華家
-HANAYA-
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No.203
その他ウェブ再録 2014.02.09
#革命機ヴァルヴレイヴ #ハノイク #ハーノイン #イクスアイン #両想い
それから、案の定世界は混乱した。 マギウスを完全に排除すべきだという者、マギウスを研究すれば不死の…
その他ウェブ再録
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それから、案の定世界は混乱した。
マギウスを完全に排除すべきだという者、マギウスを研究すれば不死の体も夢ではないとえらく先の話を語る者、マギウスの主食をどうにか変えられないかと訴える者、様々だった。
「指南代表、私たちまで招いてもらって、良かったのか?」
「だってエルエルフの友達でしょ、だったら私たちにもおんなじだよ」
そんな中、エルエルフやアードライ……かつてドルシア軍でパーフェクツォンアミーの異名を取った面々は、リーゼロッテの望んだ世界を実現させるために奔走していた。
ジオールの総理大臣だった指南ショーコと手を取り合って。
「しかし私たちは敵同士だったはずだ」
「世界が暴かれたあとも?」
スペースポートで歓迎を受け、アードライはほんの少し後ろめたい。ドルシアを革命する過程とはいえ、日々を平和に暮らしたいと望む人々を、どれだけ巻き込んできたのだろうかと。
「いや、それは……敵対する理由もないし」
「元ドルシア軍のみなさんには、感謝しています。私たちは戦う力を持たない。共存派を疎ましく思う人たちからの攻撃から、身を守る術が、まだ少ないんです」
ヴァルヴレイウを駆るパイロットも、犠牲になった。生き残ったパイロットも、軍事には長けていない。事実として、経験が少ないのだ。手探りで生き残れるほど、世界は甘くない。
「できるだけ犠牲が少ない方法でそれを退けてくれるのは、あなたたちでしょう」
「……そのかわり、そちらは共存の必要性と戦争の悲惨さを世界に説いてくれる」
「そうそう、できることを少しずつ、やれる人がやってかなきゃいけないんだもん、これでいいと思うよ」
さあ今日はそういう話じゃないんだからとショーコは軽やかに踵を翻す。そんな彼女から少し遅れて追いながら、アードライは訊ねた。
「エルエルフ、あの子だろう? ヴァルヴレイヴの……時縞ハルトの……」
エルエルフは視線だけでアードライを見やり、ああと呟きまた正面に戻す。
「強い女だな、惚れた男が命を賭けて守ろうとした世界を引き継いで、前だけ見てさ」
それを聞き、ハーノインが小さく呟く。
「指南ショーコは俺と似ている。……いや、時縞ハルトを通して似通ってしまったと言うべきか。だから彼女に力を貸すのは必定だ」
「……ああ、そうだな」
エルエルフも、戦いの中で愛するひとを失った。それでも、いや、だからこそ、彼女の意志を継いで前を向いているのだ。
「悪かったな、どうせ私は仇討ちしか考えていなかった」
ハーノインの隣を歩くイクスアインが、眼鏡のブリッジを押し上げながら口にした。
「あっは、イクスはクールぶってるけど実際は激しいからなあ。でも、いいんじゃね? それもまたひとつの愛のカタチじゃん?」
そんなイクスアインの肩を抱き寄せ、ハーノインは頬にちゅっと口づけた。あんなに熱くなるのはお前限定だとは言ってやらずに、イクスアインは素直にそれを受ける。
「おいお前たち、外ではそういうことは控えろと言っているだろうに」
その様子を、後ろからクリムヒルトが諫める。王党派である彼女だが、共存派でもある。階級もなくなった今、友人として忠告をしてはいるのだが、
「あー姐さんごめん、つい」
「ハーノ、離れろ」
「今さら?」
この幼なじみの恋人たちには届いてもいないらしいと、クリムヒルトは諦めつつある。
「わ、私も外でこういうことをするのは好まない」
「兵士たちであふれ返ってる外でキスしちゃったの、俺だけのせいじゃねーし」
「あっ、あれは! その、我を忘れていてだな、その」
イクスアインはその時のことを思い出してボッと頬を染めた。
もう逢えないと思っていたハーノインに逢えて、触れられて、抱きしめることができて、それまで抑えていた涙も止めることができなかったあの時、周りを……ハーノイン以外を認識する事など頭の隅にもなかったのだ。
ふたりの関係が発覚したあの時はもっと下世話な騒ぎになるかとも思ったが、実際は世界がそれどころではなかった。
それはイクスアインにとって幸いだったが、ハーノインがところ構わずスキンシップしてくるようになってしまったのはいただけない。さらに、それに慣れてきてしまった自分が恥ずかしい。
