうな。早く慣れろ。こんなことを言うのはお前にだけ、ベッドの中だけだからな」
「昨夜ベッドの中じゃなかっただろうが! も、い……いから好きにしろよ……!」
 ああ、そういえば最初はバスルームだったな。あれも色っぽかった。思い出して、また我慢が利かなくなる。ここに、俺のが入り込んで……中の熱さに信じられないくらい気持ちよくなって、さらに跡部が欲しくなったんだったな。

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