華家
-HANAYA-
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No.500
永遠のブルー,塚跡WEB再録 2022.04.10
#塚跡 #片想い #ウェブ再録 #シリーズ物 #永遠のブルー
開催地域枠で、氷帝学園の全国大会出場が決まった。望んだ通りのストーリーではなかったが、上の大会に進…
永遠のブルー,塚跡WEB再録
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開催地域枠で、氷帝学園の全国大会出場が決まった。望んだ通りのストーリーではなかったが、上の大会に進めると意気込んでいるレギュラー陣を始め、二百名の部員たちや応援団の気持ちに水を差すわけにもいかない。
目指しているのは、高みだ。一個人のプライドやわだかまりで、潰してしまっていいチャンスなど存在しない。
「どいつもこいつも浮かれやがって」
夏休みだというのにわざわざ垂れ幕まで用意されてしまっては、受け入れるより他にない。跡部はパチンと指を鳴らし、騒がしさを蹴散らした。
「俺様とともに全国へついてきな!」
気分は、どうしても高揚してくる。終わったと思っていた夏の続きが始まるのだ。それは仕方がない。
全国大会は、強敵がたくさんいるだろう。レギュラーの強化やオーダーの相談、時間はあまり多くない。
跡部はすぐさま、練習を開始させた。大会出場が決まってテンションが最高潮にまで達した部員たちは、いつも以上に良い動きをしている。
「楽しみやなあ、全国」
「無様な試合しやがったら承知しねーぞ」
「せえへんわ、そんなん。これでもテンション上がってんねんから。謙也のとこも出るみたいやし」
いつでもわりととローテンションの忍足でさえ、珍しくテンションがだだ上がりらしい。そういうふうには見えないけれど。
「ああ、従兄弟だったか?」
「せや。四天宝寺、強いらしいで」
だが確かに、声のトーンが若干上がっている。眼力インサイトを使わずとも、忍足がわくわくしているらしいことが伝わってきた。従兄弟ということは、プレイスタイルも長所も短所も知っている相手ということだろう。
言うなれば、ライバル、だ。
跡部は、眉間に眉を寄せて目を細めた。
跡部の一方的な感情かもしれないが、彼は――ライバルだと思っているあの男は、間に合うのだろうか。
手塚の肩の状態が良くないという情報は、漏れ聞こえてこない。手塚の状態を気にしているのは跡部だけではなく、どうしてもそこかしこで囁かれているのだ。
リハビリは順調らしい、プロのチームが様子を見にいったらしい、向こうのプレイヤーをのしてしまったらしい、エトセトラ。
どれもこれもが噂の域を出ないものだが、その中には不思議とネガティブなものが存在しなかった。
誰も彼もが、手塚国光の復帰を願っている。
「跡部、今のうちに言うとくけどな」
「あん?」
「手塚が間に合わんかったら自分も試合には出えへんなんてのは、ナシやで」
少し高いところから降ってきた声に目を瞠り、忍足を振り仰いだ。彼は肩を竦めて半分冗談のように言っているけれど、九割が本心なのだろう。跡部はゆっくりと瞬いて、顔を正面に戻した。
「んなわけねえだろ、俺が出ねえでどうするんだ」
跡部としても、出場するなら狙うのは優勝のみだ。それは全校同じことで、他のレギュラー陣に任せっきりというわけにはいかない。頂点に君臨するキングとして、勝ちを見せてやるのも務めの一つだ。
「開催地枠だろうと関係ねえ。勝ちに行くぜ、忍足」
「当然や。誰が相手でもなあ」
跡部は太腿の横でぐっと拳を握る。目指すのは高み。そこに手塚がいようといまいと、強敵を打ち倒して君臨するのだ。
――――キングたれ、跡部景吾。
そう自らを鼓舞して、青い空を見上げる。
それでもあの日見た空ほど鮮やかではなかったけれど。
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