「と、とにかく外ではするな」
「分かった分かった」
キッと睨みつけるとハーノインはあっさり離れてくれてホッとしたが、離れる寸前耳元でこっそり、続きはベッドでなと囁かれたあたり、考えが甘かったというしかないだろう。
急拵えではあったが、この戦時下においてよくここまで立派なものを、と思った。
列席者の前、二人の男女が美しい純白の衣で身を纏い佇んでいる。
今日は、連坊小路サトミと二ノ宮タカヒの結婚式だった。
指南ショーコをはじめ、ジオールの一員として戦って生きてきた友人たちが祝福する中、ふたりは病める時も健やかなる時も共にいることを誓い合う。
イクスアインはちらりと隣のハーノインを視線で見やって、こっそりと小指を触れ、絡ませてみた。それに気がついたハーノインが、小指を絡め返してくれる。
運命の赤い糸なんて見えないけれど、このひとで間違いないとふたりで口の端をゆるめた。
誓いを終えて、新郎新婦に花が降る。幸福そうな二人を見て、参列者も自然と頬が綻んだ。
「お兄ちゃんにお嫁さんができるなんて思わなかった」
「そう? 遅かれ早かれこうなると思ってたけど」
新郎の妹であるアキラがいまだに不思議そうに呟き、それに返す流木野サキ。二人とも、幸福になってほしいと思う気持ちは同じようだったが。
そうして、新婦であるタカヒの手から、ブーケが投げられる。高らかと空に舞ったそれに、手を伸ばす女性陣。次は私が、と古くから伝わる慣習を踏襲しあやかろうと思ったようだが、その花束は。
「……えっ」
なぜか、アードライの手の中にぽすんと落ちてきた。
突然のことに、アードライは何が起きたのか分からない。あー! という女性陣の悲鳴も、どうすればいいのか。
「ちょっと! なんであなたが取るのよアードライ!」
「ま、待ってくれ私が望んだわけでは」
本来は、受け取った女性が次の幸福な花嫁になれるというものだ。事故とはいえ男性であるアードライでは花嫁にはなれないだろう。
それを責めてアードライに詰め寄ってきたのは、流木野サキだった。
「女の子たちみんな楽しみにしてたのよ? それをっ……」
「あらいいじゃない流木野さん、もらったって相手がいるわけじゃないんだし」
それを諫めるためか煽るためか、おそらく後者なのだろうが、結婚をしたというのに高飛車な口調は変わらないタカヒが意地悪そうに口の端を上げてきた。
「なっ……いるわよ相手くらい!」
売り言葉に買い言葉、サキはアードライのタイを握りしめたまま言い返した。
「えっ、相手が……いるのか、流木野サキ」
「良かったなーアードライ、似合ってるじゃないか」
「え、なに、なんだ? 花か?」
サキに決まった相手がいることをどうしてか残念に思ったアードライの肩を、ハーノインが祝福してポンと叩くのに、彼は何も気づかずに困惑する。だーめだこりゃ、とハーノインは笑った。
「もう、いいわ、あなたが持ってて。それより二次会は立食形式なんだけど、嫌いなものとかない?」
毒気を抜かれてしまったサキが、大きな息を吐いて問いかける。
「特にないが」
「本当に? 旧王族さんは、舌もうるさいんじゃないかしら」
そんなことはないと言い返すアードライに、ふぅん? と笑いながらサキは踵を返す。以前から感じていたが、彼女は気位が高いなとアードライは小さく息を吐く。
だが、あの戦いが終わって少しふさぎ込んでいたような彼女を見るよりはずっといいと、サキの背中を視線で追った。
「こらアードライ、なにぼうっと突っ立ってんだ。早いとこエスコートしに行けって」
「え、あ」
それを眺めていたハーノインが、責めるようにアードライを小突く。どうもこの皇子サマはツメが甘い、と。
「あ、ああ……そうだな。お前たちも行くだろう?」
「バカ、野暮なこと言うなって。俺らはホテルに帰るよ。せっかくショーコちゃんが用意してくれたんだし~」
ちゃっかりとイクスアインの腰を抱いたハーノインが、そういって笑う。
「バ、バカはお前だハーノッ……!」
外でそういうことはやめろと言うのに、とイクスアインの頬が染まる。アードライは、ハーノインが「ショーコちゃん」と親しげな呼び方をしたのが気にかかったが、この男に限って滅多なことはないだろうと思うだけにしておいた。
ハーノインの心にはイクスアインしか存在してない。彼を全身で愛している。
その証拠に、イクスアインの腰を抱く腕は何よりも優しい。
誰もが幸福であるように。そんな気持ちにさせてくれた新郎新婦に、祝福を告げに行こう。アードライは、サキを追って踵を返した。
#革命機ヴァルヴレイヴ #ハノイク #ハーノイン #イクスアイン #両想